見出し画像

医療費控除の対象と還付金の計算方法【確定申告】

こんにちは、ラン丸(@sign45917948)です。

思った以上にかかることの多い医療費。

しかし、一定の額を超えれば、確定申告の際に還付金を受け取ることができです。

医療費控除全体を理解しながら、具体的な内容を確認していきます。

また、実際にどれくらいの還付金を受け取ることができるのか計算してみましょう。

今回は、医療費控除の対象になるものや還付金の計算方法について解説していきます。

医療費控除とは

医療費控除とは、納税者が自分または自分と生計を一にする(日常生活で使うお金を同一にしている)配偶者その他の親族のために支払った医療費を、納税のときに控除してもらう仕組みです。

医療費控除の対象となる費用には、実際にかかった治療費以外にも、通院のための交通費、入院中の食事代などが含まれます。

医療費控除を受けるための条件

医療費控除を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。

☑納税者(控除を受ける人)が、自分または自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費であること
その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること
※年内に治療を受けていても支払いが翌年度になる場合は、その年の医療費控除の対象にならない
医療費控除の額は、実際に支払った医療費等の合計額から(1)と(2)の金額を差し引いた額
(1)生命保険などから支給される入院給付金、健康保険などから支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などの合計額
(2)10万円
その年の総所得金額等が200万円未満の人の場合は、総所得金額等の5%の金額
納税者が、生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費も合わせて、医療費控除の確定申告を行うこと
「生計を一にする配偶者その他の親族」とは、共働き夫婦の配偶者、社会人として収入を得ている子供なども対象になります。

一般的に、家族の中で一番収入が多い(納税額も多い)人が親族の医療費を支払い、医療費控除を申告すると還付金が多く戻ってきます。

医療費控除の場合、生計を一にしていれば家族の所得金額の要件はないそうです。(同居や扶養をしていなくてもOKです。)

医療費控除の仕組みとは

医療費控除は、支払った医療費の額がそのまま戻ってくると勘違いされやすいのですが、支払った医療費に応じて税金を計算し直すというものです。

会社員の場合は、医療費控除によって給与から天引きされた所得税の還付が受けられます。

一方、個人事業主の場合は、医療費控除を確定申告に反映させることで節税効果が見込めます。

セルフメディケーション税制がスタート(平成29年1月から)

平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、一定の取り組みを行っている人が、自分や自分と生計を一にする配偶者その他の親族のためにスイッチOTC医薬品を一定額以上購入した場合、所得控除を受けることができます。

これをセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)といい、医療費控除と好きなほうを選択できます。
(併用はできませんので注意が必要です。)

一定の取り組みを行うとは

その年中に健康の保持増進、疾病の予防への取り組みとして健康診査や予防接種、がん検診などを行っている場合をいいます。

スイッチOTC医薬品とは

要指導医薬品、一般用医薬品のうち、医療用から転用された薬局で買える医薬品のことをいいます。

控除額はどのくらいか

スイッチOTC医薬品の購入金額の合計(保険金等で補填される金額は差し引く)のうち、1万2000円を超える部分を控除額とします。
限度額は8万8000円です。

画像1

医療費控除の対象になるもの

治療を目的とした医療行為に支払った費用は、医療費控除の対象となります。 主に、以下のものが挙げられます。

<医療費控除の対象となる医療行為>
・通院に必要な交通費
・子供の歯列矯正費用
・介護保険の対象となる介護費用
・病院での診療費/治療費/入院費
・歯の治療費(保険適用外の費用を含む)
・治療のためのリハビリ/マッサージ費用
・医師の処方箋をもとに購入した医薬品の費用
・治療に必要な松葉杖など、医療器具の購入費用

医療機関で支払う診察代や薬代には、保険外診療のものも含まれています。薬局で購入する風邪薬などの市販の薬も医療費控除の対象となる場合があります。

また、入院費用や入院中の食事代も含まれます。

妊娠・出産では、定期健診や検査代、出産や入院のための費用、不妊治療費用も対象になります。

歯の治療では、保険適用外の高価な材料を使った場合も含まれます。歯列の矯正では、嚙み合わせを直す目的で子供が施術を受ける場合には適用されます。

また、医療機関に通院や入院をするための交通費のうち、バスや電車などの公共の交通機関によるものは、医療費控除の対象となります。

タクシーの利用は、急を要しているケースや電車やバスの利用ができない場合のみ認められ、申告の際に領収書の添付が必要となります。

交通費については領収書の提出はないですが、明細を自分で作成して提出しなくてはいけません。

国税庁サイトの「医療費集計フォーム」を使うと簡単で正確に確定申告ができます。

便利な仕組みを賢く使って税の負担を軽減していきましょう。

医療費控除の対象にならないもの

病気の予防を目的とした医療費は、医療費控除の対象となりません。
具体的には、以下に挙げるものが対象外となります。

<医療費控除の対象とならない医療行為>
・予防注射の費用
・美容整形の治療費用
・漢方薬やビタミン剤の費用
・里帰り出産のための実家への交通費
・自分の都合で利用した差額ベッド代
・マイカー通院のガソリン代や駐車料金
・人間ドックなど健康診断の費用
(病気が発見され治療をした場合は対象になります)

例えば、薬局で購入する薬の中でも、ビタミン剤は健康増進が目的とされます。

また、人間ドックを受診して病気が発見されない場合も、医療費控除に含むことはできません。

入院時の差額ベッド代も個人の都合で利用した場合は対象外です。

交通費の中でも、自家用車のガソリン代や駐車料金は医療費控除に含められません。

歯列矯正も、大人の場合は美容目的とされるため、美容整形と同様に対象外となります。

医療費控除の還付金の計算方法

医療費控除の計算は次の計算式で行うことができます。
200万円が限度額となります。

医療費控除額=
〔その年中に支払った医療費〕-〔保険金などで補填される金額〕
-〔10万円 or 所得金額×5%(どちらか少ない額)〕

還付金の計算手順

① その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費(生計を一にする配偶者、親族の全員分)の額を合計します。

平成29年度分の確定申告から、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」などがあれば一覧表の作成に代えて使用することができることになりました

② 民間の生命(医療)保険から支払われた保険金、加入している健康保険組合などから支給される高額療養費・家族療養費などがあれば、対象となる医療費から差し引きます。

対象となる医療費から引ききれない場合は、その額をほかの治療のために使った医療費から差し引く必要はありません。

③ ①の対象の医療費から ②の保険金・高額療養費などを差し引いた後の金額を合計します。

④ ③の合計額から10万円(総所得が200万円未満の場合、所得額×5%の額)を差し引きます。

⑤ 残った金額が医療費控除の額となります。

詳しくは下記のPDFファイルからご確認ください。
パンフレット(国税庁)

保険金等で補填される金額

・生命・傷害保険契約の医療費に対する給付金
(入院給付金・手術給付金など)
・社会保険からの医療費に対して支給される給付金
(高度療養費・出産一時金など)
・医療費に対する損害賠償金
(事故などで相手がもらう)
・互助組織からの医療費に対する給付金
(会社からのお見舞いなど)

保険金などで補填される金額が確定申告書を提出するときまでに確定していない場合には、その補填される金額の見込額を支払った医療費から差し引きます。

後日、補填される金額を受け取ったときに、その額が見込額と異なる場合には、修正申告(見込額より受領額の方が多い場合)又は更正の請求(見込額より受領額の方が少ない場合)の手続により訂正することとなります。

改正のポイント

平成29年分の確定申告から、領収書の提出の代わりに“医療費控除の明細書” の添付が必要となりました。

※医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。
(税務署から求められたときは、提示又は提出しなければなりません。)

※医療保険者から交付を受けた医療費通知を添付すると、明細の記入を省略できます。
(医療費通知とは、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」などです。)

ちなみに、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、医療費の領収書の添付又は提示によることもできます。

医療費控除を申告するときの期限

医療費控除を受けるためには、控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に提出する必要があります。

確定申告の受付期間は、翌年2月16日~3月15日です。

医療費控除による還付申告のみを行う場合には、翌年1月から申告書の提出ができます。

申告期限を過ぎた場合

還付申告は、確定申告期間とは関係なくその年の翌年1月1日から5年間できることになっています。

確定申告の時期に医療費控除の申告し忘れた場合でも、さかのぼって申告ができます。

未払い分は翌年以降の対象

医療費控除の対象となる医療を受けていても支払いを年内に行っていなかった場合は、その年分の医療費控除の申告に含めることはできません。

年明けに支払った医療費は、次の確定申告時に医療費控除の申告ができますので、忘れずに領収書を保管しておいてください。

医療費控除での必要書類

平成29年度分の確定申告より、医療費控除の申告方法が一部改正されています。

申告に必要な書類は下記のとおりです。

◎医療費控除に関する事項を記載した確定申告書
◎給与所得の源泉徴収票(原本)(給与所得のある人)
◎医療費の支出を証明する書類(ア or イ)
(ア) 医療費の領収書の金額を自分で一覧表化したもの
(イ) 健康保険組合など作成の医療費通知書(「医療のお知らせ」など)
※(ア)or(イ)には次の内容について記載が必要
(ア)or(イ)の書類を提出する場合、医療費の領収書の提出は不要です(保管は5年間必要)
i. 医療費の額
ii. 医療費に対応して支払いを受けた、生命保険金・社会保険の額
iii. 診療等を受けた人の氏名
iv. 診療等を行った病院、診療所その他の名称

※ 通院のときの交通費は領収書不要


明細書や領収書を紛失した場合

これまで医療費控除の申告には、医療費の領収書以外は、認められていませんでしたが、平成29年度分の確定申告より、健康保険組合などから送られてくる医療費通知書(「医療のお知らせ」など)が使用できるようになりました。

万が一、医療費の領収書も医療費通知書も両方とも紛失した場合は、病院から金額を証明する書類を再交付してもらうなどの手段も考えられますが、断られる場合も多いそうです。

医療費の領収書と医療費通知書のどちらかは確実に保管しておくことを忘れないようにしてください。

会社勤務の方は、年末調整で大方の税務申告ができるので、確定申告を行ってまで医療費控除を受けるのは面倒と思う人も多いかもしれません。

しかし、最近はe-Taxも可能なため、紙より比較的楽に申告が行えます。
(e-Taxとは、インターネットを通じて電子的に確定申告が行えるシステム)

少々面倒と感じても、医療費控除を受ける機会があれば、確定申告を行って還付金を戻してもらう検討をしてみてはいかがでしょうか。

自分で確定申告を行うことで、納税の全体像が少しずつ理解できるようにもなります。

今回は、以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?