良くも悪くも自由

先日、1年ぶりにカミさんのホームタウンでもある江戸川区まで足を運んできた。
と言っても遊びに行ったわけでも義実家に行ったわけでもなく、
久しぶりに講師の依頼をいただいたので善は急げでテーマを決めて出かけてきた。

ありがたいことに3年連続で依頼してくれていて今年も精神保健福祉士を志す学生の講義だったけれど、
去年、おととしが社会人学生だったのに対して今年はほぼ20代前半なので年齢的には親子に近い。
ということはいつものノリだと思いっきりスベって沈黙される可能性があるので今回は事前にもらった仮案のテーマを元に構成することにした。
（ウケ狙いでやってるわけではなく記憶に残らないという意味だからねっ！）

ピアサポーターはフリースタイルなので講師としてお呼びがかかった時に伝えることは人それぞれ違う。
リカバリーストーリーを伝える人もいるし入院中に受けた人権侵害について伝える人もいる。
正解はない。
もちろん誤った情報や知識を伝えるのは論外だけど話を聞いてどう考えるかは相手が決めることなので自由だ。
そう。自由なんですよ。
これがとっても怖い。
1から全て自分で決めている以上は責任も全て自分にある。
批判されるのも反論されるのも苦情も引っくるめての自由というのはなかなかあるもんじゃない。
自分がテキトーなことを伝えればピアサポーター全体のイメージが悪くなるし誤った知識を伝えることになる。
というかそもそもピアサポーターは知識ではなくて経験を伝えるので正解がないという曖昧なところがある。
例えば双極症ひとつ取ってみても100人いたらリカバリーも100通り存在しているからウソをついていない限り問題ない。
が、しかし。
疾患について誤った情報を伝えてしまうと専門知識がない方はそれも真実だと思ってしまう。
これは僕が実際に経験したエピソードで統合失調症と双極症の当事者という人の話を聞いたことがあった。
どうも色々と違和感を覚える内容だったので後日、わしは主治医にその話をしたところ「統合失調感情障害」や「2次障害」について教えてくれた。
要するに読んで字のごとく統合失調症と気分障害が同時に起こる疾患で双極症とは治療法がかなり異なること（用いる薬がかなり違うなど）
後者は発達障害などでかかるストレスによって精神疾患を発症する精神疾患のことで判断が難しいと教えてくれた。

もちろんこれは医療の問題なのでわしはとやかく言う気はない。
ただこの話をした方も「精神科ダークサイドに振り回されてる被害者だよなぁ」と思っている。
ま…思ってるだけで言わないことにしてるけれど。
言ったところで本人が不安になって混乱するだし医療に介入することはできない。
これもまた精神科医療で起きている事実なので間違ってるわけではないし。

わしにできることはしたり顔で自分の知識を語ることではなくて寛解に至った経緯とピアサポーターとしての活動を通して学び感じ取ってきたことをそのまま伝えるだけ。
それだって寛解しなければ認められないという風潮にならないように気を遣う。

ただ、はっきり言うとわしが寛解に至った経緯そのものは誰の参考にもならないだろうなぁと思っている。
端的に言えば仕事を辞めてやりたいと思うことだけに専念していたら寛解していた。
ただ、その中で気づいたことや学んだことは誰かの役に立つかも知れない。
なら、それをわしは伝えたい。
寛解は通過点に過ぎないし、
寛解しなければ認められない方がおかしくない？と伝えたい。
寛解していても、していなくても日々を懸命に生きていることに変わりはない。
就労に重きをおいてそこに至ることを目標にしていることで恣意的に福祉職は支援をしていないだろうか？
確かに働く意志は尊い。
けどそれ以前に生きていることの方が尊いとわしは思う。
けれど世の中にそう感じることのできる場があまりにも少ないと思う。
地域生活＝就労でしか考えることができないのなら福祉自らが差別を生み出している可能性すらある。
だって誰にでもやりたいことに挑戦する権利があるんだから。
働くことはその一つに過ぎないし、手段の一つであり選択肢でしょう？
間違っても呪縛にしてはいけないと思う。
それよりもわしは居場所があって仲間がいることがほんとうの地域生活だと経験から学んできた。
効かない頓服よりも仲間がいることのほうが効果的だった。
そういう積み重ねを繰り返してきて今があることを伝えていきたい。
医療や福祉に歓迎されたくてピアサポーターをやっているわけじゃないからね。

最近はこんなことばかり言っているから疎まれることもあるだろうけどそれも含めて自分で取った行動の結果だからそれも受け入れる。
仮にピアサポートから追放されたとしても自分で蒔いた種だから誰を恨むこともない（イヤだけど）
それが自由ってことだと思っている。

ちょっと話が膨らんでしまったけど、
わしはそんなことを学生の皆さんに伝えてきたつもりだ。
願わくば一人でも伝わっていたら良いなぁと思う。
伝わってなくても記憶の片隅にでも残っていたら良いな。
とはいえどう捉えるかも自由だから「つまんねぇ！」と思われていたら頭を下げるしかない！
そしてまた勉強し直します。

ってーなところで今回はここまで。
台風や梅雨入りで気候が不安定なので皆さんどうぞご自愛下さいませ。

ではではアディオース！