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7人の怒れる部長と、最初のお客様

新サービスで顧客企業2件を獲得しました。
今はその導入準備でてんやわんやです。

このサービスを早く提案したい企業さんはたくさんいるのですが、今はまだオペレーションを (サービスだけでなくモデル全体で) 磨いてしっかり軸を固めていきます。

僕は創業社長なので、立ち上げの時から無数のことを自分の頭の中で処理判断しなくてはいけない状況にあり、日頃から頭の中に7人くらいの部長がいて、お互いに議論をしています。

マーケティング的にはこういう広告文書を書きたいけど、法的には引っかかるのではないかとか (マーケ vs 法務)、

店舗オペレーションとしてはこっちのやり方のほうが効率が上がるんだけど、ブランド観点で見るとNGだなとか (オペレーション開発 vs クリエイティブディレクション)、

営業的にはお客さんからの依頼を受けたいけども、これやっちゃうとコンプライアンス的に問題があるだろう (営業 vs CSR)、といった具合に。

先週は割と多い頻度で、
「デザインを優先するか? オペレーションを優先するか?」
こんなジレンマにぶち当たることが多い1週間でした。

例えば、新サービスにおいて、
ユーザー全員が「セルフで」「誰にも教わらずに」「初見で」スムージー作りを成功させるには、ブレンダーが回りやすくしたり、道具がなくても掻き出しができるような基本設計にしとかなくてはいけない。

そこで、新サービスではひとまず推奨のリキッドベース量を通常レシピよりも多めに統一する補正をしました。

この判断は、レシピを変えて若干仕上がりを犠牲にする影響がありますが、サービスをユーザーフレンドリーに合わせていくためには必要なバランス調整です。

また、これまで出来上がりのスムージーは「カップに移して完成」というのが、店舗でも当然の仕上がりでした。
新サービスでは、容器自体にストローを挿して飲むという形を基本オペレーションとして設計しています。
こうすることで、カップの移し替え時に起こる「こぼれる」「掻き出さないと出てこない」といったエラーを潰しています。

逆に、機能面を意識しすぎると今度はデザインの設計が甘くなるな、というのも感じていて、
ユーザーの皆さんにもスムージーの写真を撮ってもらうことまで想定してデザインしておかないと、気がついたら写りそうなところにF&Pのロゴが出てなかったり、むしろ冷凍庫メーカーのロゴだったり、「貸出品」と書いたテプラのシールが思いっきり貼ってあってちょっとアレだったり・・・
みたいなことが起こりがちです。

こんな感じで、ブランド観点とオペレーション観点が相反する矛盾するようなことを、全体バランス調整の中で判断して決めながら進んでいっているような状況です。

とはいえ、こうした検討ができるのもやはり「事例」があってこそ。
今回、F&Pに共感してくれて、ぬるいか熱いかもわからない一番風呂に入ろうと決めてくれた2社の企業さんには本当に感謝です。

僕は会社員時代にも新規事業ばかりをやってきましたが、
サービスが立ち上げで社内が混沌としているときに、「事例」ほど強いものはありません。

プロダクトの方針やらサプライチェーンやらチームの役割分担やら右も左もよくわからず、事業部長すらキョロキョロしている時に、社内の誰かが獲ってきた1件の顧客案件は、社内に全ての答えをもたらしてくれ、そこから全てが始まります。

「石橋を叩いて渡る」ということわざがありますが、石橋の叩き方も人それぞれ、会社によってもそれぞれです。
石橋を適当に数回コンコン叩いて「行けるでしょ!」と楽観的に判断して渡って落っこちちゃう会社もあるし、
石橋を叩いて叩いて結局渡らない会社もあるし、
石橋を叩きすぎて割る会社もあります。

1件目の案件獲得というのは、まだ石橋を叩いている途中で
「これ以上叩いていても結局は渡ってみないとわかんないし、1回落ちてもまた登ってくればいいんじゃない」みたいなことを教えてくれます。

石橋の前で7人の部長たちが「押すな、押すな」とやっているところ、そのうち1人が後ろからドーンと背中を押してみる。
するとみんなが知らないうちに向こう側に着いている、みたいなものです。

兎にも角にも、まだまだ細かいところのギザギザがだいぶ残っていますし、
こうすればもっと良くなるんじゃないか、こんな資料が必要なんじゃないか、どこかに致命的なエラーがあるんじゃないか、見落としてないか、、、延々と思いついてしまって、それでもやってもやっても100%になることは絶対になくて、30点しか取れないこともある。
それがわかっていても、やっぱりやらないという選択肢はありません。

最初の事例は買ってでも作ったほうがいい。
新サービスで、ファーストカスタマーが教えてくれることは大きいのです。

(この記事は、2022年6月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えています)


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