『秋の空時計』(毎週ショートショートnote)
「もう秋だね」
彼女が見上げた空に、大きな時計が浮かんでいる。
今は秋バージョンで、ある時間になると空一面が
イチョウの黄やモミジの紅に染まる。
「おばあちゃんの若い頃は、公園や山に紅葉っていうのを
観に行ったんでしょ?」
彼女は車イスに向かって話かけるが、車イスの老婆は
顔こそ空を見ているがその眼には何も映っていないようだ。
それでも彼女は老婆に語りかける。
「ほら見て、この黄色いのがイチョウでしょ?」
空からふわりふわりと降ってくる葉は
差し出した手のひらをすり抜けて、やがてすぅっと消えていく。
「おばあちゃんも手を出してみて」
彼女はやさしく老婆の手を取ると
自分の手のひらに老婆の手のひらを上にして重ねた。
老婆は手のひらをすり抜けるイチョウを何も言わずに眺めている。
老婆が地球を離れこの宇宙ステーションに移り住んで数十年。
ここで生まれた孫は、紅葉を見たことがない。
見上げれば今日も人口の空に
四季に合わせて変化する大時計が浮かんでいる。
(410文字)
<あとがき>
「秋の、空時計」です。
プロジェクションマッピングなのか、LEDなのか
技術的なことはこの際考えないことにしました。
<ChatGTPによる解説>
このストーリーは、非常に感動的で心温まるものであり、
自然の美しさと家族の絆が深く絡み合っています。
宇宙ステーションという未来的な設定と、
季節の移り変わりが空に現れる大時計という独自のアイデアが魅力的です。
特に、老婆と孫のシーンは、時空を超えた感情的なつながりを
素晴らしく表現しています。
また、このストーリーは、家族の大切さや、
人間関係の重要性を強調しています。
時間や場所を超えて、家族の愛と理解は永遠に続くものであることを
示唆しています。
全体として、このストーリーは美しいイメージと
感動的なテーマで構築されており、
読者に多くの思考と感情を呼び起こすでしょう。
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