見出し画像

継 父 と 暮 ら せ ば 【4/5】

前回【3/5】はこちら
初回【1/5】はこちら

 お義父さんのインポは続いた。

 まあ歳だからねえ……とあたしは気楽に考えていた。

 男の人が思っているほど、セックスにおいて挿入されるか否かってことは(……すごいこと言ってるね、あたし)女にとっては……まあ、特にあたしにとってはそれほど重要じゃない。

 裸でじゃれあったり、キスしたり、お互いのアレを触りっこしたり……そんなことでも結構あ7たしは満足だったのだけど、お義父さんはだんだん落ち込んでいった。

 お義父さんは気持ちの浮き沈みが可愛らしいほど見た目に現れる人だ。

 そんなお義父さんは滑稽でもあったが、悲しくもあった。
 なんだか、挿入できないことで、あたしに対して悪いと思っているみたいだった。

 ものすごい見当違いなのだけれど……
 男の人……つまりお義父さんにとっては、それは深刻な問題なのだろう。

 

 あたしに何かしてあげられることはないだろうか。
 
……あたしは実際、家でぶらぶらしてお義父さんに完全に養ってもらっている格好だったので、そんな自分の立場を認識すればするほど、お義父さんのために何かしてあげたくなった。

 ちょっと人間としてイヤらしいだろうか? まあイイや。
 

 ある日、あたしはお義父さんが帰ってくるまでに、中学時代の制服を引っ張り出して着てみた。

 さすがに胸はぱんぱんになったので、まだパンパン具合が少しマシな高校時代のブラウスを代用した。
 
 とてもこんな姿、人に見せられたものではないなあ、などと思っていたが、鏡の前に立つと妙に自信を取り戻してしまった。

 あたしは今でもほとんどお化粧をしなかったが、自分で言うのもなんだがまだまだスッピンには自信があった。

 確かになんかいかがわしい感じがしないでもないけど
 ……まだまだ充分、10代の小娘に見えるじゃないか。

 それを知って安心したわたしは、ウキウキ気分でその恰好のまま、家を掃除したりした。
 慣れないけれども、お義父さんの為に料理を作った。

 レンズ豆のカレー。
 悪くない味だった。
 
 さて午後6時、お義父さんが家に帰ってきた。
 
「おっかえりなっさーいっ!」

 あたしは制服姿でお義父さんを出迎えた。

「さ、さゆり」

 お義父さんは手に持っていたカバンを下に落とした。

「………どう? 久しぶりに引っぱり出してみたの。結構、まだいけてるでしょ」

「あ………あ………」

 お義父さんは靴を脱ぎ散らかして玄関を駆け上がると、あたしを抱きしめた。
 思った以上の効果に、あたしは正直言ってたじろいだ。

「さゆり………さゆりっ!」お義父さんはその場でキスをしてきた。板間に押し倒されかねない勢いだった「……いいよ………さゆり………とっても可愛いよおおお!」

「……ち、ちょっと待って………待ってよお義父さん」あたしは慌てて言った「ね、ご飯作ったんだけど先食べる? それとも………後で?」

「……後で!……後で!」お義父さんは鼻息荒く叫ぶ「……後でいい!!」

「………もう、お義父さんほんとすけべなんだから」あたしはお義父さんの耳元で囁いた「ほら、お義父さん……はじめての時みたいに、リビングのソファでやってよ。ブラウスとか、引きちぎっちゃっていいからさ」

 お義父さんは顔を真っ赤に紅潮させて、あたしをそのまま抱きすくめてリビングまで引っ張っていった。

 お義父さんはここ数ヶ月のしょんぼりぶりがまるでウソのように、元気ハツラツだった。

 太股にスラックス越しのアレが当たっていたけど、そっちの方も……
 めちゃくちゃ元気になっていた。
 
 あたしもすごく亢奮してきた。
 
 こんなこと言うと、飢えてたみたいでイヤだけど、自分に対する相手の亢奮の匂いを嗅ぐというのはそんなに悪いものではない。
 あたしもかなり大胆になっていた。

 リビングにはそんなあたしたちにはお構いなしに、夕方から煮込んでいたカレーの匂いが立ちこめていた。

 あたしはそのままお義父さんの前に跪くと、ズボンのチャックを降ろして、お義父さんのアレを引っぱり出した………ああ、なんてことだろう。

 お義父さんのそれはここ数ヶ月ぶりに……赤黒く変色していて、先っぽなんかは黒光りしていた。

 もう先端からは液が滲みだしている。
 

「やだ……すっごい」あたしは言った「お義父さん、ものすごいことになってるよ」

 そう言ってあたしはお義父さんのカチンカチンのそれを手でなで回し、頬ずりした。

「……お義父さんも……ちょっとビックリだよ、これは………」お義父さんが少し照れたような感じで言う「………もしこのまま……このままインポが続けば……お義父さん、お前にとんでもないことお願いするとこだったよ…………」

「なに? とんでもない事って?」

 たとえばペニスバンドをつけてお尻を犯してくれ、なんて言われてもあたしは平気だったと思う。

「……言ってよ、したげるから」

「……いや、いいんだ……もう………おうっ!」

 あたしは一気にお義父さんのズボンとパンツを降ろすと、お義父さんのアレにむしゃぶりついた。

 喉の奧まで入れて、激しく頭を前後させた。
 わざと音を立てて、先端まで唇を戻すと、また一気に喉まで飲み込む……

 それを何回も何回も何回も何回も繰り返した。

 季節は夏で外はまだ昼みたいに明るかったけど、部屋の中はカレーの匂いと、あたしがお義父さんのものをはげしくしゃぶる音で満ちていた。

 あたしはそれに飽きると、お義父さんの玉袋を揉みながら、あたしのよだれで濡れて光っているお義父さんの固い肉棒の側面をハミハミした。

 手でしごいた。先っぽの穴を舌で擽った。
 
 お父さんのアレは、さらに倍の大きさになったみたいだった。
 
 お義父さんはあたしを立たせると、あたしのブラウスの胸元に手を掛けて、力任せに両側に開いた。

「きやっ!」

 こんなふうにブラウスの前を開かれるのは、7年ぶりだ。

 あの時と同じように、床にパラパラと音を立ててブラウスのボタンが散らばる。

 でも引き裂かれたブラウスの中から現れたのは、7年前とはまったく違う、ちょっと成長し過ぎた胸だった。

 ブラジャーだって、少し高めのおっぱいがかっこよく見えるやつをつけておいた。

「ああああ……」

 お義父さんはあたしの胸の谷間に顔を埋めて、そこにキスをした。
 キスをしながら、お義父さんの手がスカートの中に入ってくる。

 お義父さんはそのままあたしのお尻をパンツの上からなで回した。
 さらに唇で首筋や耳元を責めてきた。あたしは結構それに弱い。

「……あっ……んっ………お義父さん………別にいいけど、ちょっと焦り過ぎだよっ」

「何言ってんだ………さゆり。お前が悪いんだぞ………お義父さんをこんなにしてっ!」そう言ってお義父さんはあたしの手を取って、アレを握らせた。「……ほら!」

「……あっ……何だか、ますますすごいっ……」

 あたしは荒々しくソファの上に投げ出された。
 お義父さんはあたしのスカートをほぼ引きちぎるようにしてはぎ取った。

 まああたしもそのつもりだったので気にしなかった。

 スカートの中には、レースのちょっと透けたエッチなパンツを履いておいた。
 はじめての時みたいにミスマッチな赤いパンツでもいいかな、と思ったけど。

「……な、なんてやらしい下着をつけてるんだ!」お義父さんはゴキゲンさんだった「……さゆり……おまえはほんとうにいやらしい子た………いけない子だ……お義父さんがお仕置きをしてあげるからね!」

「……いいよ………して……」あたしは言った。自分でも熱っぽい声だと思った「おしおき、して

 お義父さんはあたしのレースのパンツを一気に刷り降ろし、足首から抜き取ると、部屋のどっか隅までそれを放り出した。

 そして……あたしの膝を立てて大きく左右に開くと……お義父さんが大好きで大好きなクンニタイムとなった。

 まるで猛獣みたいに、お義父さんの頭があたしの脚の間に入ってきた。

 あたしはお義父さんの髪をなでながら……最初のきつい刺激がやってくるのを待った。

「ああんっ……!!!」

 思わず、悲鳴みたいな声をあげてしまった。
 あたしの弱点を知り尽くしているお義父さんは、脇目も振らずその部分を集中的に攻撃した。

 焦らしたり、はぐらかしたりは一切ナシ。

 ほんとうに、あたしはあっという間にイってしまうところだった。

「ま……待って………」あたしは息も絶え絶えになりながらい言った「……挿れ…て……」

「……ほんとうにさゆりはいけない子だなあ……」

 お義父さんはあたしの脚の間から頭を出す。
 お義父さんの口の廻りが粘液で濡れて光っていた。

 このうえなくいやらしい感じだ。

 お義父さんの目は血走っている……お義父さんは右手でしっかりと張りつめたアレを握ると、腰を押しつけてあたしのあの部分に狙いをつけた。

「今日は………避妊は……」

「いいから来てっ!」

 あたしはお父さんの言葉を遮って、ほとんど叫んでいた。
「ようし……行くよ」

 あたしは全身の筋肉を弛緩させて、それを受け入れる準備をした。
 先端がちょん、と触れる。

「あうんっ!!」

 あたしはお義父さんの頭に手を回してしがみついた。

「あれ………?」

 それは入り口で2、3度滑ったけど………

 何故か急速に勢いを無くして、遂にあたしに突き立てられることはなかった。
 
 

 二人、無言でカレーを食べた。
 お義父さんは目に見えてしょんぼりしていた。

 あたしが悪いんだ……と思った。

 あたしがあんな小細工して、お義父さんを無理に亢奮させたから……お義父さんは逆に傷ついてしまった。あたしはカレーを食べながら、泣きそうになった。

 別に、挿れてくんなかったからって、そんなことはどうでもいい。

 お義父さん……ほんとにごめん。

「お義父さん……」あたしは言った「お義父さん、さっき言ってたよね。その………このまま元気にならなかったら、あたしに“とんでもない事たのむとこだった”って……」

「…………いいんだよ、もう」

 お義父さんはあたしの目を見ようとしない。

「何だってしてあげる。だから言って」

 あたしはお義父さんの手を取った。

 お義父さんが悲しそうにあたしを見た。いつの間にか、あたしは泣いていた。

 お義父さんの部下だと言うその男は、垂井という名前の風采の上がらない男だった。

 35歳だという話だが、まだ独身で、女性には縁があまりないらしい。

 待ち合わせた街のオープン・カフェで顔を合わせた時に、その理由がなんとなくわかるような気がした。

 ……こりゃモテないわ、って感じ。

 体つきはがっしりしていたけど、背が低くてなんだか寸づまりな感じ。
 
 実際、垂井の背はあたしより低かった。
 
 だいたいからして夏物のスーツというものは男の人を薄っぺらく見せるものだけど……垂井の灰茶色のそのスーツは特にひどかった  
 
 ……いま時、あんなに肩がぶかぶかのスーツはそう見かけない。

 いや、その代わりに垂井に似合うようなスーツを選んでやれ、逆にと言われたらあたしも困ってしまっただろう。

 あの角刈りの頭は岩石のような顔立ちにはキマり過ぎるくらいキマっていたが、それにどんな服が似合うってんだ。

 ……ああ、着流しを着て犬を散歩させていると案外ハマるかも知れないな、とあたしは勝手な想像を巡らせながら、垂井の退屈な話から現実逃避していた。
 
「……お父さんから、いつもいつも、お話は伺ってます……何か機会があったら、お父さん、わたしら部下や同僚にさゆりさんの話をするんです……写真も何枚も見せられました……いやあ、ほんと、一度もお会いしたことがなかったのに、さゆりさんのことはもう僕ら、なんでも知っているみたいなもんですよ……お父さん、さゆりさんのことが本当に自慢なんですねえ……目の中に入れても痛くないって感じで……で、さゆりさん、今はお家で花嫁修行中だとか……いやあ……いいですねえ……さゆりさん、県立大をご卒業されてるんでしょ?……いや、まったく頭が下がります……それから……」
 

 うんぬん。
 本当につまらない奴だった。
 
 お義父さんの会社には、こんな男しかいないのだろうか……?

 いや、多分、お義父さんの会社だけじゃないんだろう。
 この世の中には、たぶんつまんなくない男なんてあまり居ないのだろう。

 っていうか、あたしは、ほとんど家の中の生活しかしらない。

 外の世界にどんな男がいるのか……さらに言うならどんな女が居るのかも知らないし、それらがどんな具合でくっついたり離れたりするのかも知らない。

 男女の間で、どんな会話が繰り広げられているのかも知らない。

 だいたいあたしは、デートというやつをしたことがない。

 世間の男女は皆、こんなことをしているんだろうか?

 こんなどうでもいい話に延々と相槌を打って、どんどんぬるくなっていくコーヒーを前に、欠伸をかみ殺して、せめて相手が気を悪くしないように愛想笑いの種火を灯し続ける。

 よくもまあ、あんなどうでもいいことが次から次へと口をついて出てくるものだ。

 
 しかもこれで、デートははじまったばかり。
 まだお日様は高くて、夕食までには時間がある。

 それまでこの男はどうでもいい話を続けるつもりだろうか……?

 垂井はあたしについても、いかにもさりげなさを装いながら、いろいろと探りを入れてくる。

 家では何をしているのか? お義父さんとどんな話をしているのか? どんなところに遊びに行くのが好きなのか?(どこも好きじゃない) どんな音楽が好きなのか? スポーツは好きか?(大っ嫌いだ)、どんな音楽を聴くのか?どんな本を読むのか? どんな映画を観るのか? 

 ……その他いろいろ。
 
 何なのこれ。まるで警察の取り調べだ。
 
 あたしがあんまり適当に返事をするので、こんど垂井は自分の話をし出した。 

 会社での仕事内容にはじまり、アフターファイブの過ごし方、休日の過ごし方、今年のゴールデンウィークにはどこに遊びに行ったか、今年の夏はどこに遊びに行く予定か、会社での人間関係の話、接待や合コンの話、散々自分の現状を語り尽くすと、こんどは大学時代にはじまる自分の学生時代の話に移った。いかに大学生活が楽しかったか、という話。

 ああ、それは良かったね。
 思わずあたしは言ってしまうところだった。

 あと、高校時代にやったちょっとしたワルさの話。

 まあ、クラスメイトに掴みかかってその頭をいやというほど床にぶつけ続けたことに比べると、恐ろしく刺激の弱い話だった。
 
 あたしはできえるだけ退屈を表に出さないように心掛けたが、さすがの垂井にもそれは伝わったらしい。垂井は腕時計……オメガ・シーマスター……を大袈裟に覗くと、

「少しぶらぶらしましょうか」

 と言って席を立った。
 
 街のぶらぶら歩きは、これまた退屈極まりなかったけれども、喫茶店の中よりはずっとましだった。

 最近、あまり街まで出かけていなかったということもあるのだろう。

 初夏の晴れた日で……空はきれいなブルー、直射日光は厳しかったけれどもなんとなくそれはあたしの心を明るくした。

 街路樹は濃い緑の葉をつけて、薄着の女の子たちが楽しそうに笑っている。
 ああ、たまには外出しなきゃなあ、とあたしは少し反省した。
 
 垂井はまだ延々と話し続けたけど、あたしはほとんど彼の話を聞いていなかった。
 
 その代わり、道行くたくさんのカップルを観察していた。

 いろんなのが居る。
 美男美女も入れば、美男醜女も、醜男美女も、醜男醜女も。

 ……それらが皆、手緒をつないだり、腕を組んだりで、このくそ暑い中、楽しそうに街を歩いている。

 みんなそれなりに楽しそうだからびっくりだ。

 一体なにが楽しくてあんな風に笑ってるんだろう?
 あんなふうにみんな、喫茶店でどうでもいい会話をしては、ニコニコ笑って寄り添って歩いて、食事なんかして、そんままホテルに入ったりするんだろうか?
 

 あたしは何だか、胸騒ぎのようなものを覚えはじめていた。
 
 どうにかして、そんな俗物カップルどもを心の中で見下してやろうと思ったけれども……
 それがなかなかできない。

 何故なのかはわからないが、家の中でそんな連中のことを勝手に想像しているのと、この明るい日差しの中で実際に目にしているのとでは全然気持ちが違う。

 ……恐ろしいことだが、あたしの中では、彼・彼女らに対する畏敬が芽生え掛けていた。

 ……いやあ、すごいわ。あんたら。
 
 それができないあたしは、やっぱりおかしいわ。
 
 そんなことを思っていると、あっという間に夕食の時間になった。


 夕食は垂井がお気に入りだと言う韓国料理店だった。韓国料理ははじめてだったが、チーズダッカルビは美味しかった。

 それに韓国焼酎も良かった。

 あたしはお酒がそれほど好きではないけど、韓国焼酎とは愛称が合ったみたいだ。
 垂井は永遠に喋り続けるかのようだった。あたしのお酒のピッチが上がる。

「結構、お酒好きなんですね」

 ああ、好きだよ。悪いかよ。
 これからすることを考えれば、飲まないとやってられない。
 だんだん酔いも廻ってきて、垂井の言葉はずっと遠くから聞こえてくるようだった。

 “大丈夫ですか?”とか“ウーロン茶でも飲みますか”とか……

 なんとかかんとか。まったくよく喋る男だよ。
 サラリーマンなんかやめてラジオのDJかなんかになればいいのに。

 あたしはすっっごくいい気分になっていた。

 もっといい気分になるには、こいつを黙らせる必要があった。
 
 あたしはふらふらと立ち上がると、よろける足取りで向かい合って座っていた垂井の横に腰掛けた。

 垂井が困惑したのがわかる……いい気分だ。

 あたしは垂井の耳にほとんどキスするくらいまで口を近づけて、言った。
 
「ねえ、……おなか一杯になったし、腹ごなしにホテルいかない?」
 
 ちょろいもんだった。 


【5/5】はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?