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泥沼経営の思い出【学習塾】

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僕は、現在、一応「教育」というものに関わって生きている。

それは今後も変わらないと思われる。

正確には、若者に「教育を施したい」なんて大層なことを考えているわけではなく、人が「生きること」と「教育」が切り離せないものだから教育に関わっているに過ぎない。個人的には教育を「やっている」自覚はなく、ただ「生きている」だけだ。そう、僕はただ生きているので、必然教育に関わらざるを得ない、それだけなのだ。

いまの僕の中の大きなテーマは「家族」である。家族を考えるに、教育の要素はかなり大きい。僕は、もはや「家族」を成立させる要素、成立を要請する理由は、血縁にはないと考えている。だからこそ、僕は別に血のつながった実の息子や娘が欲しいとも全く思わない。これはもしかするとまだ人類には早すぎる価値観かもしれないので、理解してもらおうとは思わないし聞き流してくれて構わないが、何らかの師弟関係が親子関係の本質を完全に置換する世の中に、いつかきっとなる。親が子を育てる必然性すらなくなるかもしれない。その周辺部を考えるのに教育は大きく関わってくる。

おっと。

いきなり暴走してしまった。失礼。

そんな、わけがわかりみのないことばかり考えている僕は、現在はオンラインで活動の在り方を模索している真っ最中なわけだが、以前、オフラインでローカルな教育活動をしていた時期がある。

今年はいろいろと新しい方針を打ち出してみたいと思っているので、気持ちの整理として当時を振り返っておきたいと思う。

当時の僕は、ロクに社会に出たこともないくせに、ただ時給ばかりを取る、無駄に歳を食っただけの男だった。しかし、まがりなりにも塾講師だ予備校講師だなんつって教育に関わっているうちに、業界を少しでも良くしたいなんていう想いを多少は抱くようになったわけだ。

理想の教育を、実現できるのではないか。そう、自分ならね。

なんつって、まあ、こんな僕も人の子だったのである。しかし、そこで僕がとったアプローチは、一般的ではなかったようだ。普通は、ビジネスとしての成功を最大の課題として取り組むわけだが、社会経験の浅かった僕は、

「ビジネス? そんな金儲けより、理想の追求だ。金は後からついてくる」

そんな想いに燃えていた。何が何でも利益に執着して組織を継続、拡大してゆくんだという覚悟より、己の抱く教育の理想をどう形にするかの「実験」に酔っていた。

塾の売りにしたこと。

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