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榎本 健司/さいたま榎本農園

法人名/農園名:株式会社エノファ/さいたま榎本農園
農園所在地:埼玉県さいたま市
就農年数:9年
生産品目:ビニールハウスで作る15種類のトマトと、年間100種類の露地野菜(冬キャベツ、白菜、カリフラワー、オクラ、モロヘイヤ、ナス、ピーマン、唐辛子など)
HP:https://enomotofarm.wixsite.com/e-tomato

no108

公務員から就農へ。生産だけでなく農業の多面的な魅力を創造

■プロフィール

 江戸時代から400年続く農家の16代目として生まれるも、小さな頃から農業以外のカッコいい仕事への憧れを抱きながら育つ。

 祖父の時代に養豚業をやっていた影響もあって、大学は地元を離れて北海道酪農学園大学酪農学部に入学。卒業後、故郷のさいたま市に戻り、農業政策や果樹試験栽培などの分野を担当する技術職員として13年間働く。

 父親ががんを患っていることが判明したことをきっかけに、2013年に家業であるトマト栽培を継ぐことを決意。

 認定農業者、埼玉県地域指導農業士、アグリイノベーション大学校埼玉圃場講師、農業体験プログラム講師などを歴任。さいたま市ニュービジネス大賞2016グランプリ・コミュニティビジネス賞、埼玉農業大賞農業ベンチャー部門優秀賞受賞。

■農業を職業にした理由

 「農家のあととり」と言われることに反発しながらも、子供の頃から畑仕事を手伝って育ち、大学卒業後はさいたま市の公務員として、農業政策や果樹の試験栽培、農業体験イベントの企画などを担当する。

 35歳の時に、父親ががんで「余命半年」と宣告されたことを機に、家業のトマト栽培を継ぐことに…。就農1年目には関東各地を襲った大雪によってハウスが潰れる被害に遭うが、立て直しをするなら父とは異なる新しい農業に挑戦しようと、医療用ゲルフィルムを培地に応用したアイメック農法®︎と、遠赤外線を活用した冷暖房システムKFT農法を取り入れる。

 その結果、省エネと糖度アップが進み、ミニトマトの通年栽培を実現。子供の頃は抵抗を感じていた農業でも、カッコいいことや楽しいことができるはずだとして、「生産+α(アルファ)」を経営方針に、トマトや野菜を生産するだけでなく、飲食や加工、教育、体験などを通じて農業の多面的な価値の創造に努めている。

■農業の魅力とは

 父ががんで亡くなった年齢は70歳。余命宣告から半年の猶予があったので、その時間を使って、親子でさまざまなことを話し合いました。当時の僕はちょうど父の半分の35歳で、自分の人生も70年と考えたら、折り返し地点に差し掛かった年齢でした。

 このまま公務員として働きながら、ハウスを管理していくかどうかを悩んだ際、祖先から代々絶やさずに伝えられた田畑を守ることで親孝行したい、残りの人生はそれまでとは違うことに挑戦しようと就農を決めたのです。

 でも、父が作っていた大玉トマトは、競合する生産者が多く、販路拡大が難しいのと、1種類だけではなく色とりどりのさまざまな種類を作った方が面白いと考えて、いろいろなミニトマトを生産するスタイルに切り替えました。

 ただ野菜を作るだけの農家ではつまらないと、「生産」を軸に、「飲食」「加工」「教育」「体験娯楽」の+αをモットーにした経営を目指しています。

 このうち、「飲食」にあたる農家レストランは、母の長年の夢で、事前準備もして就農後1ヵ月で始めました。最初は成功するわけないと反対していたのですが、今では生産物を直接食べて、買っていただける場所として、飲食店があることは農家の強みだと思っています。

■今後の展望

 「生産+α」の経営方針のもとに、公務員時代に体験教室などを立ち上げた経験を活かして、旅行会社などと提携して、トマト狩りや竹を使った灯籠作りなどのイベントを企画していきたいです。

 トマトや野菜を生産・販売するだけに終始するのではなく、農業を通じてワクワクやドキドキできる体験を提供することで、農業が持つ多面的な価値を創造し、地域や子供たちに農業が素敵な仕事だということを知ってもらいたいのです。

 生産面に関しては、牛糞堆肥や米ヌカ、油粕、きのこの菌床、緑肥などの有機肥料を積極的に取り入れていくようにしています。

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