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読書紹介 ファンタジー 編Part2 『魔法使いハウルと火の悪魔』

 どうも、こぞるです。本日ご紹介するのはダイアナ・ウィン・ジョーンズ作『魔法使いハウルと火の悪魔』です。
 2004年にスタジオジブリがアニメ映画化したので、タイトルは多くの方が知っているのではないでしょうか?では、その原作が一体、どのようなものか!書いていきたいと思います。

ー作品内容ー
 魔法が本当に存在する国インガリーで、三人姉妹の長女に生まれたソフィー。「長女は何をやってもうまくいかない」という昔話のパターンが実現したかのように、ある日ソフィーは、『荒地の魔女』に呪いをかけられ、九十歳の老婆に変身させられてしまう。家族を驚かせたくないと家出したソフィーは空中の城に住む、うぬぼれ屋で移り気な若い魔法使いハウルのもとに、掃除婦として住み込んだ。ハウルに魔力を提供している火の悪魔とこっそり取引したり、ハウルの弟子と、七リーグ靴をはいて流れ星を追いかけたり。謎のかかしや、犬人間も現れて…?やがて、ハウルの意外な素顔を知ったソフィーは、力を合わせて魔女と闘おうとするが…?イギリスの人気作家ジョーンズが描く、読み出したらやめられない魅力的なファンタジー。

 本当に、読み出したらやめられず、一気に・・・でしたね。睡眠時間が・・・。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ大先生

 この方、なぜか日本での知名度が低いんですよね。個人的にはイギリスファンタジー四天王なんですけどね・・・。でも『指輪物語』『ナルニア国物語』『ハリーポッター』っていう、他三人の代表作が強すぎるのかもしれません。っていうか、イギリスの層が厚すぎます。
 あとはあまり映像化されていないのも理由かもしれませんね。今の所はこのハウルだけ。ただし、最近発表されたジブリの最新テレビシリーズ「アーヤと魔女」も、このダイアナ・ウィン・ジョーンズが原作になっています。楽しみですね。

児童書らしすぎない児童書

 この作者の作品は正直他に『9年目の魔法』という1冊しか読んでいないんですが、決して子供騙しをしないという印象があります。
 私は十二、三歳の時に、児童向けファンタジーというジャンルにハマっていた時期があったのですが、その時に読んだ『9年目の魔法』は、楽しくて最後は主人公が幸せになる!という作品にしか出会えていなかった未成熟な私にとって衝撃的なものでした。そこで得たチクリという胸の痛みから、その後敬遠していたところもあるにはあるのですが、ただ、その時期に読んでいたものの中で、一番覚えているのもその本です。
 正直な話、児童向け作品の中には、いや・・・これは子供扱いしすぎなんじゃ・・・というか、もう、紋切り型の起承転結や、単純な主人公っていうのがあったりします。子供心に、それを読んで傷ついた記憶もあります。
 しかし、この作者の作品というのは、ある種ファンタジーというものがあるという認知の上で、何が正解かを読者に悩ませるテーマ、ストーリー構成を含んでいます。それと、一番は感情の描き方ですね。本人が気づいていない本人の気持ちを、言葉にせずに読者に気づかせるのがうまい気がします。「Aは悲しくなった」と描くのではなく、そのふとした行動で、Aが悲しんでいることに読者が気づいてしまう。そういう気づきをさせることが、児童書の強みの一つかもしれません。

ジブリ映画のイメージでどこまで読むか

 さて、内容に入ります。前述しましたが、多くの方が知っているこの作品のイメージはジブリ映画だと思うのですが、じゃあ一体、どれだけ映画と原作は近いのかというと、私の勝手な妄想ですが、
 だれかがストーリーラインだけ教えて、あとは宮崎駿が考えて書いたんじゃない?
という感じです。
 もちろん共通する場面もありますし、登場人物もまあ・・・だいたい同じぐらいです。お話の流れも近いです。映画のイメージそのままで想像できるところもあります。ただし、細かい・・・というか、みじん切りじゃなくて、ざく切りぐらいのサイズの部分は全然違う作品という印象です。
 一番びっくりした違いは、ハウルは魔法使いになる前に異世界(現実の地球のウェールズ)でラグビー部に所属していた学生だったって部分です。このびっくりだけでも読む価値あるかもですね。

長女は何をやってもうまくいかない

 シンデレラの意地悪な継姉、三匹の子豚の兄たち、そんな失敗を教訓として、おとぎ話は賢い末っ子が出てきます。
 この言葉は、上記の作品内容にもありますが、この作品で何度も出てくる印象的な言葉となります。そして、非常にメッセージ性の強いものになっています。
 単純に解釈すれば、自分の可能性を自分で潰すなというものです。もちろん、それが、一つの重大なテーマなのでしょうが、これをただそれだけで読み切ってしまうのは、なんだかもったいない気がするほど、随所随所で描かれるソフィーの感情に、気持ちが引き寄せられてしまいます。
 ちなみに、私は中間子なのですが、真ん中っ子救済ファンタジーをどなたか教えていただけないでしょうか・・・。一番不遇な気が・・・。

さいごに

 使い古された表現かもしれませんが、大人になった今でも、むしろ今だからこそより面白いタイプの作品です。
 主人公のソフィーたちに励まされながら、同時に彼女たちの行動をかわいいと愛でることができる。大人になることの素敵なことの1つですね。
 またまた、映画の話になってしまいますが、シリーズの中で映画化されたのは、1作目の本作の内容だけですので、もし、あの映画の原作が読みたいけど、シリーズは長いなあ、と躊躇されている方がいたらご安心ください。


では、この辺で。







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