読書記録「勝てるデザイン」
読んだ本
『勝てるデザイン』
元・任天堂デザイナーであり、
現在デザイン会社で代表を務める前田高志さんの著書です。
読んだきっかけ
応用編である「愛されるデザイン」を先に読み、基礎編である「勝てるデザイン」も気になったので読みました。
印象に残ったフレーズ
その1:フォント
駆け出しデザイナーはまず文字を攻略すべし、と書かれていました。
(3〜5年経験を積み、文字やレイアウトを極められたら、次のフェーズに向け脱皮すべしとのこと。)
デザインがダサく見える要因はフォント、と聞いたことがあります。料理も食材がいい方がより美味しくなるのと同じで、デザインも素材となるフォント選びが大事。
そして使い方。役割に応じたサイズや文字間、行間の使い分けが重要。
私はグラフィックデザインに触れてから、文字選びや使い方の重要さを実感しました。グラフィックはwebサイトのようにスクロールの必要がなく、1枚で目に入るものが多いです。フォントの違いで、受ける印象・表現できる世界観が変わるのだなと思いました。
その2:客観視
デザインはある目的のために存在するので、見た人がどう感じるか、気持ちが動くかが全て。それにはお客さん目線、つまり「客観視」が何よりも大事。ノンデザイナーの方(むしろお客さんになりうるので最適)含め、他人の目線はやはり大事なんだと思いました。
個人的にすごく使えるなと思った、
自己完結できる客観視が、寸劇です。
「お、こんなところにこんなものが」
「なになに〜?」
と、1人寸劇で対象物を見ます。
さらに、
「この情報分かりにくい!」
「この文字読みにくい!」
と、鋭いツッコミを入れる。関西人は得意なのではないでしょうか。
これ、いわゆるデザイン以外でも実践できるなと思いました。
例えば、
・メール文章(スタートは「なんかメールが来たぞ!」)
・メルカリの出品ページ(スタートは「なんか新しく出品されてる!」)
上記は、相手に何かを伝える手段に該当します。
デザインも、何かを伝えるツール(手段)だと考えています。
適切に伝えられるか、客観視のための寸劇。私もやってみようと思いました。
客観視についてもう1つ、印象に残ったフレーズは
「物理的に自分の手から離す」。
仕事で上司に資料の確認を依頼する時。
「これで提出しよう!」と上司の机に向かう途中に、「ここやっぱ変だな」と気づく。
本書によると、これは「自分の手から手放した」から気づける現象です。
歌もそうだと思います。カラオケでは気持ちよく歌えたのに、録音を聞くと音程がフラットすぎたり、よくあります(私は)。
上達する人は、手放して客観視しているのだと思います。
※余談ですが、私の推しの楽曲「ハナツ」。
彼らは「頑張れ」と言わない応援ソングが多く、この曲もそう思います。全国高校ラグビーのテーマソングだったからか、ラガーマンに人気(私調べ)。ぜひ聴いてください。
その3:デザインがダサくなる理由
道筋立てた思考は必要だが、あれよこれよと思考を盛り込んでしまい、ダサいデザインとなってしまう。
怖いのは、自分でそれを気づけないことだと思いました。
ここでも客観視が重視されそうです。
デザインはそもそも魅力的である必要があり、
思考と造形を往復するのが理想的。
コンセプトは後付けでもいい、造形から生まれたデザインがあってもいい
これは私には衝撃でした。
私も後付けでデザインに意味を含ませたことがあり、それはずるいことだと思ってました。
後から意味を持たせてもいい。
自分の中で自由度が上がったような気がしました。
その4:誰しも日常的にデザインしている
なんと私たちは日常的にデザインをしていると書かれていました。
今年からデザインを学んだ(と思ってた)自分には衝撃でした。
本書に書かれていますが、デザインとは思考と造形の掛け算。その思考の部分は「可能性や選択肢を増やし、その中から最適なものを選び取る」行為です。つまり、
・仕事の優先順位を決める
・メールの言葉選び
・友達にプレゼントをあげる
これらも全てデザインです。デザインは日常生活に溢れています。
この章の内容ですが、ご本人がnoteに記されていました。貴重すぎ!
人に何か伝えることが目的である場合、やはり客観視によりデザイン(ここでは「最適な選択」の意味になりそう)を良くできる、と解釈ができます。
メールだったら、受け手の立場に立って文章を考える。
プレゼントだったら、受け手の反応を考える。
これ無意識にやってる人も多いと思います。
プレゼント選びや何かのサプライズの企画など、私も大好きです。相手の反応を考えるとワクワクします。だから、舞台に立つのも好きなのかも。
自分ごとにして、良いものに執着することで、クオリティを引き上げる。
仕事や日常生活にも活かせそうです。
感想とまとめ
印象に残ったフレーズ2~4に共通して「客観視」のワードが登場しました。
私が合唱団webサイトを作成した時、
TOPページのデザインはメンバー(ほとんどノンデザイナー)にも確認を依頼しました。
「これは〇〇じゃなくて▲▲に見える」
「これは色が濃い方がいい」
など、思いの外、意見をもらったことを思い出しました。
「言われてみれば違和感」に気づかせてくれるのは、デザイナーだけとは限らないですね。
各コンテンツに著者の体験や思考が盛り込まれており、
「こんなにいいの?」と思うくらい盛りだくさんでした。
読む時期やタイミングによって、印象に残るフレーズが変わりそうとも思いました。
定期的に読み返したい本です。
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