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結局、自治体の課題は何なのか。

日本の地方と向き合って10年

日本の地方に興味を持ち、「地方創生」と言われる活動を始めて10年が経とうとしています。47都道府県100弱の自治体と関わりを持ったからこそ見えてきた地方自治体の課題について、今日はお話したいと思います。

まずは、私が考える自治体の課題そのものを記載します。解決策については、また然るべき時に(笑)

人の活用が下手

とにかく人の活用が下手。
人は地域内と地域外に分類されますが、特に問題なのは地域外から来た人の活用です。折角、地域おこし協力隊で地方に興味を持ってくれたのに「活用」できず、任期途中や任期後に地方を離れてしまう。外部のプロフェッショナル人材が地域に来ても、適切なポジションや権限を与えられない結果能力を発揮できず、地方から離れてしまう。
これらは全て人の活用ができない結果の産物です。

地域おこし協力隊が地方に定着せず離反していく問題について、なんとも思っていない公務員を見ると、
「わざわざ地方に興味を持ってくれた僅かな若者を心底大事にしないと、一生あなたの地方は発展しませんよ」
と思います。
(そもそも公務員が心底自分の地方を発展させたいと思っていないことも問題なのですが)

また地方自治体にしがみつくハイエナコンサルの問題。利権によって採用された「専門家」が年収1,000万円以上を荒稼ぎしながら、地方自治体をサポートするアレです。給料の高さが一人歩きして批判をされる事象ですが、私は「専門家」だけでなく、起用する自治体に問題があると考えています。1,000万円の価値がある人材は地方にいないのですから、採用できたことを素直に喜び、あとはしっかり管理をして、1億円以上の働きをさせればいいのです。他方、現実は自治体に「専門家」を管理できる人材がおらず、野放しに活動させた結果、ニーズアンマッチのアウトプットが出てきてしまっています。

リテンションの重要性を理解していない

自治体には、地域外の人をナーチャリングする発想が無いのだろうと思います。「観光」「地方創生」「メディア特集」など地域外の人が地方を知るきっかけは実はたくさんあり、リード(=地域外の人)は集まります。しかし、獲得したリードをナーチャリングする思考がないので、放置してしまう。放置した結果、地域外の人をリテンションできないのです。行政の施策もリード獲得を目的とした施策ばかりでクロージングを目的に設定しないため、「やりっぱなし」の惨状で溢れています。

例えば、ワーケーション。地域外の人にワーケーションに来てもらうことを目的とし、ワーケーション利用者の数をカウントするのは目線の低い目標です。ワーケーションで来た人の属性を理解し、地域との親和性から適切なヒトやモノをマッチングする。それによって、新たに創出された事業の数や売上を目標と設定することが真の在り方では無いでしょうか?

人を育成できない

地域外の人は、当然地方のことをよくわかっていません。自分の事業と親和性のある地域内のヒトやモノにどんな選択肢があるのかは分かりません。だからこそ地方の方々が間に入って橋渡しをしないと地域外の人とのシナジーが生まれないのです。これなくして地域外の人の事業は育ちません。

地域おこし協力隊について。私は、地域おこし協力隊は地方に興味を持つ「うぶ」な若者の労働力搾取だと思っています。活動領域は、農業・漁業・林業などの一次産業、教育など多岐に渡りますが、現状の地域おこし協力隊は現場の「労働力」になってしまっており、各事業を牽引していく将来の幹部候補の事例は極少数です。地方に若者を育てることのできる人材がいないことが原因と考えています。

カネとモノはある。無いのはヒト。

地方は補助金が潤沢です。お金がないと思っている人も単純に補助金をうまく使いこなせていないだけの事例がたくさんあります。
モノもあります。自然、食べ物、工芸など都会の人が喜ぶコンテンツもたくさんあります。見せ方は下手ですが。

結局無いのは、ヒトなんです。ヒトも地方まで来てくれているのに、地方が活用できず、リテンションの努力をしない結果、逃げられてしまうのです。(人材採用も基本インバウンドなので、もっとアウトバンドに人材を獲得しようとすればよりヒトは集まります。とはいえ、地方にどういう人が必要なのか属性定義できていないので、自治体はまともな求人票を書けないのですが)

クリエイティブを求められる自治体の窮状

極論、クリエイティブな人はそもそも地方公務員に就職しないのに、地方自治体はクリエイティブな仕事を求められてしまう、これが大きな課題です。
だからこそ、地方自治体はクリエイティブな仕事はうまく外注を起用して突破すれば良いのに、上記の通り出来ない環境にあるんですね。

日本の地方自治体の悪口を書きました。。
人不足が課題だと誤認していると、外国人労働者の確保みたいなピントのずれた施策をしてしまいますが、外国人労働者がたくさん集まっても、上記の課題を認識しない限り、同じ問題が発生し、何も解決しません。
人がいないのではありません。人を活用できていないことが真の課題なのです。


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