置き換え型高齢者向けサービスは、「便利にしすぎないこと」。DX推進の落とし穴
タイトル画像:山高帽をかぶった高齢の紳士のイラスト
さて、便利は正義、と自分も思ってました。
しかし、高齢者にスマホを使ってもらうという現実に遭遇して、全面的にそうではないな!と実感。
さらに、その現象は自分にも身に覚えがあり、「便利にしないでくれ」という事例を再認識。
高齢者向け、というサービスを考える上での脳内整理も兼ねた記事です。
高齢者にも新し物好き、変えたくない、の振れ幅
高齢者でも新しいことにどんどん手を出すタイプの人がいます。反対に、若くても自分の知ってるやり方から離れない人もいます。
ただ、傾向として高齢者は新しいものに飛びつかない方が多い、と言い切っていいでしょう。
とはいえ、ガラケーもなくなります。
そんなわけで、否応なしに新しい領域に進まざるを得ない時に、「らくらくホン」のアプローチ以外にも道はありそうです。
PC文化の「作業途中を残すという便利」
デジタル系、高機能処理系、データ保存系、の合体されたPCの世界。スマホでもそれは踏襲されてます。
いや、むしろスマホの方が顕著かな。
なかった頃から比べると数々の便利が産まれました。
全部を書くのはしませんが、ここでは最後のデータ保存系に着目。
ここまでの作業をあなたはしてましたね、と同じアイコンから毎度違うステータスが残った状態で始まります。
スマホの場合、
・電話のアイコンをタップ
すると、その先は、前にやってた作業状態が出てきます。検索で終わっていたらそれが開く。電話をかけて閉じれば、電話画面が次に開く。
つまり、
・同じアイコンをタップしても開く画面が違う
ということです。
仕組みを説明すれば分かるような内容でも、直感的には違うのです。必ず戻り先が同じ画面、というハード構成に慣れてしまってる人からすれば、毎度覚えてない前の状態の画面が出る事が混乱につながる。
使える人にとっては便利機能。でも、なれてない人にとっては混乱する機能です。
ゲーミフィケーション的には
いつも同じ状態からスタートすると、慣れてる人には手数が増える。慣れてない人にはいつもと同じ画面から作業ができる。
つまり、両者が同時に満足するUIはあり得ないのです。
ゲームの場合、初心者を逃すわけにはいかず、ファン層をイラつかせるわけにもいかず。
一つの考え方としては、
・慣れてない人に慣れさせる
というのがあります。ゲームを遊ぶ目的があるので、それに必要なスキルは習得する意欲はあります。
もちろん教科書的に覚えてね、はストレス。なので、簡単なクエストを体験してもらいながら、楽しんでいるうちに覚えてもらう。
日用品は違う
ゲームは目的がゲームをすること、なので乗り越えることそのものが楽しみであり、目的。でも実用品はそうはいきません。
従って、覚えてもらう作戦は使えない。
そのため、
・従来のUIそのまま
を画面上で再現する方法が取られるわけです。
同一アイコンからは同一の着地点。そこからいくつかのメニューに進んでもらう形。
慣れてる人には不便かもしれませんが、慣れてない人には「迷わない」という便利を提供する。
便利機能をカットすると、便利になる例。
多くの現場で起こり得るから、ケアすべきは使う人の属性
今、DXという掛け声で様々な領域の手順がデジタルに置き換わろうとしています。
設計する人は若い感覚の人が多いかもしれません。
しかし、その仕組みを運用する人たちのリテラシーを見誤ると、便利に作ったのに不便、という「DXとか導入しない方が良かったんじゃないの?」的な不満につながります。
UI設計に必要なこと
今、デジタル形の開発で、UI、UXデザイナー、という独立した役割が登場しました。
この職業に必要なスキルは、導線設計、ルール習得のプロセス設計、デザイン、などがありますが、もう一つ必須と思われるのが、
・利用者の属性の理解とアジャスト
です。
自分の場合
ちなみに自分が不便に思う便利機能はnoteの中にもあります。
それは、記事を投稿する際に出てくる「おすすめタグ」。ひとつ前の投稿で使ったタグがあらかじめ選びやすくなってます。
複数のテーマで書いて、しかも同一テーマの連続投稿を避けると、100%使えない「おすすめ」がされるのです。
前回投稿分にすれば、ヒット率が上がるはず、だから余計なタグは出さないようにするよ、という便利な機能。
これが、条件の違う人(多数テーマをドライブする人)にとっては不便、という例です。
カイゼン要望出したけど、どうなる!?
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