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関口 真稔/エムズ水楽園ファーム

法人名/農園名:農業生産法人エムズ水楽園ファーム株式会社
農園所在地:埼玉県上尾市
就農年数:7年
生産品目:フルーツトマト「フルティカ ポモ・ロッサ」
HP:http://www.suirakuen.com/

no.70

「畑をよみがえらせたい」ゼロからの挑戦でもここまでやれる!

■プロフィール

 祖父が60年前に始めた梨とぶどう農家に生まれる。父の代になって経営が立ち行かなくなったため、中学2年生の時に廃業してうどん屋に転換する。

 学習院大学ドイツ語圏文化学科に進学し、在学中に1年間ドイツ留学。ヨーロッパ経済と再生エネルギーを専攻し、商社マンを目指していたが、就職活動中に自分には他の学生が持っていない農地があることに気づき、全ての就職活動をやめる。

 父が果樹の伐採業をやっていた縁で、知り合いの土木建設会社社長が農業経営に参入したがっていることを知り、23歳の時に共同経営でトマト栽培を開始。

 医療用のハイドロゲルフィルムを使ったアイメック®︎農法を始めたが、3年間は満足な収穫ができず、病気や害虫に悩まされた。4年目以降、軌道に乗り、オリジナルブランド「ポモ・ロッサ」を確立する。

■農業を職業にした理由

 祖父や父の果樹経営を見て育ち、小さな頃から「農業なんかやりたくない」と、華やかな世界を志してドイツ留学したり、商社マンを目指す。しかし、就職活動中に自分にはあって他の学生は持っていない農地について思いをめぐらせ、「もう一度、畑をよみがえらせたい」と祖父、父から受け継いだ場所で就農を決意。

 剪定・伐採を仕事にしていた父を通じて知り合った土木建設会社の経営者と共同で、父に手伝ってもらいながらトマトのハウス栽培を開始。

 アイメック®︎農法は、テレビ番組を見て知った技術だったが、3年間は技術者の指導どおり灌水量を控えめにして、糖度を引き出すやり方を試したものの、実が大きく育たず、黄化葉巻病やコナジラミ、葉カビ病に悩まされた。

 宮城や群馬などの農場を視察して、4年目以降、自分なりに灌水のやり方を変えたところ、収量が上がり始め、現在は「ポモ・ロッサ」というブランドで地元消費者の間で人気の存在に…。

■農業の魅力とは

 かつて、農家は公務員より所得が高い時代もあったのですが、現在では正反対のイメージで、僕自身、ずっと3Kのイメージを抱いていました。

 ですが、これからは「生きるうえで欠かせない仕事」だとして、農業が脚光を浴びる時代がきています。

 父の代で一度廃業したので新規参入ですが、弟子入りはしていません。研修していたら、もっと早く軌道に乗せられていたかもしれないけれど、ゼロからの挑戦だった分、疑問があればすぐに指導員に電話したり、他の農場を見学して勉強を続けてきました。1人でゼロから始めても、大量生産できることを示したいからです。

 3年目までは水分ストレスを与えるやり方に従っていましたが、4年目から、実が大きくならないのは灌水量に問題があると考えるようになりました。

 それでも、従来の方法を変えて、味に影響が出たら取引先に迷惑をかけると迷っていたのですが、起死回生のつもりで試してみたところ、成績が格段に良くなりました。

 同じ農法でも農家によって生産環境が異なりますから、試行錯誤は欠かせません。おかげさまで、「トマトは苦手だけれど、ポモ・ロッサは美味しい」と親子のお客さんに喜ばれた時は、苦労が報われる思いです。

■今後の展望

 祖父が残した2.5アールの畑からスタートしましたが、引退したり、亡くなった農家から委託されて、現在の農地面積は2ヘクタールまで拡大しました。

 本社がある上尾市では大根やきゅうり、じゃがいも、玉ねぎなどの露地野菜、ハウスのある桶川ではミニトマトと、二拠点で活動しています。今後も地域の耕作放棄地は全て畑にして、収穫量を増やしたいと考えています。

 今は、地元のスーパーマーケットやマルシェ、道の駅や直売所など40カ所で販売しており、商品の袋詰めは社会福祉施設の入所者に外注しています。

 規模を拡大することで収穫量が増えれば、一度は脱退したJAにも加盟しようと考えております。またパートで農作業を手伝ってくれるスタッフには、就農を志す人もおりますので、施肥やトラクターの操縦など教えながら、サポートしていきたいと思っています。

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