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星がみんな、きみの友だちになる本 #雨水「星の王子さまの天文ノート」

こんにちは。広報室の下滝です。

少しずつ暖かさを感じられるようになり、寒さも峠を越えたような気がする今日この頃。
晴れた日の夜空に冬は簡単に見つけられたオリオン座が見えなくなり、夜空も季節を変えて動いている様子が感じられます。

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夜空といえば、ニュースを追っていた方も多いかと思いますが、探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」の果たした偉業と長い旅には世界中が注目し、改めて小惑星探査に注目が集まりました。

今回は、ぼんやりと知識はありながらも、詳しくはよく知らない…そんな宇宙についてあらためて知りたい!という時にオススメな天文入門書「星の王子さまの天文ノート」をご紹介します。

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皆さんはサン=テグジュペリの生んだ世界中で愛されている小説「星の王子さま」をご存知でしょうか?

TVや広告、文房具にも時折「王子さま」が登場しますので、イラストは見たことがあるという方もいらっしゃるかもしれませんね。

小説は主人公の「ぼく」と他の星からやってきた「王子さま」が出会うところからはじまります。

王子さまは自分が暮らしていた小惑星「B612」を出発して少しの間地球へ滞在し、「ぼく」に自身の住む星の話や、訪れた他の惑星の話、大切なバラの花のことなどを教えてくれます。

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その一方、本書「星の王子さまの天文ノート」は、星の王子さまの言葉とともに、実際の惑星の謎に迫ったり、星座や天文現象について詳しく知ることのできる、宇宙を身近に感じられるような一冊です。

小説を未読の方でも、物語の文章が各章の扉に入ることで、より宇宙というテーマに入り込みやすい構成になっています。

全体の流れとしては、まず第1夜では「月」、2夜では「惑星」、3夜は流星や彗星などの「天文現象」、4夜は「天体や星団」、5夜は「星座」、そして最終夜は「人と星の道のり」について。
それぞれイラストや写真を交えてわかりやすく丁寧に解説されています。

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第1章のテーマが私たちにとって身近な“月”というのも、本書が読みやすく感じる理由のひとつかもしれません。

月の表と裏の姿、満ち欠けと月齢を一覧で説明しつつ、一番星を見つけやすい空の美しい時間「薄明(トワイライト)カレンダー」も掲載されていて、読み終えると思わず今日の月の形を確認したり、一番星を探したくなってしまいます。

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第2夜で触れる“惑星”はページごとに一つの惑星を紹介していて、写真付きで「太陽になりそこなった惑星といわれる木星」や「横倒しで自転する珍しい惑星、天王星」など、興味を引く見出しをつけて解説してくれています。

中には王子さまの故郷である星「B612」の仲間であり、あの「はやぶさ」「はやぶさ2」が着陸した「小惑星」についての箇所もありますので、想像を膨らませながら読んでみても楽しめます。

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面白いのは、最終夜に掲載されている「タイプ別 星へのアプローチ」のコーナーで、質問に答えて矢印を進んでいくと、自分のタイプ別に星や宇宙に関するオススメな場所を教えてくれます。
チェックして休日に出かけてみるのも楽しそう。

そして、本書を読んだからといって無理にすべての星を知る必要はないし、宇宙を好きになる必要もないのですが、

「夜になったら、星をながめておくれよ。
ぼくんちは、とてもちっぽけだから、どこにぼくの星があるのか、きみに見せるわけにはいかないんだ。
だけど、そのほうがいいよ。
きみは、ぼくの星を、星のうちの、どれか一つだと思ってながめるからね。
すると、きみは、どの星も、ながめるのがすきになるよ。
星がみんな、きみの友だちになるわけさ」(P.103より引用)

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この王子さまの言葉は、ひとつだけでもお気に入りの星や星座を見つけるだけで、夜空を見上げるのが楽しみになるという素敵なことを教えてくれます。
あなたもこの本を開いて、友だちになれそうな星を探してみませんか?

地球を出発した小さな探査機たちの活躍は、宇宙開拓の歴史を塗り替えました。
小惑星「リュウグウ」で採取に成功した岩石の成分は、人類が生まれた謎を解明する手掛かりになるのではと言われています。
いったいどんな謎が解き明かされるのか、想像するだけでわくわくしてきますね。

こうして本やニュースをきっかけに、私たちが住む地球や太陽系に目を向けてみると、少し違った目線から、広い視野で自分の生きる世界を見つめられる気がします。

晴れた日には遠くに瞬く星々に思いを馳せながら、夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。

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-今回のここに注目!-
「ぼく、こんどは、どこの星を見物したら、いいでしょうかね」

王子さまの問いのように、見物に行くような気持ちでページをめくって星を眺めてみるのもオススメです。

王子さまが故郷の星に咲くバラの花に強い想いを抱いていくように、遠くを知ることで、今私たちが住む地球について、より愛おしく感じられるかもしれません。

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■星の王子さまの天文ノート

監修:縣 秀彦(国立天文台)
出版社:河出書房新社
定価:本体1500円(税別)
単行本:128ページ
ISBN:9784309252759

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