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【感想文】『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

つい先日、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』という映画を観た。


かなり前に何処かで誰かにおすすめされて、観よう観ようと思って長いことウォッチリストの中に眠っていた作品である。

今回はこの作品について私の感想を綴っていこうと思う。


あらすじ

16歳のフランクは幸せな家庭で育ったが、ある日両親の離婚をきっかけに家出してしまう。生きるために、パイロットや時には医者に、身分を偽装して、偽造小切手の詐欺を繰り返していく。しかしそんなフランクを、FBI捜査官のカールが徐々に追い詰めていく。


この映画は、実在する元詐欺師のフランク・W・アバグネイル Jr. の自伝をもとにスティーブン・スピルバーグ監督により映画化されたものである。映画の始まりに、ノンフィクションである旨が説明されたが観てる最中、というか見終えた今も正直信じられない。詐欺の手口の鮮やかさやメイン2人の関係性。凄まじい人生である。


個人的に、この映画で描かれるフランクの孤独を感じさせるシーンが非常に印象的だった。

父親を説得するシーン、ブレンダの家族とテレビを観るシーン、カールに電話するシーン。フランクが人との繋がりを欲して、形にならない人間関係に縋っている姿がとても辛かった。

多くの詐欺行為を働いたけれど、フランクはまだ子どもなのだ。まだ彼は守られるべき存在だ。それに、それまで両親の愛情を一身に受けて育ってきたのだ。そんな彼が抱える孤独は計り知れない。

境遇こそ違えど、私も孤独というものを感じる事がある。親も友人居るのに贅沢だと言われればそうかもしれないけれど、本当は一人なんじゃないかと不安になってしまう。だから、烏滸がましいかもしれないが勝手に共感を覚えたりした。独りは怖い。

カールと対峙した時、フランクはどんな気持ちだったのだろうか。私は、貴方を見つけてくれる人がいて良かったね、なんて思った。


映画の最後に実際のフランクのその後が語られるのだがそこで「そいえばこの映画はノンフィクションか」と思い出した。フィクションかと思うほどに劇的な人生である。

実際のフランク・アバグネイルさんは罪を償った後も詐欺の知識を活かしセキュリティ・コンサルタントや講師をしているそうだ。悪いことをしたのは事実だけど、無かったことにしないでむしろその経験を活かしていているのだ。凄い人だ。


この映画は非常に人間臭い物語で、生々しく感情が揺さぶられた感覚である。すぐ隣で起こっているんじゃないかと錯覚してしまうほどリアルだった。だからか、観終えた今でも妙に頭に残っている。

フランクの孤独がこっちも辛くなったし、カールとフランクの関係性に感動させられた。こんなに感情が揺さぶられるなんて。



以下ネタバレ含む感想



物語の終盤のFBIの協力者としてカールの下で自由を得るも再び詐欺師の道の戻ろうとしてしまう場面。今まで本当の自分をひた隠しにして生きていたから嘘をつく方が彼にとっては生きやすかったのだろう。

しかし、またしてもここでフランクを見つけるのはカールである。前は詐欺師を捕まえるために。今回は一人の少年を救うために。またしても、カールがフランクを見つけてくれて良かったと思った。


映画のタイトルの「Catch Me If You Can」は「捕まえられるもんなら捕まえてみな」という意味になるが映画を観終えた今考えると孤独な少年の叫びの様にも思える。


良い映画に出会えた。忘れられない、忘れたくない映画である。




原題:Catch Me If You Can




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