深夜特急5

沢木耕太郎の深夜特急。オーディブルで通勤時に聴いています。ちょうど5巻目が先週出まして。最後に5巻を読んだのは2003年の冬だったと思います。仕事がそんなに忙しくなく、大手町のオフィスを出て、有楽町、日本橋、竹橋、半蔵門、神保町あたりのカフェやら喫茶店やらで良く本を読んでいました。

2001年から2年間、転職活動をしてライバル会社に内定をいただくも所属会社の取締役と父親から軽めの「思い直せアドバイス」をもらったのと、2002年の冬の転職活動では気がつくことがあって、最終的に戦略系コンサルへの転職をやめました。何に気がついたかというと、自分とレコードが重なったのでありました。

まあ、こういうことです。
大半のレコードは、2500円で新品を買ったとしても売りに出すときは数百円。プレミアがつくレコなんてほんの一部で、しかもプレミアがつく、つかないなんてそのレコードの実力的要素なんてほとんど関係なかったりします。
自分を売らない方が多分、いいだろう。もう、会社でのことは色々諦めよう。そう思ったのでありました。

でも、やっぱり性格なんでしょうね。「馬鹿にあごで使われる」のがどうも許せない。それを受け流すことが出来ない性分。なので、あの頃から一人黙々と、そう20年以上、会社のことはやり過ごす、という生き方をしてきました。モチベーションゼロでもそこそこのパフォーマンスを出していく、って感じですかね。

2003年の冬に読んだ深夜特急、私は沢木耕太郎の圧倒的熱量を感じたアジア編が面白くて、インド、ネパールからイスラム圏に入る中で疲れ切っていく沢木耕太郎にどこか寂しさを感じ、トルコ、ギリシャへとヨーロッパに進むにつれて感傷に耽り出す沢木耕太郎にあまり面白さを感じませんでした。しかし、この年齢になり、最近会社人生における色々な経験について感傷に耽っているからなのでしょうか、深夜特急5がすごく沁み入ります。

イスタンブールで、沢木耕太郎がその気になればあと1週間で東京に帰れることに気が付きます。『イスタンブールからアムステルダムまで車で5日間、そこからロンドンに行き、東京に戻ると言うショートカット』 でも、イスタンブールからギリシャへ入っていく。

私も、『今時点で会社を辞めたらいくら退職金が出て、いくら年金がもらえるか』計算してみました。今時点というのは初めての経験でした。ここで辞めても悪くないかなと少し考えましたが、私もギリシャに入っていくことにします。今のところ、私もロンドンまで乗合バスで旅行をしようと思い直しました。当初の予定通り、私はサラリーマン(あごで使われる人生)は63歳になってすぐやめようと思っております。


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