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農地集約が必要なワケ

現在、農業界では農地集約を進める動きが出てきています。

農業従事者の人手不足、高齢化、耕作放棄地の増加など農業では多くの課題に直面しております。

一方、スマート農業と呼ばれる通り、テクノロジーを駆使して生産性を向上させようというトレンドもあります。

今回はこれらを踏まえ、農地集約がなぜ必要なのかについて話したいと思います。


<農地集約が必要なワケ>

結論を申し上げると、農地が分散して非効率になっているからです。

よく、高速道路や路線から広大な農地を見かけることああるかと思いますが、その農地は、1つの主体が管理しているのではなく、別々の主体が分散して管理しています。(※もちろん全部が全部ではありません)

すると、農地間で移動時間が発生してタイムロスが発生します。

農地集約を行い、間の畦道(あぜみち)を無くして大区画化することで、移動時間ロスを無くし、大型機械の導入、もしくは自動化をすることで人手不足の解消もできます。さらに、一度に大量に管理及び収穫ができるので、規模の経済による生産物ひとつあたりのコストが削減できます。


実際に農地集約化支援ガイドブック2020年版にある茨城県の水田作3経営を対象に調査した結果では、農地集約をすることで、改善前の作業時間と比べて、10haあたり40%も時間短縮したとされています。


<農業の現状>

農業センサスによると、

農家人口は、2000年312万人→2015年215.3万人

土地持ち非農家は、2000年109.7万人→2015年141.3万人

耕作放棄地面接は、2000年13.3万ha→2010年18.2万ha

農業人口の平均年齢は、2010年時点では66歳であり、4~5人に一人は65歳以上の方が従事しているという現状です。

<現状の取り組み>

日本政策金融公庫では「スーパーL資金」という融資を行っており、個人であれば3~6億円、法人であれば10億~30億円の融資が受けられます。

農地集約を進める場合にあたって、貸付から5年間は無利子になる優遇があります。


農地中間管理機構では、農地を貸し出したい人から農地を借受け、農地中間管理機構が一時的に管理し、なるべくまとまりのある農地にして、意欲のある農家に貸し付けるマッチングの仲介となる仕組みがあります。また、貸し付けに協力した農家には、協力金が支払われるというインセンティブもあります。

農地中間管理機構は、耕作放棄地となっている農地所有者に、今後、耕作をするか、それとも貸し付けるかを検討するように働きかけも行っており、より一層農地集約が進むように取り組まれています。


TPPやEPAなど貿易の自由化が進み、食料生産の競争は今後さらに激化します。

2017年度時点の日本の生産額ベースの食料自給率では66%となっており、およそ6兆円が国外に流出していることになります。

また、今後世界的な人口増加により、食料自給ができるかどうかは重要な観点となってくるので、それを担う農業の発展には今後も注目していきたいと思います。