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書評「ジョン・ハンケ 世界をめぐる冒険 グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ」

僕は全くゲームをやらないのですが、そんな僕が気になっているゲームがあります。それが「Ingress」と「ポケモンGO」です。

僕がこのゲームが気になったのは、「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」というPodcastで、Nianticのジョン・ハンケさんと川島優志さんがゲストに登場した「人工知能と仮想現実」というテーマの回を聴いたことがきっかけでした。

詳しくはこの回を聴いてもらいたいのですが、「Ingress」というゲームが、「外の世界に出る」きっかけを作るためのゲームとして設計されているという話を聴いて、僕は「Nianticという会社の思想は、他の会社と違うな」と思い、ずっと頭の片隅で覚えていました。

そして、Nianticが「ポケモンGO」を発表した時、この会社の思想でもある「外の世界に出る」がどういうことなのか、多くの人に知られたのではないかと思います。

あまり多くの人に知られていませんが、「ポケモンGO」はスポーツ庁の「Sports in LIfe」の認定アプリに選ばれています。「運動のきっかけを与えた」というのが、認定の理由でした。

多くのゲームが「家の中でプレーする」ことを前提に設計されていますが、「Ingress」や「ポケモンGO」は、「外で楽しむ」「自分が知らない外の世界を知る」ために設計されています。ARという「仮想現実」の技術を使いながら、現実の世界を楽しむための設計が施されています。

「Ingress」や「ポケモンGO」を作ったNianticsのCEOを務めているのが、ジョン・ハンケ。元々はGoogleで「Google Earth」というサービスを開発し、「Google Map」のサービス立ち上げに関わっています。Google Mapの開発は、Googleという会社がデジタルからリアルの場に進出する大きなきっかけになったサービスです。

ジョン・ハンケとは、どんな人物なのか。そして、IngressやポケモンGOはいかに作り出されたのか。本書「ジョン・ハンケ 世界をめぐる冒険 グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ」には、そんな経緯が詳しく書かれています。

ヒトは冒険がしたい生きもの

僕が本書で印象に残っているのは、この言葉です。

仕事においても、仕事を離れても、ヒトはゆたかな人間関係を求め、冒険がしたいと思う生きものです。
人間という動物にとっては、人間との関係がもっとも大切なのです。

スマホで楽しむゲームの中には、人をゲームの中に閉じ込め、ゲームに浸からせるための設計を施し、課金させ、現実に戻れなくさせるようにしているとすら思える作品も少なくないと思う。

でも、IngressやポケモンGOは、あくまで現実の世界を舞台に、仮想現実を使って冒険をさせるための装置として機能させようとしている。他と違うと感じるのは、ジョン・ハンケさんを筆頭に、Nianticの発想が他と全く違うからではないか。そんなことを感じた。

個人的には槙野智章が登場するこの記事も好きです。槙野はポケモンGOが好きで知られているのですが、ポケモンGOをすることの楽しみを語っています。

本書はそれほど分厚い本ではなりませんので読みやすいにかかわらず、とても読み応えがある書籍です。ぜひ読んでみてください。


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