就活の話~地方×文系大学院生⑨ミスマッチが起こる理由を、就活生の視点から~
0.内定辞退率予測、原因はミスマッチ?
先日、内定辞退率予測の販売について書いたnoteをCOMEMO by NIKKEIに取り上げていただき、たくさんの方に読んでもらいました。
正直、専門家でもなんでもなく、しかもビジネスパーソンですらない私の拙い文章を取り上げていただけるとは思っておらず、恐縮しきりです。
さて、内定辞退率予測の販売について、実際に購入していた企業が次々に明らかになり、再び話題に上がるようになってきました。
この問題についてはTwitterやNewspicksで様々な意見が飛び交っており、興味深く読みました。
その中で1つ思ったのが、”企業はすぐ辞める人を採りたくないんだな”ということです。
内定辞退にせよ、入社後の退社にせよ、”採用時に払ったコストに見合わないくらい早く辞められたくない”んだろうなと。
それはそうだろうなと思います。
日本の新卒採用はポテンシャル採用なので、入社してせっかくあれこれ教えて、さあ売上を作れる力がついたぞというタイミングで、あるいはその前に辞められたら、投資した分が回収できません。
どうして入社後すぐに辞めてしまうのかというと、入社前とのギャップ、いわゆるミスマッチが原因のようです。
新卒の就活生は働いたことがないので、実際に働くイメージがうまくできないのは仕方ありません。
スマッチを防ぐためにインターンをしたり、実際の仕事について詳細に説明したりしてくれる企業もありますが、そういう問題じゃなくない?とおもうことがあります。
前置きが長くなりましたが、私が”そりゃミスマッチも起こるわ”と思ったポイントについて書いていこうと思います。
1.就活ナビの構造
就活を始める時、最初に何をするか。
就活ナビに登録します。
この就活ナビには、本当にたくさんの企業が掲載されていて、すべての企業ページを見るなんて不可能です。
だから、就活生はとりあえず検索をします。
この検索項目が曲者なんです。
検索項目はナビによって様々ですが、基本になっているのが下の3つです。
〇勤務地
〇業種
〇職種
就活生の立場から言わせると、「働いたことないのに、業種や職種なんてよくわかんない」です。
勤務地だって、こだわりがあれば1つの判断基準になるけれど、こだわりが無い人だったら判断基準になりません。
だから多くのナビには適職診断のようなものがあって、とりあえずそれをやります。
心理テストのような形式で、質問に答えていくと向いている仕事の特徴や職種がわかります。
例えば私のとあるナビでの診断結果はこんな感じです。
〇指示を待たず自分で考えて動くことが大切な仕事
〇素早く決断し進めていくことが大切な仕事
〇一つひとつ着実に取り組むことが大切な仕事
や…だからそれってどの仕事よ?って思いませんか?
私はめちゃくちゃ思いました。
業種・職種がよくわからない上に上記のようなふわっとしたアドバイスを頼りに選ぼうとしても、うまく選べないのは当たり前じゃないですか?
ミスマッチが起こるのも自然なことです。
更に言うと、就活の場では、「実現したいこと」や「将来のビジョン」が常に求められます。
いくら向いていたって、自分の将来のビジョンとうまく絡めて面接で語れなければ、「(仕事自体には向いてるかもしれないけど)この人のやりたいことはうちじゃできないな」と落とされてしまうわけです。
それならいっそ、自分に向いていて、かつビジョンが実現できる業種・職種を教えてくれる人がいればいいと思います。
私は就活エージェントの意見が参考になったので、もう就活生1人につき1人のエージェントがつけばいいのにと思っています。
2.将来のビジョン
最近の就活では、終身雇用が崩壊しつつあるおかげで、1つの企業の中でどう過ごしていきたいかよりも、1人の人間としてどう生きていきたいかが重視されているようです。
やたらと「成長」という単語を使うようにキャリアセンターやアドバイザーから言われるのもそのせいなんでしょう。
私は将来のことなんてわかんないと思いつつ、わからないなりに考えてビジョンを描き、面接で話していました。
ところが知人に自分のビジョンについて話したところ、こう言われました。
”ちょっと具体的過ぎる”
”本当にそのビジョンに直結すること以外、やりたくないように見える”
そりゃあ企業に入ったら好きなことばかりできるわけじゃなし、降ってきたことは何でも精一杯やるつもりです。
やりたいことをやるための過程で、やりたくないこともたくさん乗り越えないといけないことくらいわかっています。
でも、そういう心構えがあることを追加で話しても、ここまでビジョンが明確だと言い訳に聞こえるかもしれないらしいんですよね。
あくまでその知人の意見ですが。
ただ、確かに思い返してみると、面接でビジョンについて話していても、面接官のリアクションがいまいちだったことが度々あります。
印象に残っているのは、とある総合職採用の面接です。
入社後にやりたいことを聞かれて答えたら、「うちは総合職だからいろいろな仕事をやってもらうけど、大丈夫?」と聞かれました。
その時は「じゃあ入社後にやりたいことなんて聞くなよ」と思いました。
総合職だからいろいろやるのはわかっていたし、その中でも特にやりたいことを聞いているんじゃないのかと。
でも多分、私が間違っていたんですよね。
総合職採用なんだから、総合職採用でできることの範疇でのビジョンを語るのが、あの場合の正解だったんでしょう。
つまりは企業にとって使い勝手がよく見えるようにビジョンの抽象度を調整しないと、印象が悪くなってしまうんですね。
何も考えていないようでもだめ、考えすぎていてもだめ。
はっきり言わせてもらいますが、要望が細かすぎます。
いっそ企業の側から「例えばこれくらいの具体性のものがいい」と例を出してくれたらそれに合わせて調整できるからよっぽど楽ですが、そこまで回答を限定するようなことはしてくれません。
だからその企業の募集要項や、面接官の反応を見ながらどんな答えを求めているのかを予想していくしかないんです。
なんか…就職して、クライアントとそういうやりとりをするならまだしも、なんで就活でこんなことしなくちゃいけないのかと空しくなります。
相手が求めていることを汲み取る力を付けると言えば聞こえはいいですが、そんなの別に就活の場じゃなくても訓練できそうです。
そうやって相手が求めている答えを言わないと就職できないようになっているから、本心でないことを面接で言わざるを得なくなって、ミスマッチが起きるんじゃないんでしょうか。
3.単純に疲れる
前項で述べたように、面接を攻略するには企業が求めている答えを想定しないといけません。
そのためには、企業のことをたくさん知らないといけません。
以下の手段があります。
〇説明会に行く
〇社員の方々との座談会に参加する
〇ネットサーフィンしまくる
〇Matcherなどのサービスを使って社員の方と話す
〇OB・OG訪問する
これらを、受ける企業のすべてに対してするわけです。
もちろんすべての企業に対して同じ熱量でやるのかは各人の判断の範疇ですが、なるべくやった方がいいとされます。
何社くらい並行して受けるのかは人によりますが、多い人で15~20社くらい受けています。
受けたい企業の選考時期が集中すると簡単にこれくらいの数になることは、私も想像に難くありません。
そうすると、めちゃくちゃやることが多くて疲れるんです。
自分1人で完結する作業ならまだしも、社員の方との接触が必要であればアポ取りや日程調整でメールの量も膨大になります。
しかも常に”内定出るかなあ”という不安を抱えています。
私のように地方から東京に移動していれば身体的な疲れもあるし、金銭面の不安も大きくなっていきます。
院生なら研究が進まず、指導教官からプレッシャーをかけられるかもしれません。
するとどうなるか。
”もう早く就活を終わらせたいから、とりあえず内定が出たところにいこう”という発想になるんです。
実際に私の友人でも、そうやって決めて入社後にギャップを感じている人もいます。
でも、こんなにたくさんの企業があるんだし、”もっと自分に合うところがあるかも”と思っていたらきりが無いです。
受けたってことは自分が興味があるってことだし、受かったってことは向こうからも求められてるってことなので、妥当と言えば妥当です。
何より、こんなに疲れることを続けたい人なんてそういないと思います。
私にも就活情報企業から”早く就活を終わらせて遊びたいあなたへ”というタイトルでメールが来たことがありますし、そういう発想の就活生はたくさんいるんでしょう。
4.まとめ
ミスマッチが起こる原因について、私なりに考えたことを書いてきました。
要点をまとめると、下の3つが原因です。
・就活自体が業種や職種の選択から出発するようになっている
・企業が気に入る答えを用意しないといけない
・やることが多すぎて疲れるので、就活を早く終わらせたくなる
こうやって考えてみると、ミスマッチは新卒一括採用という仕組みに避けがたく附随している欠陥であるような気がしてきました。
でも、「仕方ないから我慢しろ」じゃ就活生も企業も納得できないですよね。
うーん…難しい…。
最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。