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書評「The Book of Joe: Trying Not to Suck at Baseball and Life」

以前「The Cubs Way」という書籍に書かれていた当時シカコカブスの監督だったジョー・マドンのチーム作りについて書かれた本がとても面白くて、書評を書いたことがありました。

ジョー・マドンはその後アナハイム・エンゼルスの監督に就任。大谷翔平が持っている才能をフルに発揮できるようになったのは、ジョー・マドンが監督に就任してからです。彼が監督にならなければ、今の大谷翔平の活躍はなかったと思います。

ジョー・マドンは2022年シーズンの途中に監督を解任されたのですが、解任された後に「The Cubs Way」を執筆したTom Verucciとの共著で自身の半生をまとめた書籍を出版しました。それが「The Book of Joe: Trying Not to Suck at Baseball and Life」です。

本書ではジョー・マドンのキャリアを振り返りながら、彼がどんな考え方で、どんなメソッドを用いてコーチや監督としてのキャリアを積み重ねてきたのか紹介されています。

ジョー・マドンの仕事の進め方で前提にあるのは「選手へのリスペクト」「ベースボールというスポーツへのリスペクト」です。

選手の力を引き出すために、ジョー・マドンは1on1のコミュニケーションをとても大切にしています。例えばジョー・マドンは自身が伝えたいメッセージを記したTシャツを着るのですが、これも選手とのコミュニケーションのため。ただ言葉や数字で伝えるのではなく、いかに選手の頭に残るように、行動が変わるようにするにはどうしたらよいか。ジョー・マドンはあらゆる方法を用います。

ジョー・マドンは感性だけでコーチや監督をやってきた人物ではありません。最近のMLBでどのチームも取り入れた守備シフト(2023年シーズンからは規制される)を最初に取り入れたのはジョー・マドンでした。データを重視して合理的な意思決定と感性とコミュニケーションを用いたコーチングの絶妙なバランスがジョー・マドンの真骨頂です。

選手と野球に対するリスペクトがある人物なので、ジョー・マドンは必要以上に現場に管理部門が介入することを嫌います。エンゼルスの監督を解任されたのはミナシアンGMが感性を重視するジョー・マドンのチームビルディングが理解できず、現場に介入したことがきっかけでした。ミナシアンが選んだ監督ではないとはいえ、コミュニケーションをとればよかったと思うのですが。ジョー・マドンはデータに対する理解がある人でもあるので、上手くやれたはずとも思うのですが。

ジョー・マドンはPodcastもやっていて、書籍に書かれていることを補足しているようなので、Podcastも聴き直してみようと思います。

なお、今回はオーディオブックを聴きながら読むのではなく、文字だけで読み切ることが出来ました。少しずつ英語の本を読む力がついてきたので、もっと英語の本を読んでみようと思います。

野球が好きな人にはおすすめです。日本語版はまだ発売されていないのでぜひ英語版を。


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