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スタジオにこもっている未来がイメージできない

ヨギーニ声優 西野いつきの記事をご覧いただきありがとうございます。
『西野いつきのお仕事と日常』では、仕事観や日常生活のどうでもいいことを綴っております。お暇つぶしになれば幸いです。

さて、今回は「スタジオにこもっている未来がイメージできない」というお話。まずは、私が将来夢見ていたことについて書いていきます。

声優になりたい!


私は、小学生から声優を目指していました。アニメや洋画の吹き替えをして活躍したい。歌やグラビアは呼ばれるくらいになったらうれしいけれど、まずは現場の人たちに技術を認められて、業界で必要とされる声優になりたいと、思っていました。
高校は商業高校の情報処理科に進学しましたが、進学と同時に声優養成所や専門学校へ見学や体験に行っていました。
まずは芝居をできるようにしたかったので、日活撮影所の見学に行ったり、劇団四季のWSや青年団のWSにも参加していました。

高校でも演劇部に入部して、演劇部にある台本や過去のビデオ(当時はVHSでした)をひたすら見ていたのを覚えています。
演劇部には小劇場から公演チラシが届くのですが、大体高校生は1000円くらいの学割チケットで見られます。
大学のサークルだと無料で招待してくれるところもありました。
高校が終わって部活のない日は、下北沢か池袋へ出かけて小劇場をぶらぶらします。ちょうど上演している作品があると「当日券でみられますか」と聞いて観劇していました。
今思うと、そうやって当日看板をみて入ってくるお客さんって少ないんですよね。自分の行動がいかに珍しかったかを、舞台に出るようになって初めてしりました。

ここまで書いてて自分でも、「やっぱりなぁ」と思いますが、私は声優になりたいのに小劇場のお芝居が大好きだったんですね。
アニメはだんだん見なくなっていたし、漫画もあまり読みませんでした。
ともかく演技を見て、演技をするのが好きになっていたんです。

将来のイメージ

皆さんは、将来自分がどんな生活をしているかイメージすることはありますか。
私は、「声優になる」という夢を実現したくて、よく20年先30年先の自分をイメージしていました。
どんな声優になっていて、どんな仕事をして、どんな生活をしているのか。高校生ぐらいのときはそれが鮮明にイメージできて、何歳でデビューするとかレギュラー何本とか、本当に細かくノートに書き出していました。

高校三年に上がると同時に声優養成所に入ったのですが、そこから少しずつ、将来が見えなくなってきます。
実は、高校まではイメージしたことをほぼ実現できていたんです。
「新入生代表で全校生徒の前に立って『新入生のことば』を読む」
そう思って受験勉強をして、高校受験では自己採点全科目90点以上、生徒代表に選ばれました。
だから、イメージさえできれば、それに沿って行けばいいだけだと思っていました。
でも、そのイメージがなんだかぼやけてきて、どうしたいのか、どんな声優になりたいのかわからなくなってしまいました。

実際に養成所のレッスンを受けて、期待外れだったわけではないし楽しかったんです。仲間もできて、学校よりも養成所が楽しかったくらいです。
だけど、なんか、養成所のみんなと自分の目指す演技がずれているなぁと感じました。
そりゃそうなんですよね、声優というより小劇場演劇をずっと見てきたので、目指している演技のジャンルが違いすぎました。

はて、私は声優になりたいのだろうか。声優になる必要はあるのだろうか。
小劇場に行く?
でも、舞台人として生きている自分もイメージができない。

芸能事務所でナレーションに目覚める

ともかく声優養成所は自分の居場所じゃないなと感じて、演技ができる事務所へ応募してみよう!
と、自分が好きだった小劇団をプロデュースしている事務所や雑誌で見つけた芸能事務所へ応募しました。いくつか面談を受けて、アナウンサーさんが代表を務める事務所へ所属がきまりました。
最初は、声優養成所に通いながら、芸能事務所の預かりでイベントの仕事をしていたのですが、養成所の内部オーディションに落ちると同時に退所届を出し、預かりだった事務所へ正式に所属しました。

そこでは映像向けの演技と、舞台系の演技基礎訓練がありましたが、どちらもダメダメで、自分の演技がこんなに通用しないのかと愕然としました。
その中で、すぐに評価が上がったのはナレーションでした。
出だしを少し上げる、次の言葉は少し下げる、次のブロックの頭は最初より少し低めだけど低くなりすぎず、エンディングはこの言葉からスローテンポに、
声を意識して操るのがとても楽しくて、いろいろな文章を読みました。
練習という感覚があまりなく、遊んでいる気分で読んでいました。

演技で評価されたい、演技がしたい!という気持ちはずっとありました。
今も演技が好きなので、舞台には出たいと思っています。

でも、自分が仕事にできるのはナレーションだなと、久々にイメージ湧き上がってきました。
少しずつ仕事もとれるようになって、ナレーションの仕事をもっとやりたいなぁと思うようになりました。

生活が安定しない中でヨガと出会う

ナレーションの仕事がいくつか決まるようになってきましたが、生活は全く安定しませんでした。
毎月あるレギュラーは一本だけで、年に何本か単発の声の仕事があるくらいでした。
レギュラーも月に一回の収録だったので、それだけでは生活できません。

私はナレーションの仕事以外に、スーツアクターの仕事も毎年レギュラーで入っていました。
子供向けのイベントでダンスをするのですが、それが下手すぎて足を引っ張りまくりで、何とか体力と体幹をつけなければ!とはじめたのがヨガでした。

ヨガでは、呼吸に意識を向けながら全身を動かして、最後にシャバーサナというポーズでお休みをします。
ヨガをしている最中は自分の体に集中できて、仕事や生活の不安を忘れることができました。
そうすると、最後に残るのは本当に大切にしたい考えばかりで、余計な迷いがそぎ落とされていく感じでした。

私は将来どうやって生きていきたいんだろう。

と、考えるようになりました。

もし、ナレーションという仕事が存在しなかったら

貴方は、今目指している地位や仕事がもし存在しなかったら、何がしたいですか。

私は自分に聞いてみました。
『もしナレーターや声優や役者という仕事がこの世に存在しなかったら、あなたは何がしたいのですか』

そしたらふと、あ、私は人をリラックスさせて前向きな気持ちにできたらそれでいいんだと思いました。
その手段として、ナレーションや演技が好きだからそれを活かしたいだけだときづきました。
ヨガの先生になっても同じ目的を達成できるなぁということも考えました。

それから、仕事として自分が何をしたいかとか、どんな地位にいたいかではなくて、一日をどう過ごしたいかを考えるようになりました。

プライベートな時間も含めて、私はどんな日々を過ごしたいだろう。
とイメージしてみたら、
スタジオでマイク前にいる自分が、まったくもってイメージできなかったんです!!
あれ?と思いました。

イメージできるのは、自然の中でゆったりお茶を飲んでいたり、家庭菜園をして小さなかわいい野菜を収穫していたりする自分でした。
作業は日差しの差し込む場所でしていて、昼間ゆったりヨガを楽しんで、休日にはお庭で友達とバーベキューをしている。

仕事、仕事してない!!!

ナレーションの仕事でず~っとスタジオにこもっている自分より、自然の中にいる自分のほうが、なんか心地いいじゃないか。
他人をリラックスさせたいというのなら、まずは自分がリラックスした暮らしをして提案できるようになりたいな。

と思いました。

理想のお仕事環境

いまできたらいいなと思っているのは、旅するナレーターです。
旅先からもさっと録音機材を出して収録に対応できるようにできないかと考えています。
今は遮音吸音を簡単にできないことがネックになっていますが、これがクリアできたら、ワーケーションでナレーションしたいです。

そしてもう一つは、旅先からのオンラインヨガ配信です。
いろいろな土地を紹介して、風景を楽しみながらのオンラインヨガ。
参加してくれた方も、旅行気分で楽しめていいのではないかと考えています。
現地の方たちにもヨガを提供して、つながっていけたらいいなぁと思っています。

スタジオにこもらないナレーターが今の私の将来像です。

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