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品川女子学院被服部のためのインタビュー / nisai 松田直己

去年、品川女子学院被服部からインタビューを受けました
用途は文化祭での発表用で、趣旨は以下のようなものでした

「私たちはこれまで、大量生産・大量消費、安くものを買って、消費し、不要になったら捨てるの繰り返しによって引き起こされている環境汚染やゴミ処理、労働問題など、様々な問題があることを学びました」
「今回の文化祭では、普段から手作りのよさに触れている方々にお話を伺い、インタビュー動画を文化祭にて上映させていただきたいと考えております」

品川女子学院被服部より

こういった真っ直ぐな姿勢を受けて、事前に言葉を用意せず、
できるだけ嘘偽りなく、簡潔な言葉を選びながら伝えようとした一発撮りの映像記録は
自分のための備忘録としても残しておきたいなと思い、
本来クローズドな場所での記録だけど
編集データをお借りしてyoutubeへ公開しました

ありがとうございます

https://www.youtube.com/watch?v=CCT2YfwVCLw

───────
以下、インタビュー回答の文字起こし


*服作りをはじめたきっかけはなんですか?


→3つのきっかけがあります。

 1,
 元々絵描きを志して絵画発表活動をしてた、けれど、絵の売り方がわからなかった。
「君の絵を服にペイントしたら売れるよ」と教えてくれた友人がいて、試してみたら反響を得られた。
 20代に差し掛かる頃、服飾、立体造形、写真、映像といった表現にも手を出し始めた。
「ファッション」は、そういった「自分がやってきた表現たち」を総合的に組み合わせられる場所だった。

 2,
 そもそもブランドは、2人1組ではじめる予定だった
 自分はテキスタイルとデザインに専念して、縫製担当の友人が形にする。というもの。
 けど、ブランドスタートと同時に友人が辞めてしまった。
 それでも続けたかった自分は、
 家庭用ミシンを買って独学で縫製を学びながら服を作り始めた

 3,
 どうしても振り向かせたい好きな人がいた。
 服は誰もが必ず毎日選ぶし、生活に必要不可欠な表現分野だから
 嗜好品としての(そういう認識があった)アート・芸術で有名になるよりも、こっちを突き詰める方が最短距離でその人に届くと思った。

*アップサイクルというスタイルに行き着いたのはなぜですか?

→技術的な問題とテーマの問題。
 でも、今の理由とはじめた時の理由はちょっと違う。

 最初の理由は、ブランドを「赤裸々な・私小説的なブランド」にしたいと思ってた。
 パンク音楽や、落語やお笑い、自分をさらけ出してる表現、情けなかったり泥臭い状態を堂々とさらし描くことで、逆に勇気づけられたり、自分も生きてていんだなと思わせてくれる漫画・音楽・映画といった表現が世の中にたくさんある中、洗練さを競う「ファッション」には「カッコ悪さに寄り添うブランド」がいないと思って、そこを埋めるブランドになろうと思った。
 それでいうと、「好きな人を振り向かせたい気持ち」って気持ちは、全然洗練されてない原動力だから、そこをあえてブランドの特色にしようと思った。

 「好きな人に不要とされた自分」を「いつか誰かに不要とされた古着」に重ねて、そこに価値を与える作り方は、テーマとリンクして、感情が宿り、人の心を動かす確信があった。
 逆に、新品の生地を使って完成したパターンで作ることは、テーマとリンクしない。
 この考え方と制作方法を一貫していく必要があると思った。
 (それが後々「アップサイクル」と呼ばれるようになっただけで、
  自分としては、アップサイクルという感覚も持たずに取り入れていた)

 でもそれは2つあるうち、1つの理由。

 もう1つの理由は、独学ではじめたから、技術的に「簡易的なリメイク」って方法でしか、服作りと発表をスタートできなかったこと
 数年も服を続けてきた今は技術が追いついてきて、愛着につながるような遊び要素ある再構築やディティール、パターンメイク・コラボレーションワークといった色々な技法を取り入れられるようになったけれど、最初にアップサイクルというスタイルを選んだ理由は、この2つ。

*服作りを辞めたいと思わないですか?

→そうやって思うスキを与えないようにしてる。

*あなたにとって手芸とはなんですか?

→ここはいい場所だなと思うんです。
 でも僕は、手芸単体が好きというより、
 つちかってきた技術や影響を活かして
 単独で完成しないで他者を巻き込むことで完成していく
 総合表現的な「ブランドを作ること」が好き。
 それは身を削ることじゃなくて可能性を広げる創作だから。
 今までもそうだったし、これからもそう思うと思います。

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