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ヲススメラヂオの小説Part10 『緋色の研究』

 どうも、こぞるです。ヲススメラヂオ第10冊目でYukiさんに紹介していただいた、アーサー・コナン・ドイル作、超名作「シャーロック・ホームズ」シリーズの第1冊目にあたる『緋色の研究』について書いていきたいなと思います。
 ラジオは以下のリンクから別ページに行くとありますので、先に聞いていただけると、よりこれを書いている奴が何を言いたいのかがわかりやすくなるかと思います。30分ほどですので、家事や課題、作業のおともにいかがでしょうか。
 上のイラストは、ドラマでシャーロックホームズを名演されたジェレミー・ブレッドを意識したものとなります。

ー作品内容ー
 文学の知識─皆無、哲学の知識─皆無。毒物に通暁し、古今の犯罪を知悉し、ヴァイオリンを巧みに奏する特異な人物シャーロック・ホームズが初めて世に出た、探偵小説の記念碑的作品。ワトソンとホームズの出会いから、空家で発見された外傷のないアメリカ人の死体、そして第二の死体の発見……と、息つく間もなく事件が展開し、ホームズの超人的な推理力が発揮される。

 言わずと知れた名探偵。影響を受けやすい私は、この本からなるホームズの影響を引きずり、高校3年生の進路相談で「名探偵になりたい」と言ったら、「真面目に考えてまた来なさい」と帰されたことがあります。

緋色のStudy

 今作は、かの有名なシャーロックホームズが初めてワトソン博士とともに事件を解決した際の話であり、それはタイトルからも読み取れます。『緋色の研究』として知られる今作は現題を"A Study in Scarlet"といい、作中のホームズのセリフからきています。

「ーー人生という無色のもつれた糸の束には、殺人という緋色の糸がまじっている。僕らの仕事は、糸の束を解きほぐして緋色の糸をより出し、端から端までをつまびらかにすることなんだ」(駒月雅子 訳)

 研究という邦題が有名になったため、これで固定されていますが、studyには美術用語の「習作(=練習作品)」の意味があるので、こちらの方がより正確では?ともいわれています。
 私が読んだ角川文庫版では、このセリフのところに注釈で「習作」という言葉にも触れています。ちなみに、私が角川版を選んだのは、表紙が漫画家のえすとえむさんだったからです。好きなんです。

 それにしても、このセリフかっこよすぎますよね。完璧に謎を解き明かそうといったホームズの探偵としての理念が見えてきます。

二部作

 上下巻になっているとかってわけではなく、小説の前半がホームズが犯人を当てるところまで、そして後半はその犯人のお話です。
 これはけっこう珍しいのではないでしょうか。
 捕まった犯人が、ぺちゃくちゃとその動機を語るというのは、ともすればミステリーあるあると揶揄される部分ではありますが、本作では語るどころか、そのまま、殺戮に至るまでの犯人のストーリーが描かれています。

 私がこの本を最初に読んでときは高校1年生だったのですが、その時はホームズの快刀乱麻の活躍がこの一冊に詰まっているのだと勝手に思って、二部に入ったところで、なんだこれ?となってしまったのを覚えています。
 今思い返すと、なんて理解力のない奴なんだと。
 しかし、改めて読みますと、この作品の魅力である正義とは何かというテーマが、その部分に強く込められていました。
 ホームズがただ謎を見事に解くだけでも、それはそれで面白い中編作品になっていたでしょうが、そこに本来悪役になってしまう犯人の苦しみを描くことで、探偵小説のテーマの深さを生むと同時に、ワトソン博士の存在意義が生まれているように思います。

ワトソン博士と正義

 さっきから、ワトソン博士と何度も書いていますが、彼は元軍医であり、ホームズの話を記録して我々に届けるという役目を持っている、正義の人です。
 人に優しく、奇人であるホームズを認め、その才能を世に知らしめる。そして、どれだけ相手に同情しようとも、罪は罪であるというスタンスは崩さない。
 探偵ものにはつきものとなった相棒役ですが、ワトソン博士が非常に魅力的なのは、ただホームズの推理に驚くために存在しているのではなく、時に法を犯すことも辞さないホームズをたしなめ、犯人や被害者の心に寄り添える人間だからでしょう。
 そんな彼がいるからこそ、第1作であるこの作品で、半分ものページを割いて、名探偵がいる世界での正義というテーマを投げかけた本作が、これだけの有名シリーズの第一歩となり得たのではないかと思います。

 本の中でも現実でも、ホームズを名探偵として世に知らしめたのはワトソン博士なのではないかと思います。

さいごに

 話がうっかり作品についてではなく、ホームズたちについてになってしまうと、記事が終わらなくなってしまいそうですね。
 ラジオ内でYukiさんは、子供の頃に偶然この本に目がいって、シャーロックホームズと運命の出会いをしたとおっしゃっていました。
 この作品においても、ワトソン博士はイギリス中の有象無象が集まるロンドンにおいて、たまたま知人のスタンフォードの紹介で、ホームズと運命の出会いをしました。
 まだホームズシリーズを読んだことがない方にとって、この記事がスタンフォードとなることを願います。

  改めて、ご紹介いただいたYukiさん、ありがとうございました。

 それでは。



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