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教師の哲学って?ー話し合いを話し合うー

◎行事に取り組む雰囲気が変わってきた
◎やるべきことをやる雰囲気もある(こだわりはない)
◎とにかく頑張っている子が多い
◎T-Cの関係は良い
◎授業での学びを楽しむ雰囲気が良い

年度末直前、段々とクラスの様子は担任の思う方向に向かっていきます。
しかし、まだまだうまくいかないと思っていることも当然あります。
その一つが授業における話し合いです。

1 話し合いが活性化しない原因の原因

1番の原因は、C-C の関係です。特定の友だちとの関わりへ固執したい想いの強さが見られ、『授業中は、誰とでも当たり前に活動するもの』という雰囲気が出来上がっていないのです。その理由は…と語り始めると学級経営の話になるので、今回はせずに、授業について話していきます。
何ができていないのかというと…
 ①わからない子が「わからない」をマイナスなことだと感じている
 ②学力の高い子どもが自分の考えを話さない
 ③ペアトークを成立させる意思が弱い(ルールの未定着)
 ④話し手も聞き手も相手意識が弱い
 ⑤授業中の『ゆるさ』が悪い意味で影響している

辺りが考えられます。

ついでに、その原因も考えます。
 ①声の大きい子たちの「わかった」「できた」という雰囲気に、自己肯定
  感を下げられる
  (全員でわかろうという雰囲気はあるが、それが『わからない潰し』の
   ような無自覚な勢いがある)
 ②恥ずかしい(賢いと言われたくないもある)
  +声の大きい子に任せておけば良い雰囲気
 ③話し合うというこの意味がわかっていない(+ルール未定着)
 ④相手意識の低さが原因ではあるが、話し合う時に気をつけるべきことが
  わからない
 ⑤『ゆるさ』は、『自由度』につながり、『楽しさ』『温かさ』につなが
  っているが、一部の子にとっては無規律に感じる

もちろん、もっと多面的・多角的に考えることもできますが、この辺りかと考えられます。

2 話し合いが活性化しないを打破する目標

そこで、何をどうすべきかという話です。
 □ ペアトークを成立させる意味を理解する
 □ 話し手と聞き手が何を意識すべきかを理解する

この2つを目標に少し時間を取ります。
大切なことは、
「体験的・経験的に体感すること」です。
小話的に必要性を語ることも必要ですが、やはり「実感できる」は強いと思います。
そして、「繰り返す」です。
当然、これまでにも色々な方法で取り組んでいるわけです。
「繰り返す」は、先生がそれ程に大事にしているんだよというメッセージを伝えることなのです。

さて、どのように取り組んだかというと…(大したことはしていません。意図して取り組むことが大事!)


3 話し合いを活性化する「ペアトーク」

T:「5分の7を1と5分の2に変身させる方法を隣の人に話せたら
  座りましょう」
・話していないペアがある
・話せてないのに座る子がいる
・いつまでも話して座らないペアがある
T:全員座りなさい。今のペアでの話、できたと思う人?できていないと思
  う人?挙げていない人がいます。できたと思う人?できていないと思う
  人?
C:(できていない)
T:どうしてできていないと思うの?ペアで話ができたってどういうことな
  の?

C:必要なことだけ話し終えたら座る
C:違う話をしない
C:友達がわかっていなかったら、自分の考えを伝えてあげる
C:友達がわかっていなかったら、自分の考えを伝えてあげる
T:大事なことがわかっているみたいだけど、先生がどうしてペアでお話す
  るように指示すると思う?

C:わからない子に教えて挙げて欲しい
C:全員にわかってほしい
T:そうです。よくわかっています。先生の理由は3つあります。1つ目は 
 「話すことで定着する」です。今は勉強したばかりだからわかっているか
  もしれないけど、明日には新しいことを学習します。どんどん新しいこ
  とを学んでいくと、人は前に学習したことを忘れてしまいます。だか
  ら、復習で宿題を出すわけです。それとは別に、脳に記憶させることも
  大事だと思っています。聞くだけで記憶は定着しないんです。聞いたこ
  とや知ったことを誰かに話す。これが脳に覚えさせるために1番の方法
  です。しかも、この話って〇〇さんにしたなぁなんて、その時の状態も
  一緒に記憶してしまえばいつまでも覚えていられます。ペアトークっ
  て、話す人が得してるんですよ。2つ目は、「説明する力がつく」です。
  説明する力ってどこでつけているの?先生は、このペアで話すときにつ
  けて欲しいと思っています。ペアで話す時は、わかりきっている時と楽
  しいことを話し合う時がほとんどです。つまり、ペアのどちらもが何も
  わからない時にペアで話すようには言っていません。頭の中に話す内容
  がしっかりあっても、それを説明することは難しい。だから、その練習
  をいろんな場所で何回もやっているんだよ。3つ目は、シンプルに「楽
  しい」
です。だって、ずっと誰かの話を聞くばっかりの毎日って退屈じ
  ゃない?これは、授業中に許されたおしゃべり時間です。楽しく喋って
  よ。ただ、横の奴なんて仲良くない!って思っている人もいそうだけ
  ど、それは先生の気持ちを汲んで楽しくお話してよ。先生は、そういう
  のが好きだから。でも、大事なのは、半分半分で話すことらしいです。
  2人で話すときに、半分半分で話すことができると、その人たちはもっ
  と仲良くなれるんだって。つまり、お隣の人と仲良くなる時間でもある
  わけです。この3つ、わかった?
C:わかった!先生の気持ち、なんとなくわかってたけど!
T:だったら初めっからやってよ!ということで、したいとかしたくないと
  かじゃなくて、大切だから「やらせます」
。では、今の3つをわかった
  という気持ちでもう一度ペアで話します。はいどーぞ。


4 話し合いを活性化する「話す・聞く」

これも同じ時間に行った。
T:今、2と6分の5は、ここ(数直線上)って言ってくれたけど、なんでこ
  こってわかったの?
C:(前に出てきて)ここが2で、ここから…
T:ストップ。今、みんなはどこを見てる?先生はみんなのことを見てたけ
  ど、〇〇さんは〜、〇〇さんは〜、〇〇さんは〜、〇〇さんは〜、〇〇
  さんは〜、〇〇さんは〜、、、って、全然この人のこと見てなかった
  よ。しっかり見てたのは、〇〇さんと〇〇さんと〇〇さんと、、、って
  7人だけだったよ。もう一回いくよ。どーぞ。
C:ここが2で、ここから…
T:はい、〇〇さんが〜を見てました。〇〇さんが〜を見てました。どこ見
  てんだよ!もう一回。
C:ここが2で、ここから…
T:ダメー、〇〇さんの見てたのは〜だよ!気づいてる?この人、指差してる
  んだから、この指の先っちょを見ないと。話してたら顔を見ないと!先
  っちょに注目!
C:ここが2で、ここから…(と発表しきる)。
T:今、この人に変化があったの気づいた人?おっ!よく聞けてますね。そ
  う、みんなの目が集まったから、ゆっくり、大きな声に変わったんだ
  よ。聞いてもらっているって意識が高まったってことだよ。
どう?
C:うん。緊張したけど、聞いてもらってるって思った。
T:ね。こんなことこれまでにもあったよね?覚えてますか?6月の半ば、
  〇〇さんがこの席で同じことがあったんだよ。〇〇さん、初めは恥ずか
  しそうに小さい声だったんだけど、みんなが見てると大きくゆっくりと 
  発表してたの。覚えてます?覚えてないんかい!記憶力よわっ!ほれ、
  ペアトーク必要やろ?でも、こんな風に、聞く人の意識の持ち方で、話
  す人を育てるってことなんだよ。
聞くって、ただ聞くだけど話している
  人を聞いてもらっているってあったかい気持ちにしてあげられるし、そ
  の人の話す力を成長させられるんだよ。素敵でしょ!しかも、聞かれて
  るんだから、話す人も責任重大だしね。責任重大ってことは、その前に
  あるペアトークで練習もしとかないとね。この話は繋がるわけです。ペ
  アで話すことも、話し合うときに気をつけることも、どっちも大事でし
  ょ?やらないはないってことです。よし、次!
T:2と6分の5が数直線上のどこかはわかったし、これが6分の17ってこ
  とでいいんですね?でも、この17なんて、どこにもないよ!17がこ
  こに見える人?…(と自然に授業に戻る)


5 まとめ

この実態も原因も担任としての主観です。この語りかけが正しいかもわかりません。6月場面とほぼ同じことが起きたと書いたように、こういう繰り返しは、何回も何回も行われる。これは成長できていないとも言えるかもしれません。しかし、それだけ私が大事にしているということの表れだと思っています。これが哲学を語るということなのかもしれません。
3月を目前にして、担任の色を抜くという話があちらこちらで聞こえてきます。大事なことは最後まで言い切って欲しいです。
来年度は、来年度の先生と一緒に新しい学級を作っていきます。
それぞれの先生の哲学を感じ取りながら、子ども自身が自分の『たいせつ』を作っていく方が良いと思うのです。それ位、子どもが判断するはずです。
哲学は押し付けてはダメで、体験させながら、実感的に感じ取らせ、実際にやってみて、良さを体感する。これが、大事だと思います。

という話でした。おしまい。

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