新しい職場に入社が決まった時から、同じ部署にイケメン君がいると、聞くとはなしに聞いてい…
「桃ってすごく甘いんだね。初めて食べた」 両手に一個ずつ持った大ぶりの桃を交互に…
裕二と共同で、小学生最後の夏休みの自由研究は動画配信することに決めた。 研究課題は地元…
「で、好きなアイスってなんなん?」 「え、ほんまにおごってくれるん?」 「しゃあないやん」…
母の手助けで介護していた認知症の祖母が亡くなった。 九十も半ばを超えていたので、わ…
「えっと――少し前の体験なんですけど―― 住んでいる地区で、うちがゴミ当番になった時の…
自販機前の子供 一人暮らしを始めて三日目に駅からアパートへの近道を発見した。会社からの…
海に還る ただただ海が見たくなる時ってあるよね。 失恋したとか、上司にこっぴどく叱ら…
霊安室 自転車ですっころび、脚を骨折して入院した剛央から見舞いの催促が来た。 電話の…
河童 物心ついたら、この池に住んでいた。 周りは森の中、ではなく住宅街の一角らしく、…
鬼の村 1 閉じ込められてからどれだけ時間が過ぎた…
赤い袋 ある路地に血の滴る赤い袋を提げた怪人が出るという。 中には子供の臓器が入って…
薄紫色の女 重く垂れ込めた雲からぽつぽつと雨粒が落ちてきて電車の扉にいくつもの線を引き…
猫 「うわっ、やっぱいるよっ。気持ち悪ぃっ」 助手席のマコトがわめく。きょうで四日目だ…
真夜中のボクサー もっと早く帰ればよかったと後悔した。 久しぶりの飲み会が楽しくて夜…
渡り廊下 とある老舗温泉旅館の話だ。 豪奢な新館の裏には旧館があり、現在そこは倉庫代…