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相手の思っていることを丸裸に?!   シャーロックホームズ エクササイズ

過去の記事で、相手のいるコミュニケーションではラポールを保つことが一番大事で、そのラポールを築くためには、相手を一挙手一投足を注意深く見ること(カリブレーション)や相手の言葉を一言一句トレーニングされた耳で聞くこと(傾聴)が大事であることをお伝えした。

NLPのセミナーでは、これを特に強調していて前半部分のほとんどがこのカリブレーション傾聴の説明に費やされる。 しかし後半部分で習うあらゆるテクニックの部分が刺激的すぎて、僕を含めて多くの人がカリブレーションの重要性を忘れてしまう傾向があると思う。

例えば、アイアクセシングキューだ。 NLPのセミナーに参加されたことがある方やNLPの本を読んだことがある方なら一度は学んだり、目にしたことがあることがあるはずだが、実際にこれを効果的に使っている人は少ないと思う。 相手の話を聞きながら同時に目の動きを見たりするのは非常にめんどくさいからだ。

アイアクセシングキューをご存知ない方に説明すると、

人が何かを話す時、景色や、映像など、視覚的なことを考えていると目は上方向を向き、(視神経は後頭部にあるため)音や、誰かが話した内容など、聴覚的なことを考えている時は横方向に目が動き(耳のある場所)、体の感覚などの触覚的なことを考えている時は目が下を向く(体のある方)傾向があることをNLPでは教えている。 さらに言えば、記憶にあるものを探っている時は左側、想像で何かを考えている時には右側に目線が動く

例えば、相手に

最初に買った車は何色ですか?

と聞くと、相手は当時の車の映像を思い出す。 その時、目線は視覚的な記憶をたぐる方向、すなわち右上に向く傾向がある。 そして次に相手に

あなたは将来どんな家に住みたいですか?

と聞くと、相手は視覚的な想像を巡らす方向である左上に目線を移動させる傾向がある。

このことを知っていると、相手が記憶から話しているのか、それとも想像で何かを作って語っているかの手がかりを掴めたりする。 すなわち見たことを話しているのか、作り話をしているのかがわかるということになる。


シド・ジェイコブソンが見せた恐るべきカリブレーションスキルの実演

このアイアクセシングキューを含めてカリブレーション自体、骨の折れる作業なのであるが、本当は身につけるとすごい技術で、使いこなすと相手を丸裸にすることができる。 NLP大学の講師陣の一人であるシド・ジェイコブソンというトレーナーが、アイアクセシングキューを含めたカリブレーションの実際の使い方を見事に実演したのを見て、僕は考えを改め、カリブレーションをもっと練習するようになった。

シドは聴衆から一人希望者を募り、壇上に上がってもらい、その人に朝起きてから、家を出るまでの一連の所作を説明をしてもらった。その様子を彼は逐一凝視して、数秒後にその希望者にこう語った。

あなたのベッドルームにはセミダブルサイズのベッドがあり、左のサイドテーブルには、デジタル式のアラーム時計を置いてあり、右手には観音開き式の横幅1.5mぐらいのクローゼットがありますね。 そしてベッドの左手1mくらい離れたところにドアがあって、そこから2mくらい歩いた後に、一階に降りる階段がありますね。。。  

くだんの希望者は一切家の間取りを説明していないのに、目線の動きと、ボディーラングエージから、シドはその人の住む環境をほぼ完全にまるで見たかのように当ててしまった。 これには希望者本人は言うまでもなく、聴衆全員が驚いた。

このアイキュームーブメントを含めた、カリブレーションの技術においては、僕が効果的だと思った練習法があり、いかに紹介するので、興味があればぜひあなたも試していただきたい。

アイキュームーブメントのトレーニング法

まずアイキュームーブメントであるが、これは人の話の内容を聞きながら、かつ目の動きを追うのは最初は非常にやりにくいので、ユーチューブなどで人が話している動画をミュートで見る。 その際、話をしている人がどのくらいどのように目を動かしているかを見る。 思ったより目が動いているのがわかるはずだ。 そして、次に音声付きで動画を見ると、話す内容と目の動きがアイキュームーブメントのセオリーにかなりの確率で合致していることを確認できる。

シャーロックホームズ カリブレーショントレーニング法

さて次は、ボディランゲージや、外見から相手の人となりを推測する演習を紹介したい。 このエクササイズは、シャーロックホームズエクササイズと言って、御察しの通り、相手の職業や、年齢、その他の情報を推理するゲームだ。

あなたがもしコミュニケーションセミナーのような講座を主催されているならばぜひ試していただきたい。

まず参加者同士でペアを組んでもらう。 このとき必ず知らない人と組む。

推理する役とされる役にわかれ、推理役の人は相手を凝視した後、簡単な質問を2、3投げかけ、その応対によって相手の職業などの情報を当てる。
推理役の人はなぜそういう推論に至ったかを論理的に説明できなくてはならない。

例えば、相手がその日の天気を語ったとする。

”この感じの雲の様子を見ると、雨が降りそうですね”

見る、という言葉を使うことから視覚に特化している仕事をしている可能性がある。

次にその人の手を見て、華奢な手で日焼けしていないことを確認し、来ている洋服が鮮やかなブルーに、マッチしているネクタイ、おしゃれな
メガネをかけていた場合、デザイン関係の仕事ではないかと推測できる。

他にも相手が好んで使う語彙、身につけている時計、靴、など様々な情報を集めることができるはずだ。


このシャーロックホームズエクササイズの目的は、推理が当たった、当たらないはともかくとして、カリブレーションによって驚くほどの情報を得ることできるというのを知ることと、人を注意深く見る癖をつくることだ。

そしてもちろん、カリブレーション能力の実力がつけば、ラポールを築くための相手にあったスモールトークを展開することができる。


例えば、NLPの言語パターン(相手の潜在意識に直接響く会話のパターン)にマインドリーディングというのがあるが、これは相手の思っていることを当てることによって、相手の共感を得ることができるものであるが、もし相手のことがある程度正確に推理できるならばこのマインドリーディングが使いやすくなるはずだ。 

シャーロックホームズトレーニングの成果


僕はよく飛行機で隣に座った人に話しかける際にこのトレーニングで得たスキルを使う。

隣の人の持ち物や服装を凝視して、その人の出身地や趣味を推測したのち、

もしかしてオーストラリアの方ですか? 

とか、

サーフィンやるんですか?

などと聞く。 こう始めることによって

あれ、何でわかったんですか? 

と答えが返ってくる。 

そうなれば、この人は普通の人と違うなと興味を持ってもらえて、そしてすでにつかみを取ったような状態から会話を始めることができる。 

もちろん当たらなくても何らかの会話が始まるはずだ。 

ここで何の準備もなく、 

Where are you from?  どこから来ましたか?

とやると、相手もああ、おきまりの質問だなという顔をして、味気ない返答をしてくることが多く、変に声をかけてしまったのに数時間話さないという苦痛な時間になったりすることもある。


まとめ

相手とラポールを築くためには、カリブレーションが大事であり、これには、普段から注意深く人を見ることが必要だ。 

初対面の人と話すときに、カリブレーションを使って事前に相手のバックグラウンドを推測しておけば、会話のシュミレーションをすることができ、話しかけておいて、ネタギレになることを避けることができる上、話しかけたときに興味を持って答えてくれる可能性が高まる。 もちろんパーティーで使えることはいうまでもない。

僕のNLP大学のクラスメートにスペインのビジネススクールIEでNLPをベースとしてコミュニケーションを教えている友人がいるが、彼はカリブレーションの説明に多くの時間を割いている。 一度興味がてら彼の講義を覗いたところ、Lie to me いうアメリカのTVドラマを利用して主人公がいかに犯人のアイキュームーブメントを含んだボディラングエージから情報を読み取っているかを教えている。 カリブレーションに興味のある方にはぜひこのドラマを見ていただきたい。


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