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日常の中にいる非日常な存在

 水深1,000メートルの海底にいる気持ち。そこがどんな場所かは知らないが、とてつもない圧力と息苦しさを感じている。
 数年前は普通に乗れたはずの満員電車だが、テレワークの浸透により、電車に乗る機会が減った今の僕には過酷だ。すっかり圧力低めの環境に慣れてしまった。人混みの中で人混みが苦手と言うのは、自分もその一部のため矛盾している。それは理解している。だけど、満員電車の中で満員電車が苦手と言いたい。
 冷静になり、周りを見渡す。この環境に順応している人がいる。ある学生は、圧力が少ない場所を確保し、そこだけ新鮮な空気が流れているかのように平然と携帯を眺めている。またある社会人は、圧力を器用に受け流しながら、悠然と本を読んでいる。通学や通勤だろう。とても場に馴染んでいる。
 満員電車には、毎日同じ場所に通うという日常がある。僕だけが非日常なのだ。圧力で潰れている肩と身体を、僕はより狭めた。

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