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ほんとうに人生観が変わる本「サードドア」


僕は、1日に16冊くらい本を読むことがあります。
小学生の頃から読書が好きで、唯一続いているものが読書と言っても良いくらい。
そんな僕が最近出会った人生観が変わる本をご紹介します。
ベスト5には入ります。何度も読み返したくなる良書です。

「サードドア 精神的資産のふやし方」
表紙に「いつだって、そこにある「成功への抜け道」何者でもない自分の、何者かになる物語。」という記載があります。
出会ったきっかけとしては、元々本屋で見かけて興味があったのと「1%の努力」という西村博之さんの本を読んだ中でこの本の一節が紹介されているからでした。
投資家として有名なウォーレンバフェットが「優先度を決める方法として、25個のやりたいことを洗い出して、その中で3ヶ月以内にできることを5個選ぶ。その5個に集中して労力を注ぎ、後の20個は「やらないことリスト」に入れる」と言った内容のことが書かれていました。

僕は。あれこれやりたいとは思いつつも、頭の中で空想するだけ。
単にこうなったら良いのになと思いつつ、もう既に実践できている人のあら捜しをしてしまう。
テレビで野球を見ながら選手にヤジを飛ばすおじさんみたいな生き方でした。
そんな僕に、上記のウォーレン・バフェットの言葉が刺さったわけです。
(本を読むと、実はフォーレンはそんな事は言ってないという話になるのですが)

とにかく。
元々気になっていて、かつ面白いなと思った本の中で言及のあった「サードドア」
こういったセレンディピティ(予期せぬ幸運)は大切にしていかないといけないな。
そう思って読んでみたら大正解でした。僕の人生観をがらっと変えてくれた良書でした。

「サードドア」を読み始めると、どうやら18歳の若者が有名な著名人に若者に向けたメッセージを募ろうとしている話だという事が分かりました。
元々ウォーレン・バフェットの人生訓が載っていると期待してこの本を読みはじめましてので、待ってましたとドキドキしました。
まぁこういった書物は単に名言みたいなものがずらーっと載っているだけの無味乾燥な本が多いこともありますが、そんな不安もありつつページを捲りました。
しかし、ある意味で裏切られる結果になったのです。

書籍の魅力を語るあらすじでは、若者が有名な方々にインタビューし、同年代の若者に夢を持たせる本を作ろうという内容が書いてありました。
しかし、1章になると著者がそう思い始めたきっかけなどがつらつらと書いてあるのです。
まぁよくある構成です。どういう経緯でこの本が生まれたのか、そういった意義が書かれているのでしょう。
けれど、期待を裏切ることに章を重ねても一向にインタビューは出てこないのです。

やっと出てきたインタビューも有名人から聞いた内容に割いている紙面は少なく、不安が膨らみました。
また、出てくる人は確かに凄い人ではありましたが、ビル・ゲイツではなく、ましてやスティーブ・バルマーですらなく、「チー・ルー」。
だれ?
マイクロソフトのオンラインサービスのプレジデント。確かに凄い。けれど、だれ?
読書が好きと言っておきながら本を舐めているような発言になるかもしれませんが、本になるくらいの「インタビュー本」であれば、当然ビル・ゲイツが出てくるものだと頭の中では思っていました。
とはいえ、ここまで読み進められたのもあるし、チー・ルーさんの話も非常に面白くて、凄く参考になるのです。

「この本はなんなのだろう?」
なまじ、ウォーレンの言葉を期待して読み始めたため気づくのに遅れてしまいました。
しかし、どうやらこの本はまったくコネのない18際の大学生がサードドアという「”コネ”」を使って、
ビル・ゲイツを始めとした著名人にインタビューするという大それたプロジェクトの道筋を書く内容だった訳です。

コネというと悪いイメージを抱く人もいらっしゃると思いますが、僕個人は特にそういったイメージはありません。
むしろ、持っているコネなら使うべきだし、既にあるコネを使わないのはアプローチ不足だとすら思います。
また、嫌われるのは親のコネなど先天的なものが多いと思いますが、自分で切り開くコネだった存在します。
というよりは、ビジネスの場ではそういったコネを活用するのは当たり前ですし、コネを作るのは想像以上に難しいです。

この本の著者はそれこそ、コネはまったくありませんでした。
そんな中、どうやったらコネクションを作れるのかと頭で考え、アポイントを取り始めます。
何週間も何ヶ月もかけて、対象をリサーチして、メールを書く。
そんな時間をかけて書いたメールにも関わらず、断られるどころか返答すら返して貰えない。
ドキドキして待っていたのも最初のうちで、ノーと言ってもらえるだけ有り難いような状況。
それでもめげずに自分に出来ることはないかともがいて行く。

本の随所に著者は凄いコネを手に入れます。
しかし、そんなコネを持っていても著者のやりたい有名人にインタビューするという内容は簡単には届きません。
メールで本人に一度オーケーをもらったのに、警備員に「お前みたいな若造がマーク・ザッカーバーグに会える訳がないだろう。お前は詐欺師だ」と止められてしまう。
そんな状況でもあれこれ悩みながら自分の思う理想のためにめげずに追い求める姿に非常に感動しました。

この本を読んでいると、結局コネだけあっても何もできないこと。
どれだけ恵まれた環境にいても、往々にしてどうにもならない状況に陥ることが学べます。
しかし、そこで止めてしまうのか。それとも続けるのか?

作中にもある通り、ケンタッキーで有名なカーネル・サンダースは「65歳でKFCを起業し、1009回断られても営業を続けた」と言われています。
1010回でようやく初めの顧客を見つけ、今私達が知っているケンタッキーの活況があります。
非常に印象的だったのは、著者が「とてつもない成功を収めた人には共通点があって、サードドア(裏道)を探して使っている。そこがターニングポイントとなって今の成功がある」というのを途中で考えています。
しかし、これも作中で著者のメンターに否定されます。
「ターニングポイントなんてものは、後から振り返った時にここがそうだったのかもと言うようなもので。当の本人たちは、丁寧にていねいに仕事を積み重ねているだけだ」

前述のカーネル・サンダースの件だって、1010回目でようやく営業が実った。これがターニングポインではあるのでしょう。
しかし、カーネル・サンダースだってようやく実った営業に喜びはしたものの、この後だってこれまでの1009回の営業と同様に地道に仕事を続けたに違いないのです。
今のケンタッキーを見ると、宝くじがあたったかのようなそういった「運」に目が行きがちですし、カーネル・サンダースの超人のような「人間離れした」「自分とは違う人種なんだ」なんて事を想像しがちです。
けれど、彼は営業の天才だった訳ではないですし、あぐらをかからずにきちんと毎日働いたからこその今があるのでしょう。

この本の良い所は、エジソンや前述のカーネル・サンダースの過去の例ではなく、
まさに今のタイミングでコネのない若者があくせく実施して、ベストセラーを書くまでに何をやったのか? それを飾らない言葉で書いている点です。
素晴らしいメンターに出会い、そのコネでラリー・ペイジと一緒のトイレまでこぎつけたのにまともに話しかけられもせず、ようやく実ったゲイツとの対談もきちんと成果を挙げられない。
飾ることのないリアルな途方もない試行錯誤。
それが丁寧に書かれているからこそ、自分にも明日から、いや今から何か出来ることはないか? と期待できるのだと思います。

失敗自体が成功で、諦めない限りじりじりと前に進んでいく。
その失敗やら成功やらの積み重ねがようやく実っていく。
何よりも情熱と諦めない心が大事なのだという、そんな「よくあるセリフ」を”実感を持って”感じました。
ただの名言集では伝わらない、行動に移すための熱い火を灯してもらった。
この本を通じて、著者の試行錯誤の物語をなぞった今、心からそう思います。

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