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採用活動に「3C分析の概念」を取り入れた結果エンジニアの新採用ブランディングのノウハウが構築できた話

「採用活動って3C分析が重要だと思うんですよね」

かれこれ3年間ほど採用活動をご一緒させていただいた企業様がふと発した言葉でした。

これまで「市場における採用ブランディング」や「ペルソナに合わせた魅力設計」等をおこなってきましたが、「3C分析」を採用活動に当てはめて考えた事はありませんでした。

本ブログの結論としては、この「3C分析」を用いて採用活動 ( 魅力設計 ) を進めていただくことが非常に重要だということをお伝えしたいと思っております。

ではご覧ください。


0. 3C分析とは

外部環境の市場と競合の分析からKey Success Factorを見つけ出し、自社の戦略に活かす分析をするフレームワーク。
3C =「市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の頭文字。

出典:グロービス経営大学院 MBA用語集

経営戦略 / 事業戦略 / マーケティング戦略、そして営業戦略において非常に大事になるフレームワークの1つで、この3Cの認知が甘いと、事業がうまくいかない、なんてこともあり得ます。

では、この「3C」を採用活動に当てはめてまいりましょう。

1. 3Cを採用活動に当てはめてみる

まずは、前述にて説明いたしました3つのCを採用活動に当てはめて説明してみます。

自社 ( 採用企業 ) 、顧客 ( 求職者 ) 、競合企業 ( 採用競合 ) 、この3つの認知が採用活動において大事である事は皆様なんとなく思っていらっしゃると思います。

もう少し詳しく説明します。

1-1. company

これは、自社 ( 採用企業 ) が発信したい「魅力」を、自社起点で発信することを指します。

「御社の魅力はなんですか?」とご質問を受けた際に、

・「働いてるメンバーです」
・「プロダクトの業界シェアです」
・「働き方が柔軟なことです」

などと、あらゆる角度でご回答いただけるかと思います。

これらは、
「 ( どのような顧客(求職者)かは度外視して ) 、自社がどのような魅力があるのかを発信している」に過ぎません。

言うなれば、「頑固なお寿司屋さん」と言いますか、「ウチは最初の一貫目は、絶対コハダから出してます🙅‍♂️!!!( あなた( = お客様 ) の好みは考慮しません ) 」と言うイメージです。もし仮に、目の前にいるお客様が光物が苦手だったら、そしてコハダが苦手な可能性もあります。

話を採用に戻すと、あくまで「 自社 ( 採用企業 ) 」を起点とした魅力になりますので、自社で語っている魅力が求職者様の希望とズレが起きてしまう可能性があります。

ただ、自分たちの「自信作」を提供することはもちろん非常に重要なことです。そのため、少々ネガティブな表現をしてしまいましたが、この自社 ( 採用企業 ) 起点での魅力をお伝えすることも、非常に重要なことです。

「採用ブランディング」とは採用企業の魅力を「発掘」「言語化」「整理」することと定義します。

この採用ブランディングは「職種を横断して活用することができる魅力」を羅列しています。つまり本ブログの論点の1つである「エンジニア採用」に特化をした魅力の取りまとめではないです。

蛇足ですが、採用支援に入る際に、まずこの採用ブランディングを取り組むことが多いです。なぜならば、その企業の様々な魅力を明瞭化できないと、採用活動における成功が難しいからです。

ただ、昨今過熱化しているエンジニア採用においては、上記における「職種横断」をした採用ブランディングだけでは戦えなくなっています。

1-2. customer

これは、自社 ( 採用企業 ) が発信したい「魅力」を、顧客 ( 求職者 ) 起点で発信することを指します。

仮に「働く時間が長くてもいいから、とにかく成長したい」と言う思考の形と「ワークライフバランスを大事にしたい、ONとOFFを分けて働きたい」と言う思考の方が存在していた場合、魅力に感じる点は異なるはずです。

極端な事例を記載しましたが、御社が求める「ペルソナ」がどのような思考なのか、そしてそのペルソナはどのような情報に魅力を感じやすいのか、これは細かく整理できたりします。

そこでTIM設計 ( 詳しくは下記のブログをご覧ください ) を設計し、職種横断型ではない、ペルソナごとの魅力設計を行うことで、より貴社の魅力を職種ごとに打ち出すことができることに気づきました。

1-3. competitor

これは、他社 が求職者様に対して「何の魅力」を提示しているかを指します。

求職者様が貴社を知ってから入社を決めるまでの過程で、他の企業様と比較をされないのであれば、このCompetitorという項目は必要ないです。ただ、全く比較せずに採用活動を終えられる求職者様も、比較されない企業もほぼ無いでしょう。

そうなってくると、他社が採用活動において「どんな強みを持っているか」知ることが重要です。比較するポイントは、下記をご参考ください。

6P+ CGM+Tech

👆は、ポテンシャライトが採用ブランディングをする際に利用しているフレームワークです。求職者様の転職軸になる項目を網羅的に記載しています。

ここで、じゃあ自社がどの企業と比較をするべきなのか?と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

答えは明確で、「採用競争企業」です。

「採用競合企業」と「採用競争企業」の違いは、下記のブログを是非ご覧ください!

2. 競合調査

競合調査をしてみようと言うことで、
エンジニア採用にて著名な企業様を羅列させていただき、当社なりに「イメージ」を書き出してみました。最初はぱっと頭に思い浮かんだ言葉を書き出してみました。


※上記は正しい解釈で記載しているのではなく、あくまで私の「イメージ」で記載しております。

ここで気づいたことなのですが、企業名を見たときに最初に思いつく言葉は「業界」であることがわかりました。例えば、キャディさんは「製造」、アンドパッドさんは「建築」、プレイドさんは「アド」、などです。

つまり、採用界隈においてやはり「〇〇テック」というブランディングは重要だと感じています。

この業界観点の分類を眺めていると、1つ気づきがありました。それは「ビジネスモデル」です。昨今はSaaSブームがいまだに続いでおり、〇〇テックと聞くと、= SaaSのようなイメージをもたれるかもしれません。ただ世の中のエンジニア求人が全てSaaSなわけではありません。

例えば、「メルカリ」はCtoCの仲介手数料モデルですし、「17LIVE」はCtoCの課金モデル、「食べログ」はBtoBtoCのBからはサブスクでご料金をいただきCからはプレミアム会員の月額をいただくモデルです。このように様々なビジネスモデルが存在しています。

前述した〇〇(業界)テックは最初に思い浮かぶ言葉でしたが、ビジネスモデルも1つポイントになるのではないかと思っています。


※上記は正しい解釈で記載しているのではなく、あくまで私の「イメージ」で記載しております。

さて前述した2つ(業界とビジネスモデル)以外に、何をピックアップできるのかを考えてみました。エンジニア採用界隈において著名な企業様については、ある言葉が思いつきました。

皆さんもなんとなく下記のイメージを持たれていらっしゃるかもしれません。その「なんとなく」お持ちいただいているイメージが重要だと思っています。

例)
culture:Ubie、10x、ユーザベースなど
person:メルカリなど
tech :アンドパッド、Preferred Networks

ここで感じたのですが、結局のところ当社がアウトプットしている魅力の分類である、「6P+ CGM+Tech」になるのでは?と感じました。ただ、調査を進めていくと、新たな気づきを得ることができました。

それは、「tech」の項目における内容がバラエティに富んでいたことです。本ブログはエンジニア採用に少し焦点を当てて書き進めたいと思うのですが、テック観点における特徴をもう少し細かく分類できるのではないかと考え、過去に取りまとめていた「エンジニアとして採用企業で働く魅力の分類」を引っ張り出してみました。
すると、下記のような内容がピックアップできました。

 - 新規プロダクトの開発ができる
 - プロダクトの数が多い
 - 新規プロダクトの立ち上がる数が多い
 - 競合プレイヤーが少ない
 - リアルビジネスへの連携
 - マイクロサービス
 - 多言語化対応をするプロダクト
 - 事業が伸びている
 - ユーザー数が多い
 - 顧客満足度が高い、解約が少ない
 - エンジニアがプロダクト企画にも携われる
 - フルサイクル
 - フルスタック
 - アーキテクチャー / 技術選定にも携わることができる
 - 機能ごとに少人数のチームを組成している ( タスクフォース )
 - クライアントの声を聞くことができる
 - 透明性
 - CREのポジションを作っている
 - 心理的安全性
 - 組織におけるエンジニアの比率
 - 技術力を上げるマインド
 - ユーザー体験にこだわっている ( デザイン思考 )
 - 動くもので語ろう
 - 発信数
 - 開発者設備投資
 - チームビルディング
 - デザイン思考
 - 最新の技術とアーキテクチャ
 - テストケース、QAプロセスの自動化
 - 技術的負債への取り組み
 - CI/CDなどモダンな環境が整備されている
 - データの民主化
 - リファクタリング
 - 経営者がエンジニア出身
 - メンバーのスキルが高い
 - BTDなど全て強い
 - 外部リソースを活用 ( 生産性視点 )
 - システムリプレイス
 - 勉強会、社内セミナーが多い
 - コードレビュー
 - エンジニアのキャリアが多彩
 - 人事制度
 - ドッグフーディングが可能 ( 自らがユーザー )

誤解がないように申し上げると、上記の内容は「Tech観点」のみで取りまとめた内容ではなく、あくまで「エンジニアとして採用企業で働く魅力」を並べています。そのため、バライティに富んだ内容となっています。

複雑になってきましたね。
一旦ここまでの変遷を整理しましょう。


  • 採用活動における魅力は3Cが重要だ

  • 特にcompetitor(競合)についてより深ぼる必要がある

  • competitorを調査するために、著名企業を羅列し、イメージできる言葉を羅列した

  • その結果、業界+ビジネスモデルは重要。その次にあらゆる項目があった。

  • その中でも「tech観点」の項目における内容がバラエティに富んでいた

  • 「テック観点」の調査を続けたところ、ピックアップ/整理できた魅力は「6P+CGM+tech」に分類できた

  • つまり、結論としては上記に並べた内容こそが、エンジニア採用における「6P+CGM+tech」なのではないかと気付きました。

※本ブログでは非常に複雑な説明をしています。おそらく頭が混乱するような内容になっているかもしれません。当社も頭を整理しながら答えにたどりついた「軌跡」を先に書いたほうが、課題解決のアプローチをご理解いただけるかと思い、書き進めています。


3. エンジニアの新採用ブランディング〜技術力×〇〇〜

ここからがこのブログの本題ですが、上記における「職種横断」をした採用ブランディング項目と、「エンジニア採用」における採用ブランディング項目を、今回の課題提起そして調査によって明瞭にすることができるのではないか、そう考えました。

ただ、もしかしたらこんなご質問を受けてしまうかもしれません。

 「例えば、1番上の「新規プロダクトの開発ができる」と言う項目について、もちろんエンジニアにとっては魅力的な内容かと思うのですが、新規プロダクト開発の求人なんて、割とたくさんあるのではないか?」

おっしゃる通りです。未だベンチャーブームが続いている昨今の世の中において、新規のプロダクト開発に携われる可能性は多くあります。そのため、上記における項目において、に該当する項目が「幾つあるか」は1つのポイントになるかと思います。誤解がないように申し上げますと、上記の羅列した項目は全て該当しなければならないと言うわけではありません。

次にこんな質問を受けてしまうかもしれません。

「これらの項目を採用活動において打ち出せる事は理解できたんだけれども、伝え方によっては候補者様に魅力に感じていただけない可能性もあるのではないか?」

おっしゃる通りです。論点はまさにそこだと思っており、こちらの項目がそもそも「重要」だと感じていただかなければなりません。

上記は当社代表が半年ほど前に書いたブログです。
エンジニア採用に限らず、御社がPRしている魅力は、そもそも目の前にいる候補者様に「重要」と感じていただいてなければ、ぬかに釘を打つような形になりますよ、と言う内容を記載しています。

話を本ブログに戻すと、上記に羅列しているエンジニア採用における魅力項目である「6P+ CGM+Tech」の全項目に対して、insightを用いて補足することが重要だと考えました。ここで言うinsightとは「なぜその項目があなたにとって重要なのか」を記載したものです。

例えば下記をご覧ください。

 - 魅力項目プロダクトの数が多いinsight異なる「種類(業界)」「フェーズ」のプロダクト開発に従事できる
 -「種類(業界)」マッチングプラットフォーム、●●(SaaS)、●●(他の種類)種類(業界)が異なると ビジネスを成功させる勘所(ポイント)も異なるつまり1社に在籍しながらさまざまなビジネスに触れることができる
 - 職種問わず経験の幅が広がる「フェーズ」0⇒1フェーズ、1⇒10フェーズ、10⇒100フェーズ、100以上フェーズプロダクトのフェーズによって求められる職域が異なるため、職種問わず経験の幅が広がる。

上記の通り、さまざまなプロダクトが存在することで、メンバーにとって成長のキッカケとなるどんなに「思想」が良いサービスだとしても「ユーザー数」は非常に重要ですよね。思想だけを追い求めても頭でっかちになるし、利益だけ追い求めても会社の存在意義が無くなります

どちらに偏らせるかは会社の方針次第ですが、直近のベンチャー企業は、思想に寄り過ぎてしまい利益を作れず衰退するパターンが多々あります。どのくらいその企業のプロダクトが導入されているかは社会からの通信簿であり、かつ利益を担保する事は会社拡大にとって非常に重要なキーファクターとなります。

Webサービス / SaaSプロダクトは成長するためのフェーズがあります。第一にPSF。プロダクトが顧客の課題解決(ソリューションにフィット)できるかどうか。第二にPMF。プロダクトが業界(マーケット)にフィットしているか。

繰り返しになりますが、どんなに良いサービスであっても、顧客の課題を解決でき、且つ「業界全体」に受け入れられるかがポイントで限定された顧客に受け入れられるサービスよりも、業界の本質的な課題に受けられるサービスの方がはるかにスケールします。

仮にWebサービス / SaaSプロダクト開発をするのであれば、出来る限り多くの顧客の課題解決をする方がやりがいは大きい事は言うまでもありません。「当社は、プロダクトの数が多いです」と言う事実のみのPRについては、候補者様が魅力として変換していただくことはできません。

一方で、上記をした「insight」と言う箇所について説明をすることができれば、「プロダクトの数が多い」と言う箇所は、少なくとも3倍程度は魅力に昇華できるのではないかと思っています。

エンジニア採用における「6P+CGM+Tech」については、現段階で30項目があります。当社では、この30項目全てで「insight」を準備しています。これがあれば、さっぱりとした魅力もよりPRすることができる魅力に変換することもできるのではないかと思っています。

ただ、「結局、技術力×〇〇についてはどうするの?」

そうなのです。本ブログの最初の課題提起は、「competitorと比較して、技術力 × 〇〇」と言うブランディングをできれば良いよね、と言う内容でした。

では、この〇〇と言う部分については何が適切なのかをもう少し詳しく解説していきます。
まず取り組んでみたのは、前述したエンジニア採用における6P+CGM+Techの項目において、「採用競合」企業はどの項目に当てはまるのか。誤解がないように申し上げると、「採用標語」はスタートアップ企業からメルカリまで大変幅広い範囲に渡ります。つまりエンジニア採用している「すべての企業」が採用競合になるとご認識ください。

「エンジニア採用している全ての企業が競合になるなんて、その中からの差別化は難しいのではないか?」
そんな意見をいただいてしまうかもしれないのですが、それでも戦っていく必要があります。エンジニア採用しているすべての事業を正確に調査する事は難しいですが、下記のようなアプローチをしてみました。

ランク付の表(一部)

各項目ごとに希少価値が高い(当てはまる企業が少ない)項目を1、
希少価値が低い(当てはまる企業が多い)項目を5
でランク付けしてみました。

ランク付の表ご覧いただけるとご理解いただけるかと思いますが、ここで数字が小さい項目に当てはまる企業は、採用活動における自社の希少価値を打ち出しやすいといえます。つまり、「技術力×〇〇」と言う部分を打ち出しやすい内容といえます。

一方で、数字が多い項目にばかり当てはまってしまう企業様は、エンジニア採用界隈における希少価値が低いといえます。そして、そもそも上記の項目に該当しない企業様もあるでしょう。その場合は、エンジニア採用において弱者であると認識しましょう。この結果になってしまったら致し方ないです。

採用活動を前に進めるために、この項目に当てはまるような戦略/戦術設計にする必要はないかもしれませんが、少し考えてみた方が良いかもしれません。

最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。

複雑な話をしてしまいましたので、改めて最後におさらいです。

  • 採用活動における魅力は3Cが重要

  • まずは自社の魅力と職種ごとの魅力を考える

  • その上でcompetitorの「Tech」項目はどのようなランクになるのか

  • それを踏まえ、自社はどの項目が弱く、どの項目が強いのかを知る

どうでしょうか?スッキリしましたか?
本ブログでは思考した「軌跡」を辿りながら記載させていただきましたが、ネクストアクションは上記のように明瞭です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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