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スタートアップという特殊なゲームルール下で最速成果を出すために

Contrea株式会社執行役員経営企画室長兼VPoHRの西尾です。Contreaの解説メガネくんを担っています。
業務委託で関わってからだとちょうど1年くらいが経ち、本当に当初と比べると会社も様変わりし、自分たちは勝てる会社になってきてるんだという機運を感じます。

また、自分の関わり方やポジションもどんどん変化しており、業務委託(3ヶ月)→正社員メンバー(3ヶ月)→マネージャー(3ヶ月)→執行役員(今・3ヶ月目)と会社の変化と自分の役割の変化の速度で競ってきたような1年間でした。

これはうちの会社が特別役職が上がりやすいとかでもなく、かといって僕が素質としてずば抜けているわけでもなく、僕なりにスタートアップで結果を出すための方法論があるのではないか、という仮説を実行し、それが成果として反映されたためだと考えています。

もっと正直に書くと、過去の自分のベンチャーやスタートアップでの失敗、自分が起業してからの失敗を全て踏まえた上で練り上げた仮説のため、20代全部の経験が生きて今回Contreaで一輪の花が咲いたということです。(咲いたと誇るには成果も期間もまだまだなため)

今回は、スタートアップで働きたい、という方あるいは今後一緒に働きたいと思っている方にはナレッジとして何か残せるのではないかと考えて「スタートアップ転職で爆速で成果を出す方法」を共有します。
そこには、特殊なゲームルールへの理解と、通常の転職活動とは違う変数への理解というものがあるからです。
きっと、多分、少しは役に立つと思います。あの日の僕はこれを先に知っておきたかったから。。。

スタートアップという市場がキャリアの選択肢として持つ人が増えているらしい。(https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=154&ng=DGKKZO73601830V10C23A8FFT000 )

スタートアップというのをどう定義するかは諸説あるため難しいが、①イノベーションによる非連続的な成長②未上場かつ出口戦略を検討している③スピード感の3つがおおよそどこでも使われているため、この前提で話を進めていきたい。


まず、スタートアップ転職をする皆さんに話しておきたいのは、スタートアップは基本的にお金がありません。VCや金融機関、個人投資家の方々のご支援あってはじめて挑戦できているところも少なくないため、めちゃくちゃ稼ぎたい、という方は今の給与ではなく会社を成長させて十分な資本をもたらすことで満足のいく給与になるということを念頭においてください。
Contreaは決して給与水準の低い会社ではないですが、それでも外資やメガベンチャーと呼ばれるところには勝てないですし、今まさに多くの株主によって支えられて経営しているフェーズなため、十分な資金があるというのはおかしな状態です。
なぜこの話を最初にしたかと言うと、今回書く内容はスタートアップで「給与を上げるTips」ではなく「成果を出すTips」だからです。この誤解がないように読み進めてください。

いつも寄りかかってます

経営者が何をしたいのかを掴みにいく

さて、スタートアップとは多くの場合想定を超える荒れ地であり、往々にして「思っていたよりは整っていた」という人は存在しません。いた場合は相当大変な思いをしている方です。黙って抱きしめてあげましょう。
そんな荒れ地に入るにあたって、最初の心構えとして「経営者が何を目指しているかを掴み取ること」を大事にしてください。
どんだけ整っていなくても、その場を最初に作った経営者は成し遂げたい大きなMissionがあり、そのMissionを叶える箱としてスタートアップ企業は存在します。
ここで大事なことは、目指しているMissionを理解し、それを叶える手法、道筋を立てることであり、経営者の言うことを聞くことではありません。
経営者は孤独だ、と多くのところで叫ばれ、経営者のメンタルダウンはそうではない人の10倍とも言われています。その孤独とは、寄り添って話を聞いて言うことを聞いてくれる人がいたら解消されるのではなく、Missionを成し遂げるために同じ目線で会話できる人がいない、というところから来ています。つまり、どこかで自分一人だけが考え、自分一人の責任として背負わないといけないということが孤独を生んでいるということです。

私は入社当初(当時はまだ業務委託ですが)から「川端を孤独にしない」ということを掲げており、能力云々ではなくスタンスとして横並びで居続けるというのは決めていました。
正直医療のことなど全くわからない中で、ディスカッションにならないポイントも山ほどありましたが、自分が少しでも役に立つ領域は必ず「自分が経営者ならこっちの判断するな」というものをぶつけるようにしていました。

HRドメインを経験してきたこともあり、組織の観点から経営のことを議論する時間を毎週1時間は設け、経営Issueとして一緒に意思決定することを心がけました。

経営者という特殊な生き物に対して絶対に理解するんだという強い姿勢でコミュニケーションを取ることで、一般的に不可思議に見える言動や意思決定も、その裏を理解し、押すべきか引くべきかの議論が出来るようになり、早い段階でContreaにおける経営の核を理解することが出来ました。

これには、自分が経営者だったときに理解されようとしていなかったとことで勝手に孤独を感じ苦しんだこと、過去の会社で経営者あるいは経営チームと現場の溝を自分自身が作ってしまったことの反省や後悔が、それをしたときの大きな損失に対して理解できたから、という背景があります。
経営者に対して勝手に違う生き物だと感じて見えない壁を作ることで、経営の判断も独断専行になり、大きなミスをするなんてことは山ほど事例もあり、組織としてそこから抜け出せなくなっているところも数え切れないほどあります。
自分の行動、スタンス一つで会社の大きなリスクを排除できるなら安いものだし、結果として最速で自分の職場の意思決定プロセスを理解出来るので、絶対にやってください。

経営者の見てるもの、空、未来

上の役職に就いた設定で動く

2つ目が「上の役職に就いた設定で動く」ことです。
よく、一つ上の役職の視座で動くことみたいな話がありますが、それだけだと自分の中で仮置きした「視座っぽいもの」とあるべきや周りの求めているものとのズレで苦しみます。僕はスキルもないのに役職がついたとき、会話のスタンスだけ一つ上でいたのでイキリクソ野郎みたいになっていました。本当に申し訳なく思っています。

上の役職に就いた設定で動くということの具体をお話します。

今だから書けるのですが、僕はContreaに入社するとき方方に「どうやら役員になる前提でのオファーっぽいんだよね」と言っていました。客観的に見たらめっちゃイタいと思いますし、後ろ指さされるリスクもあるのですが、これには理由があり、基本的に多くの人はアドバイスや指南をするときに「その人のロールにあったもの」を話します。つまり、「部署の立ち上げメンバー」だと「立ち上げメンバーとしてのアドバイス」が、「マネージャー」だと「マネージャーとしてのアドバイス」が授けられます。
「役員」と名乗ると嘘になるので、「どうやら役員にしたがっているみたい」と曖昧な形で話すことで、「一応役員程度の話が出来るのかな」と勝手に役員レベルの知見やアドバイスがもらえたりします。
また、社内でもなんとなく「役員メンバーじゃないのに役員みたいな振る舞いで動いている人」をやっていることで、全体としてすごく厚みのあるチーム感を出すことが出来ます。これによって、経営陣とメンバー間での差が出来ずに意見を言いあうという土壌を生成することが出来ます。

スタートアップというのは、細かい役職定義がなかったり、各ロールの境目が曖昧だったりします。だからこそ大きく出てしまえば、大きな責任範囲と役割が勝手に手に入り、結果として経営にほど近い業務を実際に行うことが出来ます。
正直ほとんどやったことない業務ばかりだったのですが、「はいはいその業務ね」という顔をして巻き取っては泣きそうなりながら本を読み、ネットの海を徘徊し、「役員っぽい感じのことやってるんだけど」と知り合いや知り合いの知り合いを辿って教えてもらいということを繰り返して涼しい顔でアウトプットを出していました。(あのとき助けてくれたかたがた、本当にありがとうございます。僕も「役員っぽい」人から相談されたら絶対に時間作ります)
これは個人の美学の問題だけでなく、会社として誰かが解決しないといけないものを消去法で未経験の人がやるよりも、なんかやったことある顔している人に渡したほうが安心出来て脳のリソースが食われないという意味があります。
不安そうにやっている人に任せてもみんなで考えたりしちゃって最悪だと思うので。

大きく出て、何とかやる。専門性では補えきれないくらいに日々多種多様な問題を限られたメンバーでこなすには、誰かが「任せとけ!」って大声で叫ぶことそのものに意味があったりします。

一応触れておきますが、これは規模の大きくなった会社では同じことはやらないほうが良いと思っています。先に書いているように、解決しなければいけないのに誰も専門性も経験もないという条件付きのゲームが発生する環境においてのみ有効である、というのは明記しておきます。

ほら、響さんも上見てるでしょ?

課題を見つけたら自分で処理する。見過ごさない。

3つ目は、「これが理由で会社が悪くなりそう」というものは徹底的に潰して回ることです。
「こういうことが理由で会社が潰れる」のタネがあった場合、おそらく遅かれ早かれ会社はぶっ壊れます。マジです。

よく入社当初のことを「徐行運転で崖から落ちそうだった」とか「山の頂上に行きたいって言いながら平地で牧草食ってた」とか散々な形容をしているのですが、当時はいわゆる「いい会社」を作ることにフォーカスされていて、スタートアップの生存競争の文脈からは完全に置いていかれていました。
結果としてこのときのおかげでまとまりのある強い組織になったため、このプロセスが無駄だったわけではないのですが、ほっといたら崖から落ちる秒読みの段階にいました。

この状態に気づいたのは割合早く、入社しない選択肢も本当はあったと思うのですが、個人的に掲げているMissionやプロダクトの将来性、またメンバーそれぞれのポテンシャルを考えたときにどうしても勝てる可能性が残ってしまっていて、もしこの状態から脱することが出来るのだとしたら、そこに賭けない手はなかったというのが当時の心境でした。

本音を書くと、失敗しても手遅れだっただけで、どうにかすれば自分で自分のことヒーローだと思えるとか、信頼してる後輩をこの状態で誘っちゃったしなとか、川端や現・執行役員の吉川が人生賭けてるの知ってるのにほっとくのもなとか、色んな感情の部分があったのは事実ですが、それでも可能性を感じていたのもまた事実ではありました。

会社の体質改善に始まり、HRで入社したはずがバックオフィスがボロボロであることに気づきバックオフィス全領域をカバーしたり、予実の作成という経営企画業務や他チームのオペレーション改善など、ほっといたらそれが理由で詰むと思えるものを除去して回っていましたが、自分が違和感持つものはその会社で一番感度があるというだけで、もっと大きな会社であれば大勢が気づきとっくに重大なIssueとして解決されているものばかりであると考えることが重要です。

僕は昔一緒に学生団体をやっていた同期たちと言っていた「問題発見者には解決義務がある」という言葉が好きで、今でも気づいてしまったのだから解決しないとという姿勢でやっています。誰かが解決してくれればというのはスタートアップにはありません。
問題が放置されていることに気付けるのは、その領域に一番危機察知のセンサーが強いからなのだから、自分が一番解決後の理想状態を描けるのだと思ったほうが楽になります。気楽に会社の危機を救っていきましょう。

同時に、スタートアップには実は活用されていない希望もいたるところに散らばっています。この人がここをやってくれたら、ここのプロセスをもっと活かせば、そういうものを拾い上げることもスタートアップでは大事な役割です。
自分の領域にとどまっていたいのだとしたら、確実に大きなところに行ったほうが望みが叶えられます。
不確実なもの、”もしかしたら”良くなるもの、”もしかしたら”被害になるもの、そういう何の職種だかよくわからないことを解決しながら、少しずつ専門領域を定めてあとから入る方に任せる準備をし、スタートアップフェーズから入ったメンバーは特権かのように不確実なお題を解き続けて開拓していくというのが組織拡大の理想だと考えています。

課題を見つけても嬉しそうだね

整理をすると下記の3つです。
① 経営者が何をしたいかを掴みにいく
② 上の役職に就いた設定で動く
③ 課題を見つけたら自分で処理する。見過ごさない。

スタートアップでは相性の見極めをより厳しくやっていく

ここまで読んでもらってわかるように、この動きをするためには先に入っている会社、あるいはすでに同じ部署に人がいたら上司や同僚、そして経営者の器があって成り立つことではあります。
ただ、そもそもそれが成り立たない組織の場合スタートアップとして、スタートアップ的に勝つことは相当厳しいと言えるでしょう。
スタートアップに転職し活躍するということは、大前提として器がスタートアップとして勝てるものなのかが重要で、その見極めとしてどのVCが出資しているのかというのもあるでしょう。
この器というものが「カルチャー」とも呼ばれるものであり、それらは明確に相性が存在します。自分は合う、あるいは自分には合わないが明確に存在する世界だからこそ、この相性は絶対に見過ごさないようにしましょう。

最後に、相性を見過ごさないという点で、採用あるいは転職活動時に何を見るのか、ということにも触れておきます。

採用活動において、多くの会社は必要なタスクを切り出し、それを達成するための必要なスキルを並べ、選考時にそれらのフィットと会社の雰囲気や人に合っているのかという空気感の変数で決定していきます。
ただ、この切り出されたタスクはあくまでも顕在化しているIssueに過ぎず、スタートアップにおいてはそれ以外にも「行きたいところに行くために解決しなければいけない潜在的なIssue」と「行きたいところに行くために起こしてはいけない課題を避けるための潜在的なIssue」が存在します。
それらは会社の事業や経営者、すでにいるメンバーという定数(変数とすることも出来るが基本は定数で考えたほうが良い)があるため、顕在化しているIssueにフィットしていることと近未来的に起きる会社のIssueにフィットしているかどうかは全くの別物であり、このどちらもに対応しうるのか否かというのが相性と呼ばれると考えています。

ただ、多くの人にとっては潜在的なIssueが未知な分野であることも多く、その場合は背中を預けてもらうまでの速度としての人対人の相性が重要になってくると考えています。
これは、所謂上司にあたる人だけでなくメンバーも同様であり、今役員として代表の川端やCMOの吉川に任せているものが失敗したら、それはどうしようもなくチームの失敗だと考えていますし、経営企画室で一緒にやっている鈴木に任せたもので失敗があったとしてもチームの失敗なので、それぞれが感知できるIssueとその対応を信じるということでスピードを担保しているという形です。合議が勝るほど個々のスキルセットが被っていないこのフェーズだからこそ、ということもありますが。

正直なところ、1年やそこらの在籍で書くべき内容ではない部分もあると思っています。
ただ、少なからず自分のこの1年間で出した成果は会社にとって重要な足跡になった自覚もあり、この成果を過去の自分が出せたのかと問われると確実に不可能だった自覚もあります。がむしゃらに頑張るだけではなく、明確に存在するゲームルールを理解し、そのゲームに沿った攻略法を実行するということへの理解の浅さが努力と成果の結びつかなさであり、安易な絶望を自分自身に向けることになっていたのだと、今なら理解が出来ます。

過去の自分の成果に対して、再現性と特殊性を切り分け、新たな環境のゲームルールに対して再構築するということが、魑魅魍魎、奇々怪々のスタートアップという環境で成果を出すということなのだと思います。

私が出来ることは、こういうTipsを外部に向けて発信してる風に社内のみんなに参考になってくれれば良いなあと祈ることであり、採用面接で正しく相性を確かめ合うことであり、入社してくれた人にゲームルールを解説することなので、もし少しでも「スタートアップっていうものに興味があるんだなあ」という方はお話しましょう。

お仲間欲しいくん

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