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いわゆる「廃墟ビキニ」に関する考察

 いよいよ夏到来。
 ということは本格的なグラビアシーズン到来、ということだ。

 いや、どうだろう。

 グラビアでは確かに被写体である女性たちは水着なわけだから、かつ水辺にいるわけだから、季節は夏が相応しいのかもしれない。

武田玲奈もう水着やらんだと? なぜ? 世界終わるの?

 しかし、実のところグラビアはオールシーズンだ。
 季節を問わない。
 その証拠に前回は、こんな ↓ 考察をしてみた。

 この考察においては、

 こんな

こんな

 こんな

こんな

 こーんな

こーーーーーーんな

 ビキニグラビアが世間に溢れていることを取り上げ、『なぜ雪原でビキニなのか?』を考察した。

 なので、グラビア=夏 というイメージは正しくない。

 ただでさえ、各界の芸能人・アーティスト・セレブ女性たちが年がら年中、南の島にバカンスに出かけては、プライベートなビキニ姿をインスタで披露するので、本職グラビアモデルたちもさぞかし大変な状況だ(と思う)。

 

こんなふうに!
こんなふうに!
こーーーーーーーんなふうにな!!!!

 まあ今回のテーマは季節ではない。
 特定のグラビアの、ある特殊なシチュエーションに関してだ。

 以前、このno+eでは、こういう問題 ↓ を扱った。

 ビーチやプールサイド、川などでならわかるが、なぜ一部のグラビアは


こんなんとか
こんなんとか
こーーんなんとか

 こーんなふうに和室(日本家屋)内で撮影され、それに一定のニーズがあるのか、ということを考察した。

 今回はそれよりももっと不可解なジャンルを扱いたい。

 いわゆる、「廃墟グラビア」だ

廃墟で堂々と……何してんだこの人。


■廃墟グラビアとは


 廃墟……それはつまり廃ホテルであったり、廃工場であったり、廃病院でであったり、廃校になった学校の校舎だったりするわけだが……

 そんないかにも無断立ち入りできなそう、というか、
 いかにもお化けが出そう(写真になんか写りそう)、というか、
 今すぐにもホラー映画の撮影ができそう、というか、
 いかにも銃撃戦がはじまりそう、というか……

 そういう場所を背景に、モデルがビキニ(あるいはワンピースや下着)姿になっている。

こんなふうに
こーんな
こーんなふうな

 これは………………一体何なのだろう。
 一体なぜ、撮影場所としてこんな殺伐とした空間が選ばれるのか。

 確かに世紀末感はある。

 こーいう映画 ↓ に通じるような。

というかまだ観てない。

 というか、荒廃した風景でビキニのおねいさんなのだからむしろ、「マッドマックス(2)」のヒットにあやかって無数に作られたB級・D級映画のうちの、こーいう映画 ↓ の世界観に近いものがあるのかも知れない。

こんな人らが
こんな人らと戦う映画

 こうしたグラビアが何を表現しようとしているのか。
 “世紀末感”か。
 それがセクシャルとどう関連するのだろう?


■廃墟の放つ“瘴気”

 あるいは、一種のAV……いわゆるレ●プものやSMものなどは、このような廃墟で撮影されているものが多い。

いやっ! 助けてっ!!!」

「へへへ……好きなだけ叫びな……こんなところに誰も来やしねえぜ……」

 という感じで、まさに叫んだって誰も来なさそうな廃墟でバイオレントなエロスが展開する。
 
 それが高じて「廃墟」というシチュエーションだけでもう勃起してしまうようなAVファンもいるようで、「廃墟」に特化したジャンルもできているようだ。


こんなんとか


こんなんとか

 しかし…………

 はっきり言って今回のテーマである「廃墟グラビア」に比べると、AVのジャケットのほうがまだまだ品行方正に見える。

だってこんなんだし。


 ……確かに……廃墟でポーズをとるほぼ半裸の美女、となると、どうしてもなんとなく画面が犯罪的な、ちょっと警察案件っぽいいかがわしさが溢れてくる。

ホラね。

 こういう場所に美女がビキニを「着せられて」ポーズを「取らされている」というのがもうなんかすでに犯罪的だ。

 「犯罪的」というのはこのちゃんとこういう場所の撮影許可を取ってるのか、とかそういうレベルの話ではない。

 まあAVのほうは実際に(だいたい廃墟というものは誰かの私有地なので)撮影許可を取っているのかかなり怪しいが、とにかく撮影中に誰か第三者が来るようなこともないだろうし、足場が悪くて暗くて汚いことを覗けば、思う存分撮影できるというメリットがあるのだろう。

 廃墟がグラビアの撮影場所に選ばれる理由も、そのへんはAVと変わらないのではなかろうか。

 あと、こういう場所は、この手 ↓ の映像作品と撮影場所が被っていることも多いと思う。

行ってはいけないならこんなもん出すな!
そりゃ凸凸凸されたら霊さんも激おこだわ。

 笑いと恐怖は紙一重
 笑いとエロスも紙一重だ。
 となると、恐怖エロスも紙一重なのかも知れない。
 
 そんなこんなで、こういう ↓ 神をも恐れぬハイブリット作品もある。

なにが「心霊スポット VS Gスポット」だ!

もう知らん! 

 ここまで行くともう観る人はいったいを求めているのかわからないが、ようするにいわゆる「廃墟グラビア」も、こうした廃墟のようなシチュエーションが醸し出すなんとも言えない「瘴気※」を借りて、一種のセクシーに昇華したものと言えるのかもしれない。

※「瘴気」の原型は古代ギリシャの医者・ヒポクラテスが提唱したものであり、悪い土地(湿地や沼地)などから漂ってくる「悪い空気」や水などが人に病気をもたらすものであるとされた……どうだ、勉強になるだろう。

 話は逸れるが、近年この手の心霊凸ものはYouTuberの専売特許となっているが、ちゃんとプロの映画監督が作ったJホラー映画でも導入部分とかで「調子に乗って心霊スポット凸でバズりを狙って案の定呪われるYouTuber」が出てきすぎてもうちょっとお腹いっぱいだ。これからJホラー監督に劇中YouTuber出すの一切禁止にしたいくらいだ。

「なんたら村」3本に出てくるこいつ、ギャグ?


■人々が「廃墟グラビア」に求めるもの



 話を戻そう。

 たしかに、廃墟グラビアが醸し出す「いかがわしさ」は、ビーチやプールサイドはもちろん、和室や畳の上のグラビアのではない。

こんなんだし
こんなんとかも

 ある人は、こういった写真から、その後に続く廃墟AVのようなダークなエッチ展開を幻視するのかも知れない。

 またある人は、この写真からさらに想像力の翼を広げ、核戦争後の荒廃した未来を舞台に活躍する女戦士たちのスペクタクル(でも予算はあんまりか掛かっていない)を夢想するのかも知れない。

こういう、
こういう世界を

 あるいは別のある人は、もはや(廃墟ものAVに見られるような条件反射により)廃墟そのものにテンションが上がるのかも知れない。

こんなんとかに。この廃墟、水道は生きているらしい。


■廃墟グラビアのできるまで<妄想>

 で、こうした殺伐とした風景のなかでグラビアを撮影しようとする撮影者、もしくは撮影されるモデルさんたちは、いったいどんなことを考えてこのようなものを共同制作しているのだろうか。

アヤノちゃん(仮名)! またグラビアの撮影入ったよ! 今度は廃墟!」

こんなんとか
こんなん

「えっ……廃墟? なんで廃墟なんですか?」

 みたいな会話が、モデルさんたちの所属事務所内では交わされているのだろう。

 まさかマネージャーも

うっせえな! 廃墟でテメエがビキニになるとテメエのファンは、テメエがこの撮影のあと廃墟でバンザイ拘束されてSMふうにこってりじっくり陰湿に責め抜かれるとこを想像すんだよ! そういう変態の性欲でテメエはオマンマ食ってんだよ!! つべこべ言うんじゃねえ!!』

 とは言えない。
 または、

『テメエごときをグアムやサイパン、てか沖縄にさえ連れていくカネが惜しいからだよ! 廃墟使えばほぼタダなんだよ!』

 とも言えない。

 やはり……こういう場合、モデルさんを納得させるために持ち出されるのは「芸術性」なのだろうか?

「今回のグラビア、いつもと違ってコンセプトがしっかりしててさ。『退廃』ってのが今回のキモなわけ!」

「タイハイ……?」

「これまでアヤノちゃんのグラビアってさ、ビキニで太陽の下、ビーチで跳ねたり跳んだりしてるイメージだったじゃん? 言ってみればこれまでのアヤノちゃんのイメージって『健康!』だったわけじゃん?」

「それは……まあそういうイメージで売ろうって話だったからで……」

 アヤノはそのパブリックイメージのために、定期的にジムで身体を鍛えていることをインスタでアピールしなければならなかった。

こんなふうに

「今回はアヤノちゃんに隠されていた、新たな魅力をファンに発信しちゃうわけ! だから今回はアヤノちゃんの健康な肉体と、廃墟の風景が醸し出す『退廃』のコントラストを狙ってんだよね!」

 我ながらよくもまあこんなチャラい代理店営業みたいなテキトーをほざけるもんだ、と自分に呆れながらも、マネージャーは言葉を続ける。

「でも……それにしてもなんで廃墟……」

「廃墟ってオシャレなんだよ! 『廃墟萌え』とかあるじゃん? なんか滅びゆく風景には人のアート心をくすぐるもんがあるんだよね~」

 と言いつつマネージャーは自分でも『そうか?』と思っている。


こんなんとか
こーいうのとか

「はあ……で、今回の撮影現場なんですけど、いったい何の廃墟なんですか?」

「よくぞ聞いてくれました! び・ょ・う・い・ん! 廃病院だよ!」

「イヤです! ムリムリムリムリムリムリムリ! ムリですっ!」


こーんな
こんなとこ。瘴気のレベルがちがう。


「なんでー? 使われてない病院だから誰も来ないよ? 雰囲気あるよ!」

「どう考えてもヤバいじゃないですか! 呪われたらどーするんですか!」

『ちっ、まだゴネるのかよ……墓地火葬場じゃないだけ有難いと思えっての! てか俺だって付いていくのヤだよ! お祓いしたいよ!』

 ……という思いをグッとこらえてマネージャーは続ける。

「かつて生と死の境界でもあった病院という特別な廃墟のなかでこそ、生命力のシンボルともいえるアヤノちゃんの健康ボディのコントラストが映えるんじゃ~ん? いいかい? これはアートなんだ! これまでアヤノちゃんはキュートでヘルシーな路線だったけど、今回のアート路線で、ずっとアヤノちゃんの表現の幅は広がるよ~? アート路線のグラビアが成功したら、もっと高名な写真家センセーに撮ってもらえるかもしれないし……」

「そ、そうですかね……」

「あとさ、グラビア畑からJホラー映画のヒロインに抜擢された子も多いんだよね~……で、ホラー映画って言ったら廃墟でしょ?」

「は……はい……てか……そうなんですか?」


古くは「輪廻」の優香とか!
「真・鮫島事件」の武田玲奈とか!
内田理央のコレとか!


「アヤノちゃん、スクリーンデビューが目標だったでしょ? 廃病院グラビアで注目されたら、ホラー関連のプロデューサーとか監督とかからお声が掛かるかもよ? チャンスだよ! これ、チャンス以外のなにものでもないよ!」

「………………………………や、やります……」

 マネージャーは『ふん、手間取らせやがって』と心のなかでつぶやくのだった。

 そしてアヤノが廃病院で撮ったのは、こんな ↓ カンジのグラビアだった。

こんなんとか
こんなかんじ。

 撮影したカットのうち、五分の一ほどのカットに何らか得体のしれないものが映り込んでおり、破棄せざるえを得なかったが……とにかくアヤノの廃墟グラビアはそこそこの(キワモノたちの)話題を呼び、念願のスクリーンデビューにもつながった。

 こんな感じの映画だったが……

こんなかんじ(ちょっと観たい)

■まとめ


 廃墟……そこは滅びゆく世界の序章。
 今を生きる者の侵入を拒む死せる者のテリトリー。
 人はそこに崩壊と虚無を見出し、わたくしどもが暮らすこの世界もまた、永遠ではないことを認識する。

 そこにビキニ姿で肢体を晒す彼女たちは、現世から冥界へ送られた流刑者なのか……それとも、黄泉からこの世に寄越された使者なのか。

  •  わたくしどもはそこに終末を幻視する。

  •  そこに逆説的な「」を実感する。

  •  「」と「」、「」と「」の共通項を見出そうとする。

 これからもグラビアモデルたちは、ビキニで、下着で、あるいはセミヌードで、廃墟でポーズをとるだろう。

 そしてわたしたちを、「日常は永遠だ」という錯覚から誘い出してくれることだろう。


※追加

 そういえば「平成のエロテロリスト」の異名をとっていたこの ↓ 人、

このひと

 とくに廃墟で撮ったグラビアが多かったような気がする。

 次回は「オフィスグラビア」について考察したい。


さすがにビキニはほぼない。


<今度こそほんとうに続かない>


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