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超ショートショート

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超ショートショートとは、短くて不思議な物語。 「誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座」という本を読んで 「僕にも作れそう…!」そう、思いnoteで投稿することに決めました…
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#私の作品紹介

命で買いもの【超ショートショート】#35

命で買いもの【超ショートショート】#35

深夜の時間帯にだけ開くスーパーマーケットがある。
このお店にはありとあらゆるモノが売っているが、
全てお金では買うことができない。

ここでは自分の寿命…つまり命の時間と引き換えに
モノを手に入れることができる。

例えば、もやしなら30円ではなく30秒、
アルコール飲料350ml缶なら300秒分の命の時間を切り売りし
購入するといったシステムだ。

もちろん自分の寿命がいつ尽きてしまうのかは当人

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紅葉獅子 #34

紅葉獅子 #34

紅葉シーズンになると賑わう動物園がある。
そこには秋になると立て髪が紅葉する雄ライオンがいるからだ。

よく白変種の動物がメディアなどで話題になっているが
このライオンは、特に珍しいと瞬く間に話題となり、
ライオン目当てに新たな紅葉スポットとして多くの人でごった返していた。

終えるような赤色が勇ましい百獣の王は
経営難だった動物園の救世主となった。

(完)

↓今回の作品ができるまでのワークシ

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祭りの配達 #33

祭りの配達 #33

祭りの配達は、新型ウイルスの感染症拡大により
気軽に旅行が出来なくなっていた頃に誕生したサービスだ。

有名な祭りから地元の人しか知らないものまで、
全国各地で開催される祭りの賑わいを自宅で楽しめる。
このサービスは人混みに巻きこまれることなく楽しめるとあって人気だ。

ただ、顔を赤らめたくなるような奇祭も含まれているので
家族やカップルで楽しむ場合は要注意だ。

(完)

↓今回の作品ができるま

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告白マッチ #30

告白マッチ #30

マッチングアプリを使った恋活が当たり前になり、
数多あるマッチングアプリサービスがひしめきあう中、
新たなマッチングアプリがリリースされた。

その名も「告白マッチ」。
コンセプトは、シチュエーションマッチングサービス。
いわば、シチュエーションから始まる恋愛だ。

パートナーを見つけたい人が
「こんなシチュエーションで告白したい」とアイデアを提案する。
そして、その提案に共感した人はイイね!する

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失恋焼きそば #29

失恋焼きそば #29

失恋したら焼きそばを食べる。

そんな習慣がY市民の中で、
じわりじわりと広がりを見せている。

はるか昔、顔のタイプを
ソース顔、しょうゆ顔などと
調味料に例えるというようなことが
流行ったという。

(カランコロンカラン)

今日も失恋焼きそばを提供しているお店に
うつむきながら入ってくる人がいた。

「焼きそば…ください」

「お味は、ソース、しょうゆ、塩など
 他にも色々あるんですが、どれ

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京の悪霊ハンター #28

京の悪霊ハンター #28

梅雨が明けるころ、
蝉が夏の始まりを告げ、
京の都には、コンチキチンの鉦の音が響きわたる。

疫病退散を祈願したのが始まりとされ
千年以上つづく祇園祭は、
医療技術の進歩により、疫病退散の役割は終えたが、
それでもなお、祇園祭が行わなければならない理由がある。

それは、悪霊の捕獲だ。

悪霊は、はるか昔から絶えず人に憑き悪行を積み重ね続けてきた。
ついには世界最大のスポーツ大会までもが狙われ、

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ドッキリ屋 #27

ドッキリ屋 #27

「ドッキリ屋」という職業がある。
ドッキリといえば、テレビのバラエティ番組企画のひとつ。
仕掛け人がターゲットとなる人物にイタズラを騙し反応を楽しむと言うものだ。

それが今、世間一般にも
オーダーメイド・ドッキリ企画サービスとして
「見て楽しむドッキリ」から「仕掛けて楽しむドッキリ」へと
利用の広がりを見せている。

最後のロボット #26

最後のロボット #26

多種多様な生命体が姿を消してから数千年、
かつて人間から地球と呼ばれていた惑星では
ヒューマノイドが君臨していた。

しかしそんなヒューマノイドたちも
新たなる生命体の出現により
種の存続の危機を迎えていた。

その新・生命体は、突如として現れ
姿形も捉えられないほどの速さで
次々とヒューマノイドを襲い続け
ついには、最後1体のみとなった。

残されたヒューマノイドは、
何とかして危機から逃れよう

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ギャラリー・アタリマエ #25

ギャラリー・アタリマエ #25

「ギャラリー・・・あたりまえ?」
街を歩いていると不思議な名前のアートギャラリーを見つけた。

気になり建物の中へ入ってみると、沢山の作品が並んでいた。

「良かったら見ていってください」
玄関付近で立ち止まって眺めていると
この店のオーナーが声をかけてきた。

一歩一歩歩みを進めながら絵を眺め、作品タイトルを見ていく。

「時間」「生きる」「息をする」「太陽が昇る」
「友人と会う」「挨拶」「家事

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バナナネコ #24

バナナネコ #24

頭からバナナが生えているネコ。
そのミスマッチなビジュアルと愛くるしさで
今、注目を浴びている動物だ。

頭に生えているバナナはネコ自身は食べない
飼い主や懐いた人だけが味わうことのできる代物だ。

間違っても無理矢理取って食べてはいけない。
食べると全身が痺れはじめ、次第に呼吸困難に陥り
死に至ってしまうのだ。

そのことを食いしん坊だった友人が教えてくれた。

失恋宝くじ #23

失恋宝くじ #23

マッチングアプリを手がける企業が
新たに「失恋宝くじ」というサービスをスタートさせた。

失恋をした人の元へ宝くじが届くというサービスだ。
落ち込み度合いによって宝くじの枚数も変わってくる。

失恋の有無はアプリ内で
当事者同士の申告によって確認される。

宝くじなので当選確率は決して高くないが、
ハズレてもチケットがあれば
マッチングアプリ会社と提携する
エンターテイメントモールで映画や食事を

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バーチャル社長 #21

バーチャル社長 #21

バーチャル社長とは、ネット上のビッグデータを活用することで
社員、ステークホルダーとのコミュニケーションや経営を行う
人工知能が搭載された社長のこと。

以前の社長は、常に眉間にシワを寄せながら仕事をしていた。
そのため話しかけづらいオーラが醸し出され、
社員との距離感を遠くさせていた。
それが、コロナ禍も相まって
じわりじわりと業績にも影響が出てきていた。

そこで社長は、
緊急事態宣言下にでき

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スベりアレルギー #20

スベりアレルギー #20

スベりアレルギーとは、
ギャグや冗談が全くウケないと眼の痒みや鼻水くしゃみといった
アレルギー反応が引き起こされる状態のこと。

無論、ウケつづければ症状は出ないが、
緊張感のある場面や大舞台でスベると
最悪、取り返しのつかないことになる。

これは誰にでも発症するが、そもそも普通の人はウケを狙う機会が少ないので
大半は発症したことに気づかずに日常生活を過ごしている。

(出囃子)

「はい、どう

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人生ガチャ #19

人生ガチャ #19

ある晴れた日、若い夫婦に待望の第一子が誕生した。
2人にとって子どもが産まれるのは喜びもひとしおだった。
しかし、夫婦は悩んでいた。この子をどのように育てようかと。
そこで病院内に設置された「人生ガチャ」を利用することにした。

人生ガチャは、「社長の人生」「アーティストの人生」といった
あらゆる人生がデータ化されたチップ付きカードとなって
カプセル玩具に入っているガチャガチャである。

生まれた

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