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居場所づくりの聖地を見て

旅行ついで

先日、コロナの影響でほぼ会えていない私の祖母に会うため、旅行を計画しました。もちろんそれだけだともったいないので、観光地なども計画します。その中で、藤子・F・不二雄ミュージアムを計画に入れました。

特別ドラえもんが好きだって言うわけではないけど、当然息子たちはドラえもんを知っています。だから行こうと思ったのですが、子どもたちは原画とか興味ないんですよね笑。藤子・F・不二雄先生の他の作品とか全然見向きしないのです笑。

長男はまだしも、次男は興味ない場所に長居できるほど、忍耐が育っておりません(そもそも旅行で忍耐など必要ないんですが笑)。

ということで、昼食を合わせても13時にはもう出ようとなりました。

さてさて、この日は前後の予定も鑑みて、このミュージアムだけの予定にしていたので時間が余りました。ホテルにチェックインするにはまだ早すぎます。

そこで、妻が周辺で面白そうなところを探していたところ「ここはー?」と出してきたのが

川崎市子ども夢パーク

正直、目が飛び出ました(いや、正直に言うと、目は飛び出ていません)。居場所づくり支援員として働き始めてから居場所について勉強すると否が応でも目にする、「子ども夢パーク」と「西村博之さん」。その現物を見に行くことができるチャンスが目の前にある。

「ここ行きたい!」

子どものためでもなく、私のため。子ども夢パークの名前が聞いてあきれます笑。いや私も両親からすれば子ども。何歳になっても私は子どもだ!そんな言い訳をしなくても別に息子のために行くってすればいいんですけど。

なんと、藤子・F・不二雄ミュージアムから車で15分ほど。しかもすぐそばにマックスバリュもあります!晩ご飯の調達も、子どものお菓子の補充も、水分の追加もここでできる。さすが子ども夢パーク。周辺施設もしっかりしてる(子ども夢パーク関係ないと思うんですけどね笑)。

ということで、ドキドキしながら行ってきました。

川崎市子ども夢パーク

この施設について知らない人のために、すごくざっくり説明します。

水遊びし放題。ちょっとしたスライダーもある。シャワーもある。温水シャワーもある。広場もある。土管があって地下道のようにつながっていたり、バーベキューができたりとちょっとしたアスレチック要素もある。ちょっとした遊具もある。自転車とか遊び道具も貸してくれる。未就学児が遊べる部屋もあります。小さい子向けのおもちゃも。

これだけだとそこらへんの遊園地やキャンプ場と似ています。

ここが特徴的なのが、入場料無料。利用料無料です。そして、フリースクールがパーク内にあります(正式名称はフリースクールではなく、スリースペースです)。

つまり、学校の中に居場所を見いだせない子どもや若者たちのための施設があるのです。

そしてその施設が、2003年に川崎市が作りました。しかも営業時間が9時から21時。

言葉ではなかなかそのすごさが伝わらないと思うので、ぜひホームページ等をのぞいてみてください。

概要はこんな感じです。20年前から居場所を作り続けている場所です。ですから、私は川崎市子ども夢パークのことを居場所づくりの聖地と呼んでいるのです。

引っ込み思案の長男

さて、私たち家族は2時頃着きました。まず目に入ってくるのは受け付けに書かれた大人へのメッセージ。


受付のメッセージ

何を言っているかというと、「子どもは自分で学ぶから、大人がいろいろ言うな」ということです。

私は事前にこの施設のことを知っていたので、この方針自体は知っていました。しかし、よくよく考えてみると、ここには学校に居場所を見いだせない子どもがいるのです。そういう子たちには自己肯定感が低い子が多いから、スモールステップで失敗しないようにする対策が取られそうです。できることを少しずつ積み重ねて自己肯定感を育むイメージです。

しかし、子ども夢パークはその逆を行っています。「安心して失敗できる環境づくりが大切です。」と所長さんが言うほどです。

言葉ではその大切さは分かりますが、実際に我が子が失敗している姿が予想できると口出ししたくなっちゃうし、失敗するとすぐに助けてしまいます。そうしていると必然的に失敗する機会が減り、自分でなんとかしようとしません。失敗を避けるようになるため、何事もしないようになってしまうことがあります。そうです。我が長男のことです。

おにごっこは鬼になるのが嫌だから参加しない。ドッヂボールも同様の理由。難しそうな問題があれば、一度読んで「分からない」。勝負事は勝つことが決まっている家族としかしたがらない。好きなカードゲームや野球ですら友達とはやりません。見ているだけです。

もともと引っ込み思案の長男ですので、性格的なことだろうと思っていました。しかし、心のどこかで、私の関わり方にも何か原因があるのではないかとも思っています。

実際、子ども夢パークに来ても長男は何もしたがりません。両親の側にいて、周りを見ているだけです。

水遊びは泥があるしぬれるから嫌。土管くぐりは暗くて嫌。誘ってもダメ。次男がホースで遊ぶ中、長男は嫌がって何もしたがりません。

そのとき「何をしてもいいし、何もしなくてもいい」という看板が目に入りました。

今までは長男が一人では何もしたがらないとき、私が誘って一緒にやったり、話をしたりして長男が退屈しないようにしていたのです。

つまり何もしなくていいという時間を確保していませんでした。

そこで、私はベンチに座り、何もしませんでした。長男から「ねえ、何かしないの?」と言われても、「何もしたくないんでしょ。」と言って、ぼーっとしていました。

すると、突然周辺にあった木を持って地面に打ち付け始めました。じーっと見ていると、石で木の先端を叩き始めました。穴を掘り始めたのです。どんどん木を地面にめり込ませていくのです。普通の公園だとない大きな木や石もここにはあります。だまっていると、集中して打ち付けてます。わくわくしている表情です。

この姿を見て、反省したのは言わずもがなです。今まで私が遊んであげすぎていたのだなと感じました。長男に笑って欲しすぎて、関わりすぎていたのです。

しばらくすると、今度次男を見ていた妻から電話が掛かりました。「次男がすごくたのしそうにしているから見て-」とのこと。

長男に「次男を見てくるね」と言うと長男から「僕も水やる」と。

やり始めてしまえば長男もぬれまくってウキウキ。次男も泥だらけでバタバタ笑。きゃーと言いながら、水をかけたりかけられたり。

私は着替えを持ってきていないので離れていましたが、同じように着替えがない妻は平然と水にかかるところにいます。そして、一緒になって楽しんでいます。

反省したのはいわずもがなです。一番みんなのことを考えていたと自負していた私ですが、結果みんなのことを押さえつけていたのかも知れません。

水すらかかるのを恐れる私。なんと器の小さいことでしょう。格好を気にして失敗を避けていたのは私でした。

ちなみに、私たちが遊んでいる途中、パークの中をいかにも研修という感じで、スーツのおっちゃんたちがぞろぞろと見学に来ていました。

子どもから遠い位置で、足下がしっかりしたサイクリングロードのみをきれいな格好で見学して分かった気になっている。まさに私の写し鏡のように見えました。

そんなんで本当に子どもの心がわかるもんかい。同じ土俵で同じことを体験して同じ時間を過ごしてみて初めて近づける。

そんなことを改めて感じた瞬間でした。

妻の偉大さにびびる

この日以来、ますます妻への尊敬が高まり、どんな対応をしているのかをよくよく観察するようになりました。あ、もちろんかわいいからという理由もあります笑。

今までは「子どもをほったらかしてスマホばかり見ている」と思っていましたが、よくよく見てみると、近すぎず遠すぎずの適切な距離感でいます。

そして、子どもがなんか不満そうな声をあげても反応しません(単に気付いていない場合も)。しかし、子どもが「ママー」って助けを求めたら話を聞いて対処しています。

またあるときは、ソファーで子どもたちが遊んでいて明らかに危ないです。側に妻もいますが、関与せずです。私なら「危ないからやめて」と声をかけてきました。実際、次男が手から落ちました。痛がっています。そうなってから「どうしたの?痛いね-。どうしてそうなっちゃったの?」と聞いています。

元教員の癖か、怪我の予防ができていないと責任を私が感じてしまうため、ついつい声を掛けて怪我しないようにしていました。今回も見ていたのに何も声掛けなかったことに責任を感じてしまいましたが、妻はそんなそぶりは見せず、「そんなことするから怪我するんだよ」と責任をちゃんと子どもに負わせていました。

ちゃんと責任を子どもに負わせる

これが私は非常に苦手であると分かりました。なまじ優しいがために、他人に責任を負わせることができません。他人に責任を負わせず、自分で責任を負う。一見するといい風に見えますが、教育という点で考えると、これは子どもが責任を負うという体験を奪うことでもあるのです。

しかも、子どもはどう予防を頑張っても怪我はするものなので、「あぁ、怪我を守ってやれなかった」と自己否定してしまいます。

一方妻は、きちんと責任を子どもに負わせています。子どもが責任を負っているので妻は責任を感じていません。特に気にせずな感じでその後も平然と過ごします。

この差。

このことに気付いたので、妻に「ほんとすごい」「器が大きい」と言いました。すると妻は「パパがいつも見てくれているからその対応ができるんだよ。いつもありがとう」と言ってくるのです。

ほれてまうやろー

チャンさんです。

男として、教育者として、もっと頑張ります。

川崎市子ども夢パークに行けて本当によかった。

みなさんも藤子・F・不二雄ミュージアムと川崎市子ども夢パークの抱き合わせ旅。もしよければやってみてください。

優しい世界を目指して

最後までお読みいただきありがとうございました。何かの参考になれば幸いです。素敵な一日をお過ごしください。

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