ハート 02
第二節 孤独
翔はいつも独りだった。それはビョーキ同然で、小学校から友達らしい友達がいない。友達がいないことで、自分の心に何十の壁をして鍵をかけ、鎖を繋いでしまった。ますます前に出ることができなくなってしまっている。
翔は教育学部に通っていた。みんな「先生」を目指す人たちばかりでキラキラしていた。「先生」って言うのは「とりあえずなるものだろ」と翔はいつも斜に構えて見ていたから、どこか馴染めずにいた。
「僕を理解できる人は誰一人いないんだ」って。
翔は発達障害のゼミに所属していたが、それが翔にはどこか合っているようで合っていない。理解されているようで理解されていないのだ。
ゼミで、翔はいつもカーペットを見ていた。カーペットの一つ一つの網目とゴミをぼんやりと見ていると、みんなの声が聞こえなくていい。聞かずに時間を潰せる。
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