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採用活動で意識すべき 「競合」と「競争」について

「もし仮に、御社の事業/プロダクトが、世の中に存在する事業/プロダクトよりも魅力的である場合、どのような理由になりますか?」

こちらは当社の採用ブランディングを実施する際の質問の1つです。この質問をすると、即答でご回答いただく方は多くありません。もちろん、素晴らしい的を得たご回答をされる方もいらっしゃいますし、「…、その質問難しいですね、回答思いつきません」と率直にご回答いただける方もいらっしゃいます。

本ブログの論点は「競合」と「競争」についてです。採用活動においてもこの2つが非常に大事になりますので、ぜひ皆様ご理解いただければ幸いです。


0. 採用ブランディングとは?

冒頭で触れております採用ブランディングとは、

採用活動における魅力の「発掘」「言語化」「整理」をすること

になります。

採用活動を実施するにあたり、自社の魅力が明文化できていなければ、優秀な候補者様と出会ったとしても、口説くことができません。また、魅力の内容が偏りのある項目になっていると、幅広い候補者様に本社が選ばれる事はありません。そのため、採用ブランディングを実施し、自社の魅力の「発掘」「言語化」「整理」をすることが非常に大事になります。

※整理できた魅力をどのようにアウトプットしていくのか(採用マーケティング)については本ブログでは触れません。


1. 「競合」と「競争」とは?

採用界隈において下記の質問が飛び交うことが多いです。

「御社のプロダクトは、競合プロダクトと比較すると何が強みなのでしょうか?」

これは人材会社(エージェントなど)が採用企業にする質問の代表例です。僕も新卒の頃に先輩方から、

「山根、この●●社って、競合他社との違いって何なの?明瞭でなければ紹介できないぜ」

と、よく言われていました。また、僕もマネージャーに上がってからは、部下に同じようにこの指摘を多数していたことを覚えています。これは、つまり「競合」の話です。その企業の競合他社と、具体的に何が異なるのかを明瞭にした上で、魅力を打ち出しましょう、と言うオーソドックスな考え方です。

そして、本項に記載をした「競争」とは何か?
先に事例ベースで説明をすると、マクドナルドの「競争」相手は、スターバックスでありコンビニであると言われています。マクドナルドの「競合」は、ケンタッキーやロッテリア、フレッシュネスバーガーなどのファーストフードであるかと思います。
ただ、現在は商品/サービスの幅が広がっており、お客様視点で言うとどこかふらっと飲食店に入る際に、マクドナルドでコーヒーを飲むのも良いし、スタバに入るのも良いし、コンビニで100円を出してコーヒーを買うのも良い。つまりマクドナルドの「競合」と「競争」相手は異なる。そんな意味合いで、この2つの言葉を使っています。


2. 冒頭の質問について

本ブログの冒頭に記載をした、

「もし仮に、御社の事業/プロダクトが、世の中に存在する事業/プロダクトよりも魅力的である場合、どのような理由になりますか?」

こちらの質問は「競争」相手を強く意識した質問になります。おそらくどの採用企業様も、人材会社様も事業を「競合」との違いを意識した採用活動設計をしているのではないかと思います。これは何も不思議なことではなく、むしろ明瞭にすべき内容です。明瞭になっていなければ、その記事を/プロダクトがその業界(市場)において勝ち抜くことができません。

ただ、採用活動に携わっている皆様、少し考えてみてください。「事業競合」をする企業と採用活動でバッティングしたことはありますでしょうか?もちろん、バッティング経験がある方もいらっしゃるかと思うのですが、「事業競合」ではない企業様とバッティングする回数の方が圧倒的に多いはずです。そのため、採用活動を進めるにあたり「事業競合」との違いを一生懸命打ち出したとしても、強い意味を成さないことのほうが多いです(もちろん必要ではありますが)。

それよりも必要なことは、採用活動を進める上で「競争」相手となる企業様と比較して「魅力」になるポイントを明瞭にした方が良いです。なぜならば、毎回のように「競争」相手とバッティングするのですから。
ただ、「競争」相手と比較した「魅力」はどのように明瞭化すれば良いのか、これが難しいのです。早速やり方を見てみましょう。


3. 魅力項目である6P+CGM+techの活用

ポテンシャライトが定義する採用活動における魅力の項目である「6P+CGM+tech」にしたがって、「競争」相手との違いを明瞭化するやり方はオーソドックスではありますが、非常に重要なことです。

ただ、御社の魅力をこの項目ごとに羅列するだけでは、「競争」相手に勝る事はできません。では、どのようにすれば「競争」相手と比較して項目ごとの魅力を強く打ち出せるのかを見て参りましょう。

 3-1. philosophy

philosophy=哲学、つまり思想を指します。

具体的にはミッション/ビジョン、創業背景などを指します。
本項でミッション/ビジョンを取り上げて説明します。ミッション/ビジョンで重要なのは「scope(範囲)」と「Final Point」です。下記をご覧ください。

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また、現在のミッション/ビジョンを達成したさらにその先はどのような構造を持っているのか?このあたりが重要です。非常に狭い範囲をphilosophyにしている場合はあまり魅力的に捉えられない可能性も高いので注意が必要です。

 3-2. product

product=事業/プロダクトを指します。

本ブログで語り尽くせないほど、事業/プロダクトの魅力は深い議論が必要です。とは言いつつ、本ブログで課題提起をしたため、「競争」相手に勝る魅力の打ち出し方をひとつご紹介いたします。

繰り返しになるのですが、「自社事業/プロダクトが世の中のすべての事業/プロダクトと比較して魅力的である理由を仮に作るとしたら,どのような理由になるか?」の仮案を設定してみると答えが導き出せることがあります。「世の中のすべての事業/プロダクトよりも魅力的な」という箇所について、これを満たす要素は簡単には見つかりません。むしろ無い可能性も高いです。ただ、仮案で良いのです、仮案でも考えた結果が採用活動における突破口になることが多いです。

また、後述しますが、productはmarket観点にも直結することが多いです。つまり「どのマーケットで」「どのようなプロダクトに取り組んでいるのか」は直結する、という意味です。そのため、productとmarketの両者において「競争」相手を凌駕できる魅力を見つけてみるのはオススメです。

 3-3. profession

profession=職務内容です。

職種横断の魅力ではなく、御社の「●●職種」限定の魅力を指します。本項は「競争」相手と比較することが難しい項目になります。そのため、愚直に明瞭に魅力を表現できるように準備することに注力をしましょう。そこまで取り組んでいれば一旦及第点かと思います。そのため本項は事実をきちんと伝えることが賢明かと思います。

 3-4. person

person=人、つまり働いているメンバーです。

メンバーのキャリアや人柄、人としての器などが該当します。
本項は違いを明瞭にするのはやや難しいことが多いので事実をきちんと伝えることが賢明かと思います。

 3-5. privilege

privilege=福利厚生/働き方などを指します。

福利厚生/働き方で「競争」相手との差別化を打ち出すためには、「背景」を説明することがオススメです。
御社の福利厚生や働き方は,何か軸があって生まれたものであることが多いです。もしくは課題が発生して,その課題を解決する形で生まれたかもしれません。福利厚生や働き方は、アウトプットに過ぎず、重要なのはその「背景」なのです。背景にその企業の姿が描写されていることを認知する必要があります。

 3-6. phase

phase=企業/事業のフェーズです。

当社はベンチャー企業のHR支援をさせていただくことが多いのですが、一言で「ベンチャー企業」といっても、様々なフェーズが存在します。どのフェーズにもメリット/デメリットが存在しており、得られる経験/得られない経験も存在します。そのため、一概にどのフェーズが最も魅力的なのかは「候補者様」次第ではあります。

ただ、採用活動を行う上でのテクニックとして、御社の現在のフェーズが最もエキサイティングであり、魅力的であることを伝えなくてはなりません。当社では各フェーズにおける魅力を全て整理をしておりますので、すぐに提供することはできます(本件は全て公開しているわけではありません)。

 3-7. culture

culture=社風、会社の文化を指します。

まず前提論として採用活動を進める上でなぜカルチャーが重要なのかを、採用活動を実施している当事者たちも理解しなくてはなりません。
僕自身は採用活動のみならず、あらゆるすべての事業活動においてカルチャーは一番の差別化できる項目だと思っています。なぜならばカルチャーは真似をすることが難しいからです。そのため、明瞭で魅力的なカルチャーを文言化し、社内に浸透させることができれば大きな強みになることは間違いありません。

そのため、本ブログの主題である「競争」相手との差別化においては、カルチャーは強い武器になるでしょうし、僕としてはオススメです。活用難易度は高いですがすごく良いかと思います。

海外の企業さまはカルチャー/バリューについてのこだわりは非常に強いですよね。これ自体が採用活動における魅力になっていると感じています。

 3-8. growth

growth=成長環境です。

僕が日々コミュニケーションを取らせていただく企業さまはベンチャーフェーズであることが多いのですが、成長環境推しをしている企業さまも多いです。また、転職活動をしている求職者さまも間違いなく成長は欲しているかと思いますので、成長環境があるかどうかはポイントの一つになります。

成長は「業界/業務が紐づいている業務スキル」と「全業界で通用する人間力」、「マインド/価値観」の3種類があります。特に、人間力とマインド/価値観についてはビジネスマンとして成長していくにあたり、非常に重要な要素の一つになるかと思います。事業競合ではなく、「競争」相手との差別化もしやすい内容となってくるかと思いますので、オススメです。

 3-9. market

market=市場/業界です。

皆さまが所属している市場/業界における魅力を文言化できていることが好ましい状態です。また、市場/業界の「大きさ」は重要です。なぜならばその事業のダイナミックさは、市場の大きさが起因しているからです。ただ、本ブログのメインテーマである「競合」と「競争」の概念で説明をすると、同じ業界の「競合」企業と同じ「業界」に所属しているため、本項目におけるPRが被ってしまうかもしれません。一方で、「競争」相手は別の「業界」の企業さまであることが多いため、本項目の市場/業界は差別化ポイントの一つになることは間違いありません。

そのため、市場/業界における魅力打ち出しは「競争」相手にとって有効な要素となることをご認識いただければ幸いです。

 3-10. tech

tech=技術環境です。

これはIT企業でエンジニア採用をする企業さまで重点的に説明をする箇所になりますので、本ブログからは割愛したいと思います。


4. 「競合」  「競争」との推奨 差別化項目

上記の魅力項目を踏まえて、「競合」と「競争」関係における差別化項目を整理してみました。

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上記における「競合」は事業競合と捉えてください。同じような事業に取り組んでいる企業はproductとprofessionが被さる傾向があります(細かい違いはありますが)。またmarketも同様です。一方で「競争」相手は全ての項目において差別化はできるかと思います。

ただ、上記の項目の中でも「優先度」があります。下記をご覧ください。

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例えば「競争」相手と差別化を図りやすい項目は何があるだろう?と考えた際に、前項で説明した通り、「philosophy」「culture」は筆頭になるかと思います。一方で「privilege」「phase」も一定の差別化にはなるかもしれませんが、決定的な差別化にはなりにくいです。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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