見出し画像

第一回:タムジャイサムゴー「香港人の胃袋を支える定番麺類」

テンポスバスターズ社発行のフリーペーパー「Smilers」で連載中の「フリ
ランス広報 葛西直樹の飲食探訪記 『超好吃(ツァオハオチー)」からの引用記事です。



日本でひっそりと営業を続け、東京在住の香港人をとりこにしている店がある。スパイスヌードル店、「タムジャイサムゴー」だ。2022年3月に新宿にオープンして以来、現在、恵比寿と吉祥寺含め3店舗を構えている。

タムジャイサムゴー(以下タムジャイ)は香港で生まれ、日本では吉野家のように現地で親しまれ、ミシュラン(ビブグルマン)を3年連続で受賞している香港名物のローカルフードだ。このタムジャイには連日多くの香港や中国に住んでいた現地人が行列を成している。

ちなみにこのタムジャイを仕掛けているのは丸亀製麺でお馴染みのトリドールである。そのニュースが発表されたとき、日本に住むタムジャイを食べていた外国人たちのコミュニティは歓喜の渦に包まれたことをよく覚えている。

スパイスヌードルの麺は、お米と水だけで作られた米線(ミーシェン)を使っている。スープは6種類の中から選べ、また100種類以上のトッピングと10段階の辛さから選べる。自分好みの1杯を作ることができるので、通いなれてくると段々自分の一杯のルールが出来上がってくるのだ。

味は日本人が食べ慣れたラーメンのようなガツンとさはないが、それ故に癖なく食べやすく、ある種アジアの定食のご飯のように毎日食べることができる。これがタムジャイの米線のウリなのかもしれない。米の要素は今年の食トレンドに挙げるメディアもあり、タムジャイはその時流にも乗っていると言える。

オープンしてから1年が立ち、立地の良さも功を奏し日本人の来店も増えている印象。その中でも女性客が特に多いのは、米線ということもあり、手軽に食べれるグルテンフリーの側面が好評だからだろう。筆者は妻が香港人ということもあり、このタムジャイは日本上陸前からとても親しみがあり、なおかつよく喫食していた。

よく食べていたクリアスープは辛さを増し増しにし、さらにニラをダブルトッピングした自分特製の一杯にしていた。実はタムジャイの日本進出時の試食会にも参加しているのだが、原材料の入手難の兼ね合いで香港で注文できる海鮮メニューに制限がありつつ、辛さは2~3段階ほど控えめに設定されていたが、最近密かに辛さが香港に寄ってきているようだ。現地の感覚が味わえるのは嬉しい。

また、サイドメニューにも目が離せない。スパイスが効き小さく食べやすい大人気のトーフェイチキン(手羽先)や豚バラチャーシューにんにくのせは、にんにくがどっさりと乗っている。このチャーシューとライスヌードルのスープを絡ませると、ついつい恍惚な気分になってしまう。にんにくの匂いを気にしない香港人ならではのメニューなのかもしれない。

またトッピングの豚ひき肉炒めも大変人気なメニューであり、筆者は最近ヌードルを甘い豚ひき肉炒めに軽く載せて食べるのがマイブームである。ライスヌードルに含まれた辛さと甘みが絡んで、ジャージャー麺のような味わいになるのも楽しい食べ方だ。

またドリンクメニューも抜かりなく、香港人の定番ドリンクの濃いめのミルクティーや、輪切りのレモンがどっさり入ったレモンティーもぜひ楽しんでいただきたい。また食に敏感な香港人に合わせて飲み物の甘さを変えることができるサービスもとても良い。


世界的な物価高騰の煽りを受け、以前よりも素材やメニュー開発に制限が出た店舗が増えていると聞く。タムジャイのように毎日食べれるような味わいでトッピングやサイドメニューにより自分の1杯を作ることができたり、ライスヌードルを取り入れたメニュー開発を進めてみるというのも今の時流に沿いつつ、他の地域や国からヌードルへの解釈を一度改めるきっかけが訪れているのかもしれない。


葛西直樹へのお仕事依頼(営業・事業開発)は coin3trn@hotmail.co.jp まで、お願いします。 最初のメールに条件や詳細などがついていると幸いです。