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ドラマトーク#10 2021秋ドラマ総括

遅ればせながら、前クール(10月期)の連ドラの総括を。
(ちなみに放送序盤に書いた所感記事はこちら↓)

不動のマイランキング1位『最愛』

やはりこのクールのベストドラマは『最愛』(TBS系・金曜22時)だろう。
初回から引き込まれる緻密な設定とストーリーそして先の読めない展開で高評価だったが、それが途中で失速することなくトップのまま最終回まで勢いよく駆け抜けたという感じ。
二転三転する殺人事件の犯人探し、そして単に犯人逮捕というオチをつけない最終回も良かったし、それでいて登場人物それぞれの「最愛」とは、が分かるような終わり方も情緒があって素敵だった。

2位は見応えのあった『アバランチ』

こちらも当初から高評価だった『アバランチ』(関テレ/フジ系・月曜22時)。
後半へ進むにつれてストーリーの現実離れ感が大きくなっていった感じはあったものの、しっかりと世界観が作り込まれたドラマになっていたので、そこまで気になることなく作品の世界に入り込んで観ることができたし、骨太な作風で見応えのある作品だったと思う。
こちらも一応の一件落着とはなったものの、主人公(綾野剛)のその後が曖昧、そして悪役の渡部篤郎も完全には失脚していないという含みのあるラストで、続編あるのかな?と思わせる終わり方だった。

好評価は『和田家の男たち』『恋です!』『2月の勝者』

圧倒的1位の『最愛』、インパクト大だった『アバランチ』以外にも、良かった作品はけっこうあった。
個人的に好きだったのはまず、『和田家の男たち』(テレ朝系・金曜23時)。
ホームドラマと銘打って何気ない日常をベースに描きつつも、亡き母の転落死の真相が徐々に解明されていったり、親子3世代それぞれの恋模様もあったり、主人公の優(相葉雅紀)に大小いろいろなハプニングが起きたりと、様々な要素が毎回絶妙なバランスでちりばめられた、おもしろくて満足感のある作品だったと思う。
母の死に関する最終的な結末をはじめ、必ずしも主人公やその家族にとって最良の結果ばかりになっていないオチのつけ方も良かった。

ただ1つだけ、これは余計だったなと思ったのは、最終回のラストシーン。
それまでも毎回ラストは必ず親子孫3人が食卓を囲んでいるシーンで終わるのがお決まりとなっていて、最終回も同様に食事をしながらとりとめのない会話をしているのだが、なぜか最後の最後で急に3人がカメラ目線で、
「和田家の男たち! 和田家の男たち!」
とタイトルを連呼して終わったのが、めちゃくちゃ違和感だった…。
フツーに、いつも通り食卓シーンがあってその静止画で終わる、で十分良かったのに…なぜ急にドラマの世界をぶち壊して終わったのだろう…。
これがなければ本当に、『アバランチ』と同率2位かそれ以上の評価になっていたと思う。
そこだけちょっと残念。

『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(日テレ系・水曜22時)と『二月の勝者-絶対合格の教室-』(日テレ系・土曜21時)も、全体的に満足感のある作品だった。
『恋です!』はとにかく観ていてほっこりする登場人物たちとエピソードに癒されたし、『二月の勝者』はラストのほうはどうしても合否ストーリーになってはしまうのだが、それまでの各話ごとにフィーチャーされる生徒のエピソードはどれも良かったし、そこがしっかり描かれているからこそ、最終回で描かれる受験の結果や卒業も感情移入して観られたなと思う。
こんな塾が本当にあったら子供を通わせたいなーと思えるドラマだった。

悪くはなかったが…『SUPER RICH』『らせんの迷宮』

当初の期待値がけっこう高かった『SUPER RICH』(フジ系・木曜22時)は、最終的には評価が下がってしまった感じ。
せっかく江口のりこというパンチの効いた主演に相手役が新鋭イケメンの赤楚衛二というインパクトのあるキャスティングで話題を呼んだのに、恋愛物なのかビジネスサクセス物なのかはっきり的を絞らず女性の半生を描くと言っているうちに回が進めば進むほどストーリーがとっ散らかりすぎてどういう物語なのか焦点がだいぶぼやけたドラマに仕上がってしまっていて残念だった。
そして1年後、さらに〇年後、さらに半年後…と時を飛ばす展開も多くて、結局今が最初から何年後なのかよくわかないよ! 今何歳の設定なの?! とそのたびにモヤモヤしながら観ていた…。
キャスト陣も各々のキャラ設定も良かったし、部分部分のストーリーはおもしろかったので、本当もったいない。

『らせんの迷宮〜DNA科学捜査〜』(テレ東系・金曜20時)は逆に、ストーリーというか謎解きの部分は原作があることもあって、しっかりしていて良かったが、ストーリー頼みになってしまった感が強かった。
主演の田中圭、バディ役の安田顕ともに芸達者な役者をせっかく起用していたのに、あまりその良さが生かせていなかったような…。
私は原作は知らないのでどのくらい原作に忠実なのかそうでないのかはわからないが、原作物なので原作のキャラクターにある程度沿ってという部分もあるだろうし、田中演じる主人公のぽわぽわした感じ、安田の時代遅れ感たっぷりの熱血刑事、というキャラ設定そのものは決して悪くないとも思うのだが、演出が一辺倒という感じがして、物語自体はわりとおもしろいし松坂慶子がレギュラーとかキャストもけっこう豪華なのに残念だなーと思った。

あと、放送回数が全7話だったこともさすがにちょっと物足りなかった。
これは打ち切りとかではもちろんなく、もともとの予定での全7回。
このドラマはそもそもは2020年の放送予定だったのが、ステイホーム期間の撮影中断に伴い、主演の田中の他作品の撮影スケジュールとの兼ね合いで、撮影・放送時期が変更されたという経緯があり、それもいろいろと影響したのかなーと勝手に思っているが、そういった不運がなければまた作品の印象も違っていたかもしれない。

その他最後まで観たもの、途中で脱落したもの

『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系・火曜22時)と『日本沈没-希望のひと-』(TBS系・日曜21時)は最後まで観た。

『ハンオシ』はとにかく、ラブコメにしては糖度が足りなかったなーという感想。
もっと若いカップルの物語ならピュアな感じの恋愛でもドラマとしてみられると思うが、30前後のカップルが終始そんな感じだと、最初はよくてもさすがにだんだんキュンともしなくなって、まどろっこしさだけが際立ってしまったように思う。
まあ、サバサバ系のヒロインと奥手な男性の偽装結婚というのは原作の設定がそうなのだから変えようがなかったのだろうけれど、過去に同枠で放送されてきた『恋つづ』『ボス恋』のような作品を想像していた者にとっては期待外れだったと言わざるを得ない。
もうちょっと視聴者がドキドキキュンキュンできる演出が多めにあればよかった。

一方の『日本沈没』は、壮大なストーリーと豪華キャストによる大作、というような宣伝を事前からすごくしていたので、期待感とともに、そんなに自らハードル上げて大丈夫なのかな? という一抹の不安も抱いていたのだが、最終的にやはりちょっと期待外れだったというか、尻すぼみな感じになって残念だった。

中間評価を書いた前半(関東沈没編)終了時点ではそんなでもなかったのだが、後半の日本沈没編は、日本全土が沈没するかも、という危機感の中で主人公たちが世界を股にかけて対策に奔走する、という壮大なストーリー展開と実際の映像のスケール感がどうも嚙み合ってないというか、内容に対してどうしてもつくりのチープさが気になってしまった。

ストーリー的にほぼ国内で沈没への対策ができていた前半に対し、後半は海外に広く助けを求め、紆余曲折あるものの最終的には一部沈没を免れた地域はありつつも世界各地に日本人の居住エリアができて、主人公をはじめ対策に当たっていた「日本未来推進会議」の官僚メンバーたちは世界各地に散って活躍を続ける、というサブタイトル通りに希望の持てる終わり方となっている。
そのストーリー展開というか大まかなあらすじ自体は良いと思うのだが、ラストシーンがなぜか、沈まずに残ったおそらく北海道の崖の上の草原?みたいなところ(特に思い出の地とかでも何でもない初見の場所)で、主人公の小栗旬と沈没を予知した学者の香川照之の2人が体育座りで海を見ながら語って終了…。
なんかもっと、世界各地でそれぞれが活躍している様子などが映像だけでもあってそこに2人の会話する声をかぶせて、とかって演出ならわかるけど…ロケや予算の都合なの? と思ってしまうくらいにストーリー設定のビッグスケール感にそぐわない謎な終わり方だった。

あと、物語の時間配分にもだいぶ違和感。
最終回の1つ前の回あたりは、やたら間延びしている感じで、小栗とがベンチで語りあうシーンが長々あったりしたのに、最終回では沈没に絡めて急に新種の感染症のエピソードが新たに出てきて、それに翻弄されてから解決するまでのけっこうなボリュームの内容を最終回1話の中で物凄い超スピードで展開させていっていた。
いくら2時間スペシャルとは言えさすがに無理やり詰め込んだ感が半端なく、感染症のエピソード、もっと数回前からじわじわやっておけばよかったんじゃないの? と思ってしまった。

外箱というかストーリーの大筋は良かったと思うし、キャストもこれでもかというくらい豪華だったのに、脚本と演出がというか、細かい中身が残念だった…。
今のご時世的に、海外のシーンや大人数の迫力が必要なスケールの大きいシーンなどは撮影が難しいのかもしれないが、それならそれで、今の時期に敢えてこの作品をやらなくてもよかったのでは…と思わせられた。

最後に、途中で観るのをやめてしまった2本、『ラジエーションハウスⅡ〜放射線科の診断レポート』(フジ系・月曜21時)と『消えた初恋』(テレ朝系・土曜23:30)について。
クール中盤あたりで、この2本は録画の消化が進まないという記事を書いたのだが、その後結局続きを観ることもしないまま最終的に消去してしまった。

今改めて感想を書いても、おそらく上の記事と同じようなことを書くだけなので、ここでは割愛させていただく。
やはり、数回観て抱いた印象を変えるというのは、なかなか難しいことなのかもしれない。


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