はたらくことは生きること
大学生の頃、父が病気で亡くなった。
教員だった父の背中を見て、なんとなく教育学部へ進学し、なんとなく教員になるものだと思っていた。
「先生にわたしはなるんだ!」という強い志も持てていないまま、
特に就活することもなく、卒業後、新卒で小学校の先生になり、いきなり担任を受け持った。
案の定挫折
今思えば、父の死後、それどころじゃなかった。
大好きな父がいない世界をちゃんと受け入れることができないまま、
ただ1日1日が過ぎていく日々に余裕なんてない。
教員は1年で辞め、その後転職もした。
"無職"の時間は、母や親族からのプレッシャー、周りからの目が気になってしまったから。
このときもこれまでも、一度もしっかりと自分と向き合うことができていなかった。
ふと立ち止まって向き合えば良いものの、そこの一手間をどうしても無視してしまった。
今思うと「立ち止まって向き合う、考える、整理すること」がどれだけ大事か痛いほど分かる。
こうして振り返りながらも、あの時の自分に「大丈夫だよ」と早く伝えてあげたい。
転職しても、引っ越しをしても、恋人と別れても、環境を変えても、苦しかった。
問題はそこじゃなかった。
思いきって上京して就いた仕事も辞め、ボロボロになった自分を見て、友人にも指摘され、やっと「ちょっと休もう」と思えた。
無職になり初めての1〜2週間は、休んでいることが悪いことのように感じて、気持ちが休まっていなかった。
とにかく友人に話を聞いてもらい、時々無理やり連れ出してもらって美味しいものを食べながら、少しづつ心が回復してきた。
今度は図書館に通うようになった。
今まで本を読む習慣が全くなかったのに、毎日何冊も読んだ。
懐かしい、二子玉の蔦屋書店
時々、1Fにあるスタバの前で店員さんが試飲を勧めてくれて、ドキドキしながらもらうとコーヒーの説明を丁寧にしてくれる。
あの笑顔に泣きそうになったなぁ。
本を毎日読んでいると、自分の視野の狭さに気づいた。
「なんではたらいてきたんだっけ」
「お金のためだけ?」
「なんのためにどうやって生きてるんだっけ」
難しいと行き詰まったときには、関連の本を読み、ネットで調べ、オンラインでカウンセリングサービスを受けた。
「はたらくこと」について考え、意見交換をするようなネットワークも探し始めた。
ここが、わたしにとって初めて「はたらき方」について考える転機となった。
ただ頭の中で考えて終わりにするのではなく、言語化すること、複雑なところは図解にするなどして見て読んで把握できるようにまとめてみた。
ポイントは「時間」「場所」「人間関係・環境」「仕事に求めること」「賃金」にざっくり項目を分けて書き出したこと。
そして、これらの優先順位をつける。
しっかりと向き合えば数時間〜数日あれば、整理できる内容だけれど、わたしはこの時間を後回しにし過ぎていたようだ。
けれど今からでも「遅い」なんてことはない。
「はたらくこと」に悩みを抱えているとき、意外と近くにある問題点を見逃していることもある。
「わからないこと」への不安を抱える前に、まずは現状を把握し自分にとって何が譲れないもので、今すぐではなくて3年後、5年後の自分がどうありたいか。
そこを噛み砕いて考えられると、今やっていることの意味や、今やるべきことが見えてくる。
自分の頭の中のことなのに、わたし自身、父との別れが辛すぎたため、目を背けてきたようだった。
でもそれもきっと、わたしにとって必要な時間であり、深い悲しみを経験したからこそ、周りの人が悲しんでいたり辛そうにしているとそっと寄り添ってあげられる今の自分がいる。
今は「はたらくこと」がこわくない。
わたしにとって「はたらくこと」は「生きること」
数年前に書き出した「はたらくということ」のリストは、びっくりするくらい叶えている。
でもこれは、自己分析をして、得意不得意を把握し、条件や目標を立て、そこから逆算してスモールステップでリスト化したもの。
「叶えられた」というよりは「実行した」に当てはまるのだろう。
今は未経験という壁を越え、フリーランスのwebデザイナーとしてお仕事をしている。
一方でわたしの場合、「仕事」と「暮らし」は切り離せないものだということにも気づいた。
仕事に満足していても、暮らしが安心できる環境じゃないとストレスで逆も然り。
基本的には超絶不器用でだらしない人間なので、毎日to doリストを作り、やるべきことを一つ一つこなしていく。
そうしないとすぐサボる。
(そうしてもサボることもあるけど)
大好きなコーヒーをお供に好きな音楽を一日中流し、疲れたら夫に内緒で仕入れたおやつを食べる。
自分の機嫌は自分でとる
これができると、仕事のモチベにも直結する。
新しいことへの挑戦は、大人になればなるほど億劫になってしまうこともあるだろう。
それでもその一歩を踏み出そうとしている人を、わたしは心から応援したい。
逆に「新しいこと」ではなく、「今できていることをやり続ける」ひとも尊敬する。
これもまた、誰でもできることではないから。
「はたらくこと」の正解はひとりひとり違うもの。
あなたが生きている以上、「はたらく」理由がある。
初心者ですが、これからの活動費にさせて頂けたら嬉しいです。最後まで読んでくださって有難うございました!