ひとりに一人の飯塚さん

東京03が好きです。
嫌いな人おらんやろと思うし、誰しも誰かのことを「東京03にいそうな顔ですね」とかあるいは「東京03を足して3で割ったような顔ですね」と例えたことがあるはず。

自分の脳内で会話する空想上の友だちのことをイマジナリーフレンドと言うらしいですね。主に幼少期に見られる現象だそうですが、大人にこそイマジナリーフレンドがいるといい。特にこんな鬱々とした長雨の季節は。

この働く大人のためのイマジナリーフレンドに、世界で一番適しているのが、東京03の飯田さんです。

コントではときどき羽目をはずすキャラがあっても基本的には常識人で、キレのあるツッコミの中に優しさがあって、バランス感覚に優れた人。アメトーーク！で「東京03飯塚大好き芸人」が企画されるほど、仕事仲間から愛され、慕われ、憧れられる人となり。顔立ちが男前というわけではないけれど、親しみの持てる雰囲気。清潔感があって真面目そう。会社の窓際の席や、取引先の会議室、通勤ラッシュの中にいそう。

脳内に飯塚さんを生成できたらどうやって運用するか。ご都合よろしく立ち回ってもらえばいいんです。

例えば会議が眠くて眠くて仕方がないとき。マスクの中であくびしちゃったら、会議終わりにイマジナリー飯塚さんが「バレてんぞ」とひとこと。えへへと笑ってコーヒーでも買いに行きましょう。

この時点で引いてる人はもう結構ですさようなら。続けます。だって長雨の5月だもの。暇なんだもの。

例えば仕事のアイデアが浮かんだけど自信がないときは、「オレは好きだけどね」と言わせてみます。調子に乗って「あー、すげー好き、そういうの」など。コツは今自分が誰かに言ってほしいことと、飯塚さん口調を掛け合わせることです。すげー、わかるわー、◯◯しろよ〜、◯◯だろ！みたいな。語尾ちょっと伸ばす感じで。

例えば集中が途切れた残業中。帰っていく同僚に混じってデスク横を通り過ぎるイマジナリー飯塚さん。なんて言ってほしいですか。「んー、あんま無理すんなよ」かな。「はやく終わらせてよ、腹減っちゃったよオレ」でもいいですね。
言いそうなんです飯塚さんって。だいたいサラリーマンの恰好してるからね、仕事中にイメージしやすいの。
だから仕事終わらんけどもう帰っちゃおうかなーと思ったらすかさず「いいわけねぇだろ！」とツッコんでくれます。

慣れてきたらなんて言ってほしいか考えるより先にイマジナリー飯塚さんがほら、何か喋り出しましたよ。

例えば頑張りすぎて空回りしたり、バランスが取れなくなったときは、「ちょうどよくやれよぉ」と声が聞こえてくるはず。

こちらが疲れ果てて情緒がおかしくなってきたら「情緒がもう…」とこぼし、誰かに理不尽なことをされたイライラが溜まってきたときは「蓄積ィ！！！」と言って相手をビンタしてくれるでしょう。「嫌われろ、嫌われて孤独に慄け！！」でもいいな。飯塚さん怒りすぎですって言ったら「たしなめんなよ俺の事をよ！」と返ってくるに決まってる。

誰も言ってくれないことや、口に出せないいろんな感情を、イマジナリー飯塚さんが請け負ってくれる。そうすれば万事ハッピーストレスフリー。ストレス社会の現代人にはこのように、ひとりに一人の飯塚さんが必要ってわけ。ご理解いただけましたでしょうか。

あの声も、話し方も、すべてがちょうどいい。ありがたい。ありがとうございます。らじるらじるで「東京03の好きにさせるかッ！」聴きながら寝ます。コントでは「蓄積」のやつがいちばん好きです。