華優希さんの曲
歯医者さんの待合室で、流れているオルゴールのメロディに耳が止まった。
あ、これたぶん宝塚の曲、花組公演で聴いた気がする、宝塚好きなスタッフさんがいたのかな、あーなんの曲だったっけ。
そうだ華ちゃん!と思ったのとほぼ同時に気づいた。
この曲はラプンツェルの「輝く未来」だった。
輝いている 未来照らす光
お披露目の横浜アリーナ公演「恋スル!アリーナ」と、自身のサヨナラショーで花組元トップ娘役の華優希さんが歌った曲。この曲の歌詞やがあまりにも華ちゃんにぴったりで、すっかり華ちゃんの曲として私の中に記憶されていた。
華ちゃんをいつから好きになったのか、正直なところよくわからない。彼女を認識したのはポーの一族のときで、そのあとトップ娘役就任のニュースを見ても「あのメリーベルの子かあ」くらいの感想だった。歌も踊りも、華ちゃんより上手な人はたくさんいて。人前でお話もそれほど得意じゃないのかもしれないけど、それよりも彼女の目。あの瞳は、こちらが目を離せなくなるほど雄弁で。
サヨナラショーの幕開け。ラプンツェルの「輝く未来」を歌う華ちゃんの指は確かに震えていた。その姿を見て、ああ私はこの人が好きなんだなと、ずっと前から好きだったんだなと思い知らされた。
待合室には5分もいなかった。雑誌も置いていないその小さなスペースのイスに座って、歯医者さんに呼ばれるまでのあいだ、また華ちゃんが舞台人として活躍されていく未来が続くことがうれしくて、気づいたらちょっと泣いていた。
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