見出し画像

038『外向的直観型EN;タイプ論』-ユングを詠む

1.   イントロ

 ユング『タイプ論』の紹介に一区切りをつける。優越機能又は主機能と呼ばれる下記の8種類からなるユングオリジナルの心理学的タイプがどのようなものか、これまで読んできた文献からまとめておくシリーズをやっている。

⭕️ユングの心理学的タイプ8つの優越機能(又は主要機能とか主機能とも呼ばれる)とは、これらのこと。

1.外向的思考型[ET]→032『外向的思考型ET;タイプ論』
2.外向的感情型[EF]→035『外向的感情型EF;タイプ論』
3.外向的感覚型[ES]→036『外向的感覚型ES;タイプ論』
4.外向的直観型[EN]→038『外向的直観型EN;タイプ論』
5.内向的思考型[IT]→034『内向的思考型IT;タイプ論』
6.内向的感情型[IF]→033『内向的感情型IF;タイプ論』
7.内向的感覚型[IS]→037『内向的感覚型IS;タイプ論』
8.内向的直観型[IN]→039『内向的直観型IN;タイプ論』

 外向的、内向的という2つの一般的態度と、思考型、感情型、感覚型、直観型という4つの心的機能の説明を、あらためて説明し直しながらまとめていく。

注意;下記2〜5項の詳細説明は032『外向的思考型ET;タイプ論』を参照方。

2.内向(I; Introversion)の定義

 「リビドーが内に向かうことである。これは主体が客体に対して消極的ない関係を持っていることを表している。関心が客体に向かわずに、客体から主体へ引き戻されるのである」

内向的な構えをとる人は誰でも考え・感じ・行動する・さいに、はっきりと見分けがつくほどに、何よりもしぃたいが動機づける側ではあり客体はせいぜい副次的な価値しか持たないという態度をとる。

内向はより知的な性格をも、より感情的な性格をも持ちうる。同様にそれは直観や感覚によっても特徴付けられることができる。

内向が能動的であるのは主体が客体を何らかの形で排除しようと意図するときであり、受動的であるのは客体から逆流してくるリビドーを再びか客体に戻せない時である。

内向が習慣的になっているときに内向的タイプと呼ぶ

[3]p475

 リビドーとは心的エネルギーのこと。神経細胞などの活動に必要なエネルギーと還元的に解釈を私はしている。

3.外向(E; Extraversion)の定義

「リビドーが外へ向かうことを意味する。主体が公然と客体に関係していること、すなわち主体の関心が積極的に客体に向けられていることを表す。(中略)したがって外向とはいわば関心が主体から客体に移ることである」

[3]p461

4.心的機能

感覚型、直観型、思考型、感情型、という4つの心的機能の説明。

4.1心的機能;「感覚(S; Sensation)」

「五感による感覚、すなわち感覚器官や身体感覚(運動感覚や脈拍感覚など)による知覚」

[3]p458

4.2心的機能;「直観(N; iNtution)」

「知覚を無意識的な方法によって伝える心的機能 」[3]p475
「その内容がどのようにして生じたのか示すことも発見することもできない。直観はその内容がなんであれ、一種の本能的把握である」[3]p476

[3}

4.3心的機能;「思考(T; Thinking)」

「それ固有の法則に即して、与えられた表象内容を(概念的に)関連付ける心的機能」

[3]p452

4.4心的機能;「感情(F; Feeling)」

「自我と与えられた内容との間に生じる活動であり、しかもその内容に対して受け容れるか拒むか(「快」か「不快」か)という意味で、一定の価値を付与する活動」

[3]p462

5. 優越機能と補助機能

5.1優越機能

 まず、優越機能とはこのようなものだ。先に説明した一般的態度と心的機能のコンビネーションで形成される。単に足し算しただけではない特徴を示す。タイプダイナミクスと呼ばれる。

ちなみに第1補助機能、第2補助機能、劣後機能も一般的態度と心的機能の単なる足し算にはならない。

イントロで8つの一般的態度と心的機能のコンビネーションからなる優越機能を列記した。最も習慣的に使っている、あるいはもっぱら意識されている状態にあるコンビネーションが優越機能と呼ばれる。内向的な優越機能は他人からは観察されにくい。

優越機能はそのほかの機能のコンビネーション(一般的態度と心的機能のコンビネーション)に対して優位にある、つまりよく使われる。よく使われるから分化して発達している。

起きて活動しているときに時間的に最もよく使っている心的機能ということになる。この後説明する第1補助機能、第2補助機能もその順番で顕在意識の下に出てくる。劣後機能はほとんど出てくることはない。

第1補助機能、第2補助機能、劣後機能ともに無意識下で機能している。ただ顕在意識として自我がその活動を認識できないことが多い。

5.2 補助機能

補助機能の前に、不合理的機能と合理的機能について説明が必要であった。

非合理的機能とは、感覚(S; Sensation)直観(N; iNtution)の2つ。知覚機能とも呼ばれる。

合理的機能とは、思考(T; Thinking)感情(F; Feeling)の2つである。判断機能とも呼ばれる。

 優越機能が、非合理的機能ならば補助機能は合理的機能が担う。また逆も然り。文末に掲載した“こころの羅針盤”のイメージのように非合理的機能と合理的機能の軸が直交する。

6.外向的直観型[EN]

特徴:外界での体験を通じて精神的な創造性を発揮する。ためらわずに行動に移しさまざまな情報を集め、体験し、変化していく状況や新しい考えに独自なやり方で対応していくことにより、自分なりの考察や洞察をしていく。[2]p15
動機づけ:今までにない新しいことや胸躍るような新しい挑戦を見つけ、探究していくこと。 [2]p15

優越機能として外向[E]と直観[N]のコンビネーションが現れるものだ。

第1補助機能に思考[T]がくるものと感情[F]が来るものの2種類がある。MBTI®︎では優越機能が外向[E]の場合であるので、この第1補助機能が、必ず内向[I]となる。しかし、ユングのオリジナルタイプやMBTI®︎の考案者であるマイヤー親子以外の研究では外向[E]になることもあるとされている。MBTI®︎との差別化の意味でも第1補助機能を内向[I]に限定しない立場とする。

◎外向的感覚型[EN]の特徴[2]p15

・外界をざっと見渡して、今までにない新しい考えや新しい人々との新たな関係、あらゆる可能性を探求することにエネルギーを注ぐ
・考察から得られた可能性を実現するために、環境を変えたり、調整したりする
・多種多様である困難な課題や障害に対処するための独創的な方法を見出す
・変化のきっかけを作り出し、周囲の人の活気づける役割を果たす
・既知に富んだ対応をするという印象を与える
・自分に自信を持って行動する
・あらゆることを探求し、体験しようとする
・ものごとの可能性や関連性に大きな関心を寄せるため、詳細な事実を見過ごすことがある
・本質を探求することを適度に抑制したり、優先順位をつけて計画を立てることが難しいと感じることがある
・エネルギッシュに、熱意や興味を持って取り組む姿勢を基本に持ち、リスクを冒したり未知なることに足を踏み入れたり、新しい方法を創り出そうとする

 外向的直観型(思考優位)[EN:T]外向的直観型(感情優位)[EN:F]の“こころの羅針盤“イメージを7項に載せておく。

6.1外向的直観型(思考優位)[EN:T]の特徴[2]p15

・自分の周囲で起こっていることの意味や関連性を素早く察知する
・補助機能の思考機能(内向の場合)原理原則に基づいて考察したことを分析、評価し優先順位をつけながら機知に富んだやり方で臨機応変に実行していく
・時に新しいアイデアに魅了されすぎて批評することができなくなることがある
・そのため、今やるべきことに十分に関わったり、やり遂げたりしないことがある
・次々と興味を誘う可能性に手を広げてしまうことがある

6.2外向的直観型(感情優位)[EN:F]の特徴[2]p15

・優越機能の外向的直観で人やいろいろのものごとの可能性を独自の観点から洞察する
・補助機能の感情機能(内向の場合)で、洞察したことを、ワクワク感と自分の価値観に基づいて評価し、可能性が実行できるように人々を奨励する
・時に興味を誘う新しい人やアイデアに夢中になりすぎて、判断や優先すべきことを先送りしてしまうことがある
・いろいろなことに手を出しすぎて、自分にとって大切な人やものや、内面にある重要なことに、十分な時間や労力をかけなくなることがある

7.こころの羅針盤
 7.1外向的直観型(思考優位)[EN:T]

優越機能が外向的直観型、第一補助機能が思考型、第2補助機能が感情型、劣等機能が感覚型。

 優越機能(主機能)が外向的直観型、第一補助機能が思考型、第2補助機能が感情型、劣等機能が感覚型。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。
MBTI®︎ではこのパターンはありません。

赤い大文字アルファベットが外向的、
青い大文字アルファベットが内向的を表す。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。

図の上にいくほど意識されやすい機能、すなわち優越した機能。下にいくほど意識される時間が少なくなり、劣等機能はほとんど意識されないばかりか無意識下でも活動していないことも考えられる。

7.2外向的直観型(感情優位)[EN:F]

優越機能(が外向的直観型、第一補助機能が感情型、第2補助機能が思考型、劣等機能が感覚型。

 優越機能(主機能)が外向的直観型、第一補助機能が感情型、第2補助機能が思考型、劣等機能が感覚型。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。
MBTI®︎ではこのパターンはありません。

赤い大文字アルファベットが外向的、
青い大文字アルファベットが内向的を表す。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。

図の上にいくほど意識されやすい機能、すなわち優越した機能。下にいくほど意識される時間が少なくなり、劣等機能はほとんど意識されないばかりか無意識下でも活動していないことも考えられる。

8.あとがき

 今回あたらに書き加えて役に立ちそうなのが6項,7項と思う。
あと1投稿でこのシリーズはおしまい。

今回はここまで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?