今、全ての答えを出さないで
※本noteはRadiotalk公式ラジオ番組『まるるんず放送局』の過去回「今全ての答えを出さないで」のトークを文字に起こしたものです。
ラジオはこちら→ https://radiotalk.jp/talk/113644
筋トレは精神安定剤、筋肉は向精神薬、錦山まるです。今回は『今、全ての答えを出さないで』というお話です。
うつ病の治療生活っていうのは、とんでもなく大変で、とんでもなく辛いものだと思います。
今までは当たり前に出来ていた、朝起きてカーテン開けて、着替えて、ご飯食べて、お出掛けして、適当な他愛もない会話をして、買い物して、帰って来て。ご飯考えて食べて、お風呂入って身体洗って、身体乾かして、また着替えて、明日のこと考えてお布団入る。
こんな、誰でもごくごく当たり前に何も考えずに、大変さなんて考えることもなく多分普通にやっていたようなことが、急にとんでもなく高いハードルになってしまう。
それだけ生きるエネルギーがギリギリになってしまう。
でも、そんな状態の中で病院行って、お薬飲んで、副作用に耐えて、なんていうそんな生活をしなければならない。それはもうとんでもなく大変なことだと思います。
で、そんな状態の中で多分考えることっていうのは、もう一生こんな生活のまんまなんじゃないかとか…。
あるいは、今入院してる人であれば、一生病院から出られないんじゃないかとか。
退院したばっかりで、まだこうちょっと不安の残ってる方だったら、また再入院するんじゃないのか。入院繰り返すんじゃないか、とかって考えるんじゃないかなって思います。
あるいは、こんなまともにお風呂も入れないような、ね、自分みたいなクズじゃ多分、この先何やったって上手くいかないって。何やったってどうにもならない。
人生終わったんじゃないか、とか。一生もう駄目なんじゃないか。だから、もう今日全部終わりにしちゃったほうがいいんじゃないか...なんて言う風に、考える。
そういう考えに至ってしまうっていうのは、ごくごく自然な流れだと思います。
だって、人間生活が送れないことの屈辱ってものすごいじゃないですか。
こんなことも出来ないって...。僕も一時期、自力で寝返り打てないような状態になって。この程度も出来ない自分はもはや人間じゃないんじゃないのかって。
人間生活ですらない、何なんだこりゃみたいな風に、本当に屈辱でしかなかった。そんな状態で、なんだあの自信だの自尊心だの自己肯定感だのなんだのっていう…まあ、最近よく見かけるようなワードを、持てっていうほうが無茶な話だと思います。
で、そんな状態の時に、じゃあ、この先やっていけるんだろうかとか。
将来どうなるんだろうかみたいなことを考えて。
どんな答えが出るかっていったら、絶対まともな答えではないです。今、どんなに何を考えたところで、絶対良い考えなんか浮かばないです。
将来どうなるんだろう?とか、もう人生終わったんじゃないかとか、一生幸せになれないんじゃないだろうかとか、一生入院を繰り返すだけの、本当どうしようもない人生になるんじゃないのかとかっていう風に、その、なんだろう、とても大きなことだと、イマイチこうイメージが浮かばないかもしれない。
今考えてることが、多分まともな考えではないっていうのが、ちょっと掴みづらいかもしれないですけど…。
じゃあ、たとえば、普通に友達と遊んでいたり...、まあ別にそういうシチュエーションじゃなくてもいいや。
なんかこう普通にいつも通りにお腹空いて、いつも通りファミレスなり食堂なり入った時に、普通にじっくりメニューを選ぶ時と、もうお腹ゲロゲロで何でもいいから、とにかくもう何でもいいから口入れたい!みたいな状態でファミレスとか入った時にメニューを選ぶ時と、同じような冷静さで選ぶかっていったら絶対選ばないと思うんですよね。
普通にお腹が空いた程度で入った、ただ「ランチの時間だからそろそろ入ろう」ぐらいのノリで入った時に、メニューを見たら「コレとコレ美味しそうだからこれにしよっかなー」とか。
「あ、この時間帯だとこれセットで安いんだ」みたいに一個一個じっくりメニューを見るかもしれない。あるいは「前回これ食べたから今回別のにしよっかなぁ」なんていう風に、本当に冷静に考えられると思います。
でも、お腹ゲロゲロでもう、何でもいいからっていう状態で入ったら、「もういいよ、コレとコレとコレで!さっさともう注文しちゃおう」ってなっちゃうと思います。
それぐらい、昼飯何する?ぐらいの、本当にごくごく身近な日常のどうでもいい一コマでさえ、少し身体の状態が変わるだけで、こんなにも選択に余裕が無くなる。こんなにも冷静な考えが出来なくなる。
であれば、生きるエネルギーもギリギリな状態で、一杯一杯の生活を送ってる状況で、ね。
将来のこととか、この先どうなるんだろうとか、そんな風に考えたって、絶対にまともな答えなんか出るはずがないです。
その状態で、この先自分は幸せになれるんだろうか、病気が治るんだろうか、みたいに考えたって、絶対に良い考えなんか浮かばないし。
もう自分は全部終わりにしちゃったほうがいいんじゃないのか、みたいに考えはじめたら、そんな、ね。
それぐらいギリギリな時にそんなこと考えたら、多分あ、もう終わりにしよう、って。生きてる意味ないや、みたいな考えに多分至ってしまいます。
それはあなたが悪いんじゃ無く、そんな状況だから冷静に考えられるはずが無い。
あなたがどんなに頭の良い人だろうが優秀な人だろうが、病気になる前に、どれだけ前向きな性格であろうがなんであろうが、関係ない。
そんなギリギリな状況になったら多分、全員自分なんか生きてる意味無いとか。こんな治療の生活に何の意味が無い、みたいに考えるのは、ごくごく人として自然な流れだと思います。
僕も何度もそんな風に思いましたし、それで僕一回実行してしまいましたから。
今答えを出さなければいけない決まりなんか無いし。
今全ての答えを出さなきゃいけないなんていうことを多分迫られているわけでもないと思う。
だから、どうか、考えることが駄目とは言えないですけど。だって、考えちゃうだろうから。
この先どうなるんだろうみたいな。そういう考えが頭から抜けないっていうのはわかりますけど。
でも、今答えを出さなければならない決まりなんか絶対に無いんだから。
どうか、今、全ての答えを出そうとしないでください。
絶対にあなたにとって良い答えは出てこないし、多分あなたは自分でその答えで、自分を苦しめてしまうことになるだけだから。
絶対良いことにはならないです。
だから、どうか、今全ての答えを出そうとしないように。
今全ての決断をしないように。
今それを出さなければならない決まりは無いです。
今のあなたでは、多分その答えって良いものは出ません。
それはあなたが悪いんじゃなくって、病気で追い詰められてるからです。
だから、どうか、その答えも決断も、今はそれは先送りにしましょう。
それがきっと良いことなんだと思います。
今回は、そんなお話でした。
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