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あの日から11年。東北の今を訪れて②

これは震災から11年が経過した今、宮城・福島を訪れた2日目の記録である。
(前回の記事はこちら)

前回の投稿から1か月が経過した。
普段の記事と比較して、こうしたテーマの記事はどうしても時間がかかってしまう。
まとまった時間が取れたGWの今、記憶が風化しないうちに2日目の記録を綴ろうと思う。

3,

冷蔵庫から作り置きいただいた朝食を取り、あたためる。
昨夜合流した友人を加えた4人で食べる朝食。
リビングに備え付けられたテレビでは、遠い国で大統領が話している姿が映っていた。深刻さを増す報道に緊張感が高まる。

その後、女性陣の準備を待ち、予定よりやや遅れての出発。次の合流地点である松島へ向かう。ハンバートハンバートさんの曲を聴きながら、のどかな雰囲気にひたる。

道中では偶然にも八百屋、兼自家栽培小麦を用いたお菓子を販売するお店に出会い、そのコンセプトに共感して思わずダクワーズを購入した。期間限定のようだが、ほのかなりんごの甘さがおいしかった。訪れた地域で取り組みに共感したとき、手の届く値段なら購入することがモットー。小さな取り組みだけど、少しでも地域で頑張る方の力になれればと思う。

松島駅では数人と合流。車も2台になり、いよいよ本格的にツアー開始だ。
昼食は海鮮丼。松島という立地だからか観光地価格で、産地も実は松島ではなく昨日訪れた気仙沼だったのだが、それでも美味しいものは美味しい。あっという間に食べ終え、新たなメンバーと共に出発した。

本日の目的地は健太いのちの教室。全国でも珍しい「企業防災」に関して、講演活動を続けられている団体だ。
こちらで代表の方々から、活動への思いやご自身の被災経験を伺う。

ご講演の詳細はぜひ、こちらの記事を読んでほしい。

ご講演を自分なりにまとめると以下のようになる。

・講演者の田村さんご夫妻の息子さん、健太さんの被災を機に活動を開始。
・健太さんは地域で一番有名・安定企業のうちの一社に入社。
・女川支店勤務中に被災も、支店長の判断により地域公式の避難場所ではなく、避難場所より低い支店の屋上に避難。支店長の言葉は絶対で、それに反する行動をとることが難しかった。
・結果として津波に巻き込まれ犠牲になるも、企業側があまりにも無責任。
・納得いく説明もなく、またこの教訓を後世に伝えようという意識もなく、現在も社内ではこの出来事がタブー視されているとのこと。
・この教訓をもとに、田村さんご夫妻は今、人の生命・身体の安全を第一に守る大切さを学び、企業・組織の防災・減災及び安全対策に生かすための情報発信・研修等を行われている。

「健太いのちの教室」ご講話より

企業防災、という言葉は、この場所を知るまで馴染みのない言葉だった。
しかし「一人の生命は地球よりも重い」との言葉はテロとの戦いの時だけではなく、現代にも十分通ずるものがある。人間は不完全な生き物であるから時として道を誤ることもあるだろうが、その誤りを、企業としての大義のために、プライドを保つために、認めない、ましてタブー視する企業を信頼することは僕にはできない。それが大企業であり、地域で有名な企業だったとしても。

とはいえ、今所属する会社が企業防災に力を入れているか、というとそうではないように思う。入社してから今まで、オフィスの防災に関しての研修は未だ受けていない。安否確認のツール導入説明を受けたくらいだ。企業の立地も関係するのかもしれないが、防災研修を入念に行う企業はまだまだ少ないのではないか。

ただ、日頃から上司に意見を聞き入れてもらえる環境はある。
だからこそ、個人でできることだけでもしておきたい。
避難経路を確認すること、避難場所を知っておくこと、非常時に上司にもそれを適切に共有できるようにしておくこと。

一人の生命は地球よりも重い。
これだけでも助かる確率が格段に上がるのだから。

講話後はそんなことを考えながら、本日の宿泊地へと向かった。
深刻な内容だったからか、旅の疲れからか、車内では皆、言葉少なであった。

(③へ続く)

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