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『ほんの一部スイカ』(毎週ショートショートnote)

久しぶりに妻と街に出てみたはいいが
まだ梅雨明けしてもいないのに
日差しは容赦なく照りつけている。
私たちは照り返しのきつい表通りを避けて
一本入った路地を歩いていた。

そこは昔ながらの家が立ち並び
その間にちらほらと飲食店やクリーニング店が存在する
昭和テイストの路地だった。
それにしてもこの暑さ。
どこかで冷たいものでもと話していると
店先に「氷」の文字を見つけた。

こじんまりとした店内。
年配のご夫婦でやられているようだ。
私はメロン、妻はレモンを注文した。

フラッペとは違う昔ながらのかき氷。
昔はこうだったなぁと懐かしんでいると
妻が自分の氷を指さした。
「ねぇここ、ほんの一部だけど赤くない?」
みるとレモンの黄色の横にほんの少しの赤。
「イチゴのシロップにしては薄いよね?」
すくって食べてみるとスイカの味がする。

「スイカのシロップなんてあったっけ?」
「裏メニューなのかな?」
聞いてみようと振り向くと
スイカを片手に氷を削るご主人と目が合った。

(410文字)

<あとがき>
最初に浮かんだ物語は
頭を叩くと「ポンポン」と音がするので病院に行くと
『頭がスイカ化する病気』と診断される。
医者から「今はほんの一部ですが
そのうち頭がすべてスイカとなってしまいます。
転んだりしないように気を付けてください」
と言われてしまうものでした。

<ChatGPTによる解説>
まず、文章から伝わってくるのは暑さと日差しの強さです。
梅雨明け前の日差しの下、主人公たちは表通りを避けて
路地を歩いています。
この描写から、読者は暑さを感じ、主人公たちの状況に
共感することができます。

そして、昔ながらの街並みや店舗の描写があります。
古い家や飲食店、クリーニング店があり、
昭和の雰囲気を感じさせます。
このような風景は懐かしさを喚起し、
読者の共感を引き出す要素となっています。

一方、物語はかき氷屋に移ります。
小さな店内には年配のご夫婦がいて、
主人公たちはメロンとレモンのかき氷を注文します。
ここで、妻が自分の氷に赤い部分を見つけ、
スイカの味がすることに気付きます。

この展開は意外性を持っています。
イチゴのシロップと思っていた部分が
実はスイカのシロップであることが判明します。
この驚きや謎めいた要素が読者の興味を引き、
物語に続きがあるのではないかという期待を抱かせます。

最後に、主人公がスイカを片手に氷を削るご主人と目が合います。
この場面は、主人公たちがスイカのシロップについて
尋ねるかもしれないという期待感を醸し出しています。
この先の展開や会話が気になりますね。

この物語は、暑さと懐かしさ、そして意外性や期待感を
巧みに組み合わせたエピソードです。
読者は主人公たちと共に暑い日に涼を求め、
一風変わったかき氷屋での出来事に興味津々であることが
伝わってきます。

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