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036『外向的感覚型ES;タイプ論』-ユングを詠む

1.   イントロ

 ユング『タイプ論』の紹介に一区切りをつける。優越機能又は主機能と呼ばれる下記の8種類からなるユングオリジナルの心理学的タイプがどのようなものか、これまで読んできた文献からまとめておくシリーズをやっている。

⭕️ユングの心理学的タイプ8つの優越機能(又は主要機能とか主機能とも呼ばれる)とは
これらのこと。

1.外向的思考型[ET]→032『外向的思考型ET;タイプ論』
2.外向的感情型[EF]→035『外向的感情型EF;タイプ論』
3.外向的感覚型[ES]→036『外向的感覚型ES;タイプ論』
4.外向的直観型[EN]→038『外向的直観型EN;タイプ論』
5.内向的思考型[IT]→034『内向的思考型IT;タイプ論』
6.内向的感情型[IF]→033『内向的感情型IF;タイプ論』
7.内向的感覚型[IS]→037『内向的感覚型IS;タイプ論』
8.内向的直観型[IN]→039『内向的直観型IN;タイプ論』

 外向的、内向的という2つの一般的態度と、思考型、感情型、感覚型、直観型という4つの心的機能の説明を、あらためて説明し直しながらまとめていく。

注意;下記2〜5項の詳細説明は032『外向的思考型ET;タイプ論』を参照方。

2.内向(I; Introversion)の定義

 「リビドーが内に向かうことである。これは主体が客体に対して消極的ない関係を持っていることを表している。関心が客体に向かわずに、客体から主体へ引き戻されるのである」

内向的な構えをとる人は誰でも考え・感じ・行動する・さいに、はっきりと見分けがつくほどに、何よりもしぃたいが動機づける側ではあり客体はせいぜい副次的な価値しか持たないという態度をとる。

内向はより知的な性格をも、より感情的な性格をも持ちうる。同様にそれは直観や感覚によっても特徴付けられることができる。

内向が能動的であるのは主体が客体を何らかの形で排除しようと意図するときであり、受動的であるのは客体から逆流してくるリビドーを再びか客体に戻せない時である。

内向が習慣的になっているときに内向的タイプと呼ぶ

[3]p475

リビドーとは心的エネルギーのこと。神経細胞などの活動に必要なエネルギーと還元的に解釈を私はしている。

3.外向(E; Extraversion)の定義

「リビドーが外へ向かうことを意味する。主体が公然と客体に関係していること、すなわち主体の関心が積極的に客体に向けられていることを表す。(中略)したがって外向とはいわば関心が主体から客体に移ることである」

[3]p461

4.心的機能

感覚型、直観型、思考型、感情型、という4つの心的機能の説明。

4.1心的機能;「感覚(S; Sensation)」

「五感による感覚、すなわち感覚器官や身体感覚(運動感覚や脈拍感覚など)による知覚」

[3]p458

4.2心的機能;「直観(N; iNtution)」

「知覚を無意識的な方法によって伝える心的機能 」[3]p475
「その内容がどのようにして生じたのか示すことも発見することもできない。直観はその内容がなんであれ、一種の本能的把握である」[3]p476

[3]

4.3心的機能;「思考(T; Thinking)」

「それ固有の法則に即して、与えられた表象内容を(概念的に)関連付ける心的機能」

[3]p452

4.4心的機能;「感情(F; Feeling)」

「自我と与えられた内容との間に生じる活動であり、しかもその内容に対して受け容れるか拒むか(「快」か「不快」か)という意味で、一定の価値を付与する活動」

[3]p462

5. 優越機能と補助機能


 5.1優越機能

 まず、優越機能とはこのようなものだ。先に説明した一般的態度と心的機能のコンビネーションで形成される。単に足し算しただけではない特徴を示す。タイプダイナミクスと呼ばれる。

ちなみに第1補助機能、第2補助機能、劣後機能も一般的態度と心的機能の単なる足し算にはならない。

イントロで8つの一般的態度と心的機能のコンビネーションからなる優越機能を列記した。最も習慣的に使っている、あるいはもっぱら意識されている状態にあるコンビネーションが優越機能と呼ばれる。内向的な優越機能は他人からは観察されにくい。

優越機能はそのほかの機能のコンビネーション(一般的態度と心的機能のコンビネーション)に対して優位にある、つまりよく使われる。よく使われるから分化して発達している。

起きて活動しているときに時間的に最もよく使っている心的機能ということになる。この後説明する第1補助機能、第2補助機能もその順番で顕在意識の下に出てくる。劣後機能はほとんど出てくることはない。

第1補助機能、第2補助機能、劣後機能ともに無意識下で機能している。ただ顕在意識として自我がその活動を認識できないことが多い。

5.2 補助機能

補助機能の前に、不合理的機能と合理的機能について説明が必要であった。

非合理的機能とは、感覚(S; Sensation)直観(N; iNtution)の2つ。知覚機能とも呼ばれる。

合理的機能とは、思考(T; Thinking)感情(F; Feeling)の2つである。判断機能とも呼ばれる。

 優越機能が、非合理的機能ならば補助機能は合理的機能が担う。また逆も然り。文末に掲載した“こころの羅針盤”のイメージのように非合理的機能と合理的機能の軸が直交する。

6.外向的感覚型[ES]

特徴:現状を素早く把握し、望んだ結果を出すのに必要なことをためらわず実行し、いま手の内にあるものをうまく使いながら問題解決を図っていく。迅速に目下の状況に合わせて必要な手を打つことに焦点を置かれる。[2]p14
動機づけ できる限り多くの体験をすること。つきることのない多様な体験をしていくこと。[2]p14

優越機能として外向[E]と感覚[S]のコンビネーションが現れるものだ。

第1補助機能に思考[T]がくるものと感情[F]が来るものの2種類がある。MBTI®︎では優越機能が外向[E]の場合であるので、この第1補助機能が、必ず内向[I]となる。しかし、ユングのオリジナルタイプやマイヤー親子以外の研究では外向[E]になることもあるとされている。MBTI®︎との差別化の意味でも第1補助機能を内向[I]に限定しない立場とする。

◎外向的感覚型[ES]の特徴[2]p14

・エネルギーや注意を外界に向け、見たこと、聞いたこと、感触、佳織、人の行動や反応など、あらゆることをそのまま細部にわたってとらえる
・現実に起こっていることを体験することにエネルギーを注ぎ、常に「いま、ここ」に重点をおく
・物事の背景にある意味よりも、五感を通じて得られる体験の多様性を追求する
・あらゆる体験(特に新しく体験中のこと)を価値あるものとし、一つひとつの評価や取捨選択せずに受け入れられる
・それまで手の内にあったものや、もしかしたら可能なものではなく、現時点での身のまわりにあるものを利用し、できる範囲内でやっていく方法を用いる
・状況にあわせてやりくり上手に処理する
・人当たりがよくエネルギッシュである
・試行錯誤しながら実行に移す
・自由で枠にとらわれない生き方を求める
・つきることのない興味や冒険を楽しむ姿勢を基本に持ち、あらゆる体験を楽しみながら、できる限り多くのことを得ようとする

 外向的感覚型(思考優位)[ES:T]外向的感覚型(感情優位)[ES:T]の“こころの羅針盤“イメージを文末に載せておく。

6.1外向的感覚型(思考優位)[ES:T]の特徴[2]p14

・「いまここ」で起きていることを素早く捉える
・次に思考機能(内向の場合)で捉えたデータを使って状況に適した解決策を考え出す。
・優越機能と第1補助機能の組み合わせにより、臨機応変に現状の問題点に即座に対処するという強みができる
・時に刺激を体験したり行動することに集中しすぎて、自分の内面にある評価システムの注意を向けられなくなる
・そして、今この時の体験を重視しすぎるあまり、分析や評価をしたり本来関わるべきことややるべきことを無視してしまうこともある

6.2外向的感覚型(感情優位)[ES:T]の特徴[2]p14

・外向的感覚型機能で、自分の周囲の人たちが刺激を得たり楽しめることを捉える
・熱意をもってためらわずに行動に移し、人々が一つのチームとして動けるように雰囲気を作る
・補助機能の感情機能(内面の場合)で他者の求めに応え、それにあった決定を下し、温かみのある気配りをし合うような関係を築いていく。
・時に新しい人々や経験との出会いを追い求めることに夢中になりすぎて、自分の内にある価値観に注意を向けられなくなり、本来関わるべきことややるべきことを無視してしまうこともある

7.こころの羅針盤
 7.1外向的感覚型(思考優位)[ES:T]

優越機能が外向的感覚型、第一補助機能が思考型、第2補助機能が感情型、劣等機能が直観型。

 優越機能(主機能)が外向的感覚型、第一補助機能が思考型、第2補助機能が感情型、劣等機能が直観型。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。
MBTI®︎ではこのパターンはありません。

赤い大文字アルファベットが外向的、
青い大文字アルファベットが内向的を表す。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。

 図の上にいくほど意識されやすい機能、すなわち優越した機能。下にいくほど意識される時間が少なくなり、劣等機能はほとんど意識されないばかりか無意識下でも活動していないことも考えられる。

7.2外向的感覚型(感情優位)[ES:T]

優越機能が外向的感覚型、第一補助機能が感情型、第2補助機能が思考型、劣等機能が直観型。

 優越機能(主機能)が外向的感覚型、第一補助機能が感情型、第2補助機能が思考型、劣等機能が直観型。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。
MBTI®︎ではこのパターンはありません。

赤い大文字アルファベットが外向的、
青い大文字アルファベットが内向的を表す。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。

図の上にいくほど意識されやすい機能、すなわち優越した機能。下にいくほど意識される時間が少なくなり、劣等機能はほとんど意識されないばかりか無意識下でも活動していないことも考えられる。

8.あとがき

 今回あたらに書き加えて役に立ちそうなのが6項,7項と思う。

今回はここまで

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参考文献[1] MBTIタイプ入門(第6版)https://amzn.asia/d/gYIF9uL

参考文献[2] MBTIタイプ入門 タイプダイナミクスとタイプ発達編https://amzn.asia/d/70n8tG2

参考文献[3] 『タイプ論』https://amzn.asia/d/2t5symt

参考文献[4] ユングのタイプ論に関する研究: 「こころの羅針盤」としての現代的意義 (箱庭療法学モノグラフ第21巻) https://amzn.asia/d/aAROzTI

参考文献[5] 『元型論』https://amzn.asia/d/eyGjgdX

参考文献[6]『ユング――魂の現実性(リアリティー) (岩波現代文庫)』https://amzn.asia/d/cUEvxPS

参考文献[7] <ミヒャエル・エンデ『モモ』 2020年8月 (NHK100分de名著) ムック – 2020/7/22>

参考文献[8] 『ユング心理学入門』https://amzn.asia/d/0gCq7JP9

背景画像:原案:経営を語るユング研究者 小河節生。
     作画:ChatGTP4o。
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