中西 茂

教育取材30年。大学教員と教育ジャーナリストの二足のわらじをはいています。元新聞社編集…

中西 茂

教育取材30年。大学教員と教育ジャーナリストの二足のわらじをはいています。元新聞社編集委員です。

最近の記事

【心の職員室・新聞綴り】426

<子どもの安全確保を最優先に>と読売新聞社説。日本版DBSと呼ばれる「こども性暴力防止法」成立を受けて。読売は2023年度版の文部科学白書の原案でも、わいせつ教員問題に売れられていることを見出しに取りました。 具体的な今後の課題は23日に。読売は「許すな 子ども性暴力 日本版DBS」の(上)で<照会期間外 制度の穴 小規模事業者の参加 未知数>と見出しをつけました。塾は任意の制度だが、「個人塾や小規模を含め、塾全体に参加を義務付けるべき」という被害経験者の声を紹介。照会可能

    • 【心の職員室・新聞綴り】425

      付属中学校をもつ横浜市立南高校が、高校からの募集を停止するということが朝日新聞の地域総合面で紹介されています。2012年に横浜市で最初にでき公立中高一貫校ですが、中学は160人募集で、何倍も倍率があるのに、高校の募集は38人でも定員割れだそうです。 併設型一貫校の高校での募集停止は広がっているようで、東京都は白鷗、両国、富士、大泉、武蔵の5校が2021ー23年度に高校の募集停止しているとありました。でも、そうなると、併設型の一貫校と呼ぶこと自体に無理がありますよね。 読売

      • 【心の職員室・新聞綴り】424

        20日の読売新聞解説面に<全中「縮小」教員負担に配慮>とありました。協賛金集めなども教員がやるとなると大変ですね。運動面でも部活への影響について書いていましたが、競技別の大会と別にやることにはもう無理があるのだと思います。スポーツ庁が部活改革重点地域7件指定と20日の読売夕刊。茨城、新潟、兵庫、香川、福岡、熊本、沖縄だそうです。 このほか、「日本版DBS法」の成立は大きな変化です。 いじめ「重大事態」指針改定素案が公表されましたが、都内版にはいじめ重大事重大事態で公表が遅れ

        • 【心の職員室・新聞綴り】423

          朝日新聞が、福岡県春日市の新人教員の自殺について、社会面トップで。公務災害認定を求めて遺族が市や県を提訴しています。すでに地元などでは報道されていました。 記事に添えられた遺族提供の写真に驚きます。なくなった教員のスマホに残っていた板書の練習の写真。撮影時刻が午後11時13分。誰も止めなかったのだろうか。 18日の朝日新聞には改めて教員採用試験の前倒しが1面と社会面で整理されていましたが、志願者数を大きく減らしたところもあるようです。なかなか好循環は生まれませんね。   

        【心の職員室・新聞綴り】426

          【心の職員室・新聞綴り】422

          読売新聞が「教員の待遇改善」を社説で。しかし、<労働時間をいかに削減するか>という、首長があいまいな時に使う見出しです。中教審の示した施策を並べて、「政府は本腰を」と言っているだけです。 社会面では<36教委 教員試験前倒し>。やはり16日にそろえた自治体数はなく、文科省の問題提供にも言及なし。志願者が増えたところも減ったところもあったようです。詳しい分析は、自分でやるしかないか。 朝日新聞は都教委の若手アンケート結果を詳しく紹介しています。離職率の高さをなんとかするため

          【心の職員室・新聞綴り】422

          【心の職員室・新聞綴り】421

          東京都千代田立麹町中学校のことが、また朝日新聞で取り上げられています。見出しは<部活でヒップホップ だめ?><ダンス部 中学校が「創作ダンス」に>。保護者が一方的だと教育委員会に抗議文を出す事態になっています。この第1報は朝日新聞デジタルの12日配信記事でした。翌朝には紙でも掲載かと思っていたら、載りませんでした。 学校側はデジタルでの報道の翌日、保護者向けの「本校ダンス部に関する報道について」という文書をホームページもアップしました。記事だけを読むと、なんで学校はこんなこ

          【心の職員室・新聞綴り】421

          【心の職員室・新聞綴り】420

          〈男子校 生理を学ぶ〉と14日読売新聞夕刊。東京の本郷中学高校、横浜のサレジオ学院高校を取り上げ、品川女子学院中学高校の生徒による勉強会で、開成、芝、攻玉社といった名前も出ています。 筆者は旧知の女性記者です。女性ならではの視点の記事が増えて来た印象です。共学校、公立校も学んだ方がよくないですかね。 朝日新聞は14日朝刊の独自調査で〈国立大4割に「女子枠」〉。理工系中心のようです。ただ倍率が低調なところもあり、名古屋工大のように30年前からある大学も。 東大は調査には回

          【心の職員室・新聞綴り】420

          【心の職員室・新聞綴り】419

          小中学校の給食無償化について、文部科学省の調査結果を各紙が紹介しています。特に朝日新聞は1面トップ。見出しは<小中給食無償化 実施3割><自治体6年で7倍 子育て支援目的><全国拡大は財源の壁>となっています。調査は2023年9月時点で、2017年度との比較になります。 記事によると、何らかの無償化を実施しているのが722自治体、うち全員対象が547自治体で、2017年には76自治体でした。多子世帯限定など要件を設けていたのが約150、調査時点で実施していなくても2023年

          【心の職員室・新聞綴り】419

          【心の職員室・新聞綴り】418

          横浜市の教員によるわいせつ事件の裁判で、傍聴席を埋める目的で市教委職員を大量に動員していた問題で、読売新聞が解説原稿を掲載しています。きっかけは被害者支援団体からの依頼で、教育委員会は「性被害傍聴マニアの傍聴も狭めたい」といったことまで考えていたようです。 動員は5年間も続いていたといいます。誰も疑問を口にしなかったのが不思議です。市立学校に通う子どもが被害者の事件でも、被告が教員でなげれば動員の要請はなかったとありますから、教員を守る意味合いが強いと言われてもしかたがあり

          【心の職員室・新聞綴り】418

          【心の職員室・新聞綴り】417

          今年度の教員採用試験の一次試験について、都道府県・政令市など全国68教育委員会のうち、約半数の30教委が今月15、16日に実施する予定であることが、文科省の調査でわかったと読売新聞。それより早く4県市が5月に試験を終えていて、「16日までに試験日を設定したのは過半数の36教委」とあります。30+4=34。計算が合いません。 これは6月の前半に設定した自治体を省いた欠陥原稿ですね。ただ、この数字はすでに何か月も前からわかっています。まあ、文科省が意図した試験の早期化は一定程度

          【心の職員室・新聞綴り】417

          【心の職員室・新聞綴り】416

          中体連が2027年度から、全国中学校体育大会(全中大会)の9競技を実施しないと発表した、と9日の読売新聞。9競技とは水泳、ハンドボール、体操、新体操、ソフトボール男子、相撲、スキー、スケート、アイスホッケーで、スキーは2030年度から、とあります。 水泳以外の8競技は部活動のある中学校が全国で1000校に満たなかったとあり、少ない競技をやめるという方針のようです。現行の20競技から半減します。運動面ではなく社会面での扱い。 同じ社会面には兵庫県相生市の中学2年生の自死で、

          【心の職員室・新聞綴り】416

          【心の職員室・新聞綴り】415

          中国で大学統一入試「高考(ガオカオ)」が始まったと読売新聞国際面。受験生は前年比51万人増の1342万人とあります。増加分だけで日本の大学入学共通テストに匹敵します。人口比でもかなりの割合ですね。 「教育省は会場に携帯電話を持ち込んだだけでカンニング行為と見なすと通知」、AIに監視カメラの動画を確認するような試みも始まっているそうです。 ガザでは国連機関の学校をイスラエル軍が空爆、子ども15人が亡くなったと報道されていますね。イスラエル政府は、「女性や子どもがいないことを

          【心の職員室・新聞綴り】415

          【心の職員室・新聞綴り】414

          <作文コンクール AI警戒>と朝日新聞社会面。青少年読書感想文全国コンクールの応募作品にも、すでにAIを作ったものがあるそうです。全国学校図書館協議会の事務局では、実際に生成AIに感想文を書かせる実験をしているといいます。 朝日新聞の5日夕刊は1面で、<廃棄されるユーカリからアロマ 大学生が商品化>。鹿児島県いちき串木野市の久木田紫絵留さんで、小学校このロコからハーブやアロマに関心をいだき、6年生で業界団体の資格を取得、高校生の時には母親と会社を立ち上げて社長に就いたといい

          【心の職員室・新聞綴り】414

          【心の職員室・新聞綴り】413

          3日の朝日新聞朝刊は、20年前にいじめで自死した埼玉県蕨市の女子中学生の両親の思いを、社会面トップで大きく取り上げていました。2年前まで娘の部屋はそのままにしていたといいます。その思いはとても重いです。 女子生徒が書いた作文をいじめ対策の教材にしてほしいと教育委員会に訴え、作文も公文書になったそうです。「高校に行けば、大学に行けば、大学に行き、社会に出れば、違う世界が待っている」と記事にありますが、まさにその通り。そのことを当事者にどう気づかせるかだと思います。 3日の日

          【心の職員室・新聞綴り】413

          【心の職員室・新聞綴り】412

          読売新聞の「明日への考」は「地方創生の人づくり拠点」がテーマで、「地域・教育魅力化プラットフォーム」代表理事の岩本悠さん(44)。隠岐島前高校の島留学をと手がけたことで有名ですね。先日もなぜかNHKの新しいプロジェクトXでこのことが取り上げられていました。 今回の取材の舞台は隠岐ではなく、鹿児島県の喜界島。この島には神奈川県から隠岐島前高校に進学し、喜界高校の「サンゴ留学コーディネーター」を務める市川萌笑さん(20)がいます。岩本さんの弟子のような存在なのでしょうか。 記

          【心の職員室・新聞綴り】412

          【心の職員室・新聞綴り】411

          朝日新聞は都内版で、小池都政の子育て支援策について、見開きで取り上げていますが、何がいいたいのかよくわかりません。高校の授業料の実質無償化で<暮らし楽になる?><「助かるが」重いコスト><授業料「負担のほんの一部」>と、何とかアラを探そうという見出しが続きます。 一方で、元鳥取県知事の片山善博さんに、鳥取は早くから30人学級をやった。みんな同じがいいですかと言わせています。国が一律にやることと、地方が独自にやることは、当然両方あっていいわけです。ただ、周辺県との差が物議をか

          【心の職員室・新聞綴り】411