中西 茂

教育取材30年。新聞記者、大学教員を経て、いまは一介の教育ジャーナリストです。

中西 茂

教育取材30年。新聞記者、大学教員を経て、いまは一介の教育ジャーナリストです。

最近の記事

【心の職員室・新聞綴り】451

<宗教虐待 指針浸透せず>と読売新聞が社会面で。独自調査で、国が2022年12月に策定した対応指針を教職員への研修などで伝えたのは、67都道府県政令市の教育委員会のうち12都県市にとどまると報じています。いわゆる「宗教2世」対策ですね。 宗教が絡む児童虐待は、信教の自由が背景にあって「介入が難しい」ものの、厚労省の指針のQ&Aでは、たとえば「教義を理由に学校行事への参加を認めない」ことなどは虐待に当たると明示されているそうです。これは勉強が必要ですね。 朝日新聞は教育面の

    • 【心の職員室・新聞綴り】450

      また高校野球ネタですが、読売新聞の「編集手帳」がソロで校歌を歌った球児のことを取り上げています。富山県大会で3校連合チームがシード校に逆転勝ち。そのうちの一校は選手が1人だけだったそうです(筆者の初任地の高校でした)。連合チームが勝つと校歌を全部歌うのですね。全国でこういう光景はどれぐらいあるのでしょうか。 読売社会面は夕刊の返し原稿として、被災地に派遣する学校支援チーム「教育版DMAT」の創設の発表。発災直後から被災市町村に文科省職員が入って情報収集、ニーズを把握するそう

      • 【心の職員室・新聞綴り】449

        <部員118人‼ 日本一の新聞部>と19日の読売新聞中高生新聞。2019年には廃部危機に陥ったというのにのに、昨年夏の全国高等学校総合文化祭(総文祭)で日本一になり、今年も連覇を狙うという埼玉県立松山高校「松山高校新聞」の話です。 集合写真の説明には「6月に引退した3年生を加えると部員は130人を超える」とあります。私の古巣の新聞社の社会部員でも100人を超える程度。取材班、ライター班、IT班、写真班の4班に分かれているそうです。こんなに増えたらやることがなくなりそうですが

        • 【心の職員室・新聞綴り】448

          広島に出張に行った17日の朝日新聞に、広島出身で兵庫県姫路市の教育長になった元TBSアナウンサー、久保田智子さんのインタビューが載っていました。親族に被爆者がいるわけでもなく、平和教育も「昔話」にしか思えなかった彼女が、夫の転勤で退社したときに思い立ち、被爆体験伝承者にまでなったのだそうです。 原稿はきれいに読めてもそれでは言葉に力はない。「いかに自分事に落とし込むか、かな」というのですが、もう少し掘り下げて聞いてほしい。教育長になったのも、姫路市内の高校で授業をしたのがき

        【心の職員室・新聞綴り】451

          【心の職員室・新聞綴り】447

          本日は新聞休刊日です。14日の朝日新聞にALTの待遇の問題が取り上げられていました。<食事は給食だけ>というのは、ほんまかいなと言いたくなる窮状です。背景に、自治体の直接任用より、民間会社などからの派遣が増えていることがあります。 文科省の2023年度の調査では、34%が派遣となっています。大阪の「ゼネラルユニオン」による約600人の調査では、派遣は平均年収247蔓延、直接任用348万円、JET375万円。「県は派遣会社と契約しているので、答える立場にない」という神奈川県の

          【心の職員室・新聞綴り】447

          【心の職員室・新聞綴り】446

          <通信制高校生、サポート校が夢へ導く eスポーツや受験>と13日配信の日経MJ。見出しから偏りを感じますが、いまや大手企業のサポート校参入は珍しくないんですね。2020年に開校したコナミグループのKONAMI eスポーツ学院は、第一高等学院と提携。 またこの春からの学研はクラーク記念国際高校と提携。2025年度からのベネッセのBe高等学院はすでにここでも取り上げました。提携先はくまもと清陵高校。進研ゼミの個別指導教室を活用するそうです。 朝日新聞の教育面は「教育DXの波」

          【心の職員室・新聞綴り】446

          【心の職員室・新聞綴り】445

          GIGA端末の<子供データ不適切管理 一部自治体 企業が直接取得>と読売新聞が1面と社会面で大展開です。すでにこの問題は、文科省が調査に乗り出すことを読売自身が報じていました。「スタディサプリ」のリクルートに一部自治体が個人情報を直接取得・管理させていることの問題点を報じています。 朝日新聞のオピニオン面は」遊ばない子どもたち」。そもそもそういうデータがあったかと思いましたが、国際幼児体育学会長の前橋明・早大教授によると、5歳児の午前9時‐午後4時の歩数のデータが1985-

          【心の職員室・新聞綴り】445

          【心の職員室・新聞綴り】444

          教育のデジタル化を審議する中教審の特別委員会が作業部会を設置することを決めるとともに、学校での生成AI利用を検討する会議も設置することが報告されたと読売新聞。生成AIのガイドライン(暫定版)も改めて議論されるようです。 解説面には甲子園2部制が詳しく。2022年には選手51人、23年には34人に熱中症やその疑いが見られたというのは驚くべき数字でしょう。少年野球でははすでに2部制が導入されていて、2022年から正午ー午後4時は試合を行っていないとか。今年のインターハイは北部九

          【心の職員室・新聞綴り】444

          【心の職員室・新聞綴り】443

          学校のプールの水が出しっぱなしになって、多額の損害がでていることを受けて文科省が通知を出しました。「管理責任を特定の教員に追わせず、組織的に管理すること」などを求めています(朝日新聞)。 校長や担当教員に約95万円の賠償を求めた昨年の川崎市のケースだけでなく、ネットで調べてみるだけでも今年も、大阪、東京、石川県小松などで起きています。通知は「指定管理者制度の導入や民間への委託の検討」「管理委員の配置や自動で給水を止めるシステムの導入、複層的なチェック体制の構築」などを求めま

          【心の職員室・新聞綴り】443

          【心の職員室・新聞綴り】442

          読売新聞の教育面には、教職員の高ストレスの割合が増加しているという公立学校共済組合の調査の詳報が出ていました。冒頭には精神疾患で休職中の教員が通う近畿中央病院の模擬教室での職場復帰支援プログラムの様子が紹介されていました。ここまで取材が入ったのは珍しいかもしれません。 精神疾患で休職した教員が復帰後に1年以上勤める割合が、ここの場合は63%と高いといいます。記事では共済組合が運営する全国8病院の取り組みがそれぞれ紹介されていました。 隣の「教育ルネサンス」、「共通テストま

          【心の職員室・新聞綴り】442

          【心の職員室・新聞綴り】441

          高知の小学生のプール事故ですが、朝日新聞が父親にインタビューして、学校の説明を間接的に紹介しています。亡くなった男児は身長110センチほどだったそうです。「どの子が泳げないかを指導していた3人は十分把握していなかったと伝えられた」という。当日、プールに入る前に教頭に「怖い」と話したとも。 この記事には、文科省が安全徹底を通知を出したという記事も短く添えられています。こういうとき、文科省はすぐに通知を出しますが、事情が分からない段階なので、注意喚起以上のものではありません。第

          【心の職員室・新聞綴り】441

          【心の職員室・新聞綴り】440

          朝日新聞は教育面で連載「教育DXの波 Next GIGA時代へ」を7日からスタートさせていて、初回はタイトルにあるように、現在おかれている学校の環境の解説です。<端末更新 変わる授業 広がる温度差>と主見出し。 8日の2回目は「授業時数特例校」の紹介でした。「教育課程特例校」にもなって「情報探究科」をつくった千葉県印西市立原山小学校、中学3年生の「技術」の時間を週1回にした東京都町田市立南成瀬中学校。3回目は大学入試へのCBTの導入などを取り上げています。 読売新聞社会面

          【心の職員室・新聞綴り】440

          【心の職員室・新聞綴り】439

          NPO法人「キッズドア」の調査で、夏休みの短縮・廃止を生活困窮世帯の6割が望んでいると読売新聞社会面。「生活費が増えるから」という理由だそうです。短縮派が47%、「なくてよい」が13%。子どもにとって楽しい夏休みは望めないのはなんとかならないものでしょうか。 読売の「明日への考」では、早稲田の高橋義雄教授に、五輪の取材経験の長い結城和香子編集委員がインタビュー。高橋さんはeスポーツに積極的でない日本の課題をとりあげています。<多様な生き方の選択肢として><部活のようなモデル

          【心の職員室・新聞綴り】439

          【心の職員室・新聞綴り】438

          5日に起きた高知市の学校プール事故を、読売も朝日も6日夕刊で報じています。まだ読んでも状況がはっきりわからないのは、警察の聴取などで情報が断片的にしか説明されないからでしょうか。 自校のプールがポンプの故障で使えないため、授業は1-3年が近隣の小学校、4-6年の中学校で行われ、読売によると、亡くなった4年男児がこの中学校で水泳の授業を受けるのは3回目。男児は小柄で、溺れた場所の水深は130センチと、小学校のプール(100-119センチ)より深かったとあります。 2クラス3

          【心の職員室・新聞綴り】438

          【心の職員室・新聞綴り】437

          全国学力・学習状況調査が全面的にオンライン化されます。すでに2023年度の英語「話す」で行われていますが、25年度には中学校理科、26年度には英語を全面的に実施。27年度からは国語・算数にも拡大し、28年度には小学校理科も、と段階を踏みます。ただ、ネットの通信速度の問題などの課題は解消されたわけではないようです。 朝日新聞には、2025年度以降は当面、学校ごとに日程を割り当てて4日間程度で分散実施するとも書かれていました。これまで、別日程でやった分は統計から除外してきたはず

          【心の職員室・新聞綴り】437

          【心の職員室・新聞綴り】436

          読売新聞は1面で能登半島地震半年の連載をやっていて、4回目が輪島中で学ぶ小学校6校の合同小学校の話題でした。「いまはスクールバスで20分かかる」というコメントがありますが、ある意味でその程度のところは全国にはたくさんあるはず。5月1日現在の奥能登4市町の小中学生数は1951人で、昨年度比3割近く減。輪島の小学校は全9校が1学年1学級以下とのことです。 これまでも書いてきましたが、対照的なのが東京都中央区晴海。朝日新聞都内版によると、今春開校した晴海西小・中学校は5月1日現在

          【心の職員室・新聞綴り】436