ストロベリーフィールド: 第二十一幕 パンパスグラスの憧れの人
遠くスノーマウンテンのはるか上空には、季節外れの真っ黒な雪雲が見えている。
学校とは反対の方へ進み、ハンナは曲がり角をストロベリーフィールドの方向へと曲った。
間もなく見えて来たフィールドの中に入り、数メートルも進むとすぐに、向かい風がハンナに向かって吹きつけ始めた。
前方には茶色い荒れ地が広がっていて、村人たちが言う様にまるで《呪い》にでもかかったように寒々しく見えている。
ハンナは、それが偽物であることを信じて疑わなかった。
確認するかのようにフィールドに足を踏み入れて見たものの、どうすれば、本物の世界に入れるのかが分からず、風の中、荒れ地を右に左にと歩き回るしかない。
けれどやはりどこをどう歩いても、花の香りさえしてこない。
しかも、畑の入り口から十歩ほどしかどうやっても前に進めない。
厳密には、同じ景色の場所へ戻る感覚だった。
まるで何度も映像を巻き戻しているかのようだ。
ハンナの頭に、ある考えが浮かんだ。
今なら、精霊の谷からスノーマウンテンまで行けるかもしれない。
ストロベリーフィールドに、誰もいない今ならば……。
沸き起こる怒りに任せ、やたらめったらと動いていたハンナは、ふと歩みを止めた。
すると、不思議なことに、あれほどひどく吹いていた風が少し収まった。
ハンナの様子を伺うように、風はハンナの周りをぐるぐるとまわっている。
間違いない。これは、何かの術だ。
ハンナは確信すると、ストロベリーフィールドを横切ることを諦めて、畑の外周に出た。
畑を横切る近道ではなく、外周に沿って作られた道沿いを歩くことにしたのだ。
思ったとおり、風は、畑の中ほどには強く吹き付けることは無くなった。
はるか彼方に見えているスノーマウンテンへと照準を合わせると、ハンナはゆっくり歩き始めた。
大きな畑の外周はとんでもない距離だ。けれど、反対側まで歩けば、山道に続くはずだった。そうして外周をしばらく歩いていた時、ハンナは畑の中に一か所だけ風が強く吹きあげている場所があることに気が付いた。
よく見ると、そこだけ枯草がくるくると舞い上がっている。
それはハンナが立っている場所から少し先の畑の畝の端だった。
小さな黒い影が動いている。気のせいではない。
何かがそこにいるのだ。
立ち入り禁止だと言われているこのエリアに、ハンナのほかに入ってこようとする者がいる。
目を凝らし外周からぎりぎりまで近づき、ハンナは、風が渦を巻く畑の中に再び足を一歩、踏み入れた。
たちまち吹き付ける風は激しくなり、砂埃が舞い上がる。
激しく舞う風の中、ハンナが腰をかがめて進んでいくと、前方に紫の布が風にたなびいているのが目に入った。
黒くうごめくように見えていたのは、この紫の布だった。
この布にハンナは見覚えがあった。パトラがいつも被っていたローブだ。
やっぱり……パトラに間違いない。
ありったけの力を込めてハンナは前に進み、パトラに追いつこうとした。
風は収まるどころか、さらに一層強くなり、砂埃で目を開けるのも精一杯になってくる。
「パトラばあ様! わたし、ハンナよ! ねぇ、風を止めて!」
ハンナは、音を鳴らして過ぎていく風の中で、声を張り上げて叫んだ。
風の圧力で、体力が消耗していくのが分かる。
どうにも脚の力が入らず、ハンナの身体は風の力に負けて後ろへと押し返された。
「パトラばあ様!」
何度かの呼びかけの後、黒い影はぴたりと動かなくなった。
ハンナの声が届いたのかもしれなかった。ゆっくりと影がこちらを向こうと振り返った瞬間、紫のローブだけが天高く巻き上げられて行った。
するとローブを失った小さな影は、いっそう小さくなり、とうとう動かなくなってしまった。
一体全体、パトラばあ様は、何をしているのだろう。
そもそも自分で張り巡らした結界のはずなのに……。
そこまで考えて、ハンナの脳裏に、ある疑問が沸いた。
あれは本当に、パトラばあ様なのか?
確かめようと、荒れ狂う風の中、右肘で顔の前を覆い、身構えるような姿勢でハンナはゆっくりと前に進んだ。
小さく動かなくなった物体が、徐々に近づいて来る。砂埃が舞う中、小さな塊に手が触れるところまで進んでから、ハンナはもう一度声をかけた。
「パトラばあ様?」
小さな塊は、すさまじい風の中で丸まっていて全く動かなかった。
風から身を守ろうとして、頭を膝の間に入れてうずくまっていたのだろう。
その塊は、実際にはパトラよりもずっと小さかった。
そこにいたのは、見たことのない民族衣装を身に着けた子供だった。
その服を見て、ハンナにはある記憶が蘇った。
小さな子は、ゆっくりと僅かに顔を上げ、風の中、目を細めながら呟いた。
「僕を……連れて行って……」
それだけ言うとその子は気を失い、そのままの姿勢で転がった。
突然、再び突風が下から吹きあがり、また吹き降ろす。ハンナは反射的に、その子をかばうように覆い被さり、天に向かって力の限り叫んだ。
「パトラばあ様! 精霊たち! どっちでもいいから、とにかくしばらく風を止めて!」
ハンナは今までにこんなに怒った自分の心と向き合ったことは無かった。
小さな子を、抱えようとしたが、足元が不安定で力が入らない。
小さな子の背中側に立ち、脇の下から両手を入れて、畝の外まで引きずるように後ろに小さく二歩、三歩、進んだところで、猛烈な前からの風に吹き上げられ、ハンナはその子もろとも後ろに倒れた。
風はハンナたちを追い払うかのように正面から吹き付け続けている。
立ち上がる度、風が来て、後ろへ、後ろへと吹き飛ばされる。
風にもてあそばれ、突き飛ばされるように、立ち上がるたびに後ろへ押し倒される。まるで、中に入って来るなと、言われているようだった。
小さな子を引きずり、何度も転びながら、ハンナは少し風が弱まる場所までやって来た。もはや全身が泥だらけだ。
何度も繰り返した転倒のせいで、ハンナにはもうその子を引き上げるだけの手の力がなくなっていた。
「いったい、どうすれば……ねぇ、お願い。目を覚ましてよ」
何をやってもうまくいかない現実に、ハンナは勝手に溢れてくる涙を止めることが出来ない。腹立たしい思いと、悔しさや悲しい思いが入り混じる。
こんな小さな男の子ひとり助けられない。
助けを呼びに行ける大人も、自分を信じてくれる人も、友達もいない。
何の力もない。《経験者》になんか、なれる訳ない……。
ハンナが、衝動的にはめていた指輪を外そうと指輪に手にかけたとき、指輪の六個の石から空に向かって明るい光が昇っていった。
驚いたハンナが空を見上げると、頭上高くにとても大きな白い鳥が飛んでいるのが目に入った。
その真っ白な鳥が徐々に降下しきて、それが自分よりはるかに大きいことにハンナが気付いた時、ようやくそれが鳥ではなく、大きな白い馬だと判った。
真っ白の胴体の付け根から、羽の先端までが見事なグラデーションになっていて、その翼は先端に行くほど濃いピンク色になっている。
飛ぶ馬の周りは光り輝いていて、太陽がふたつあるように見える程だ。
飛ぶ馬の下の方から、その腹と広げられた羽根部分を見ていたハンナは、見たことのない景色をただ茫然と見つめていた。
ユニコーン?
違う……ペガサス?
学校で、精霊の種別についての授業を受けた時、その絵は確かに見たことがあったが、実物を見たのが初めてで、果たしてそれがそうなのかもハンナには定かではなかった。
ペガサスがさらにハンナの方へ向かって優雅に降下して来る。
と、その背中に見覚えがある人物が乗っていた。
かつて広場で見た、大勢の人に囲まれサインや握手を求められていた人物、光り輝く《経験者》その人に間違いなかった。
《経験者》は、ハンナの真横まで来ると片手でハンナをがっしりと掴み、宙を浮く馬の背へと引っ張り上げた。
「待って! あの子を、助けて!」
「しっかり背中につかまって。こいつ、勝手に動くから」
澄んだ張りのある声で《経験者》がそう言うと、ペガサスは左旋回し大きく翼を広げ、ハンナを乗せて天空高く舞い上がって行く。
後ろからは猛烈な竜巻のような風が襲ってくる。
ハンナは言葉を失ったまま、《経験者》の背中にしがみついていたのだが、しばらくすると視界が落ち着いてきて、竜巻も遠くなり、周りを見られるようになった。
眼下に広がる景色は、学校で習った地図通りだった。この国の景色を空高い所から初めて見たハンナは感嘆の声をあげた。空からフラワーバレーを見たのは勿論生まれて初めてだった。
スノーマウンテンが自分よりも低い位置に見え、枯れたようにしか見えないストロベリーフィールドもとても小さく見えている。
大きな時計台も、あっという間にマッチ棒くらいの大きさになった。パトラの家が岬の先端に見え、東側、大きな川のはるか向こう岸は、黒い雲で覆いつくされていて、鉛筆のような背の高い建物がたくさん見えている。
「あの子を……」
そう言いかけて、ハンナはストロベリーフィールドにあの人影がないことに気が付いた。
どういうこと?
「もう少し、観光したいところだろうけど、ごめんね。こいつ、勝手に動くから……」
《経験者》が、優しい声でそう言うや否や、馬は急旋回し、山の麓に見えている広大な丘に向かって降下し始めた。
丘の上では、何か綿毛のようなものがふわふわと飛んでいる。
大きな羽のペガサスは、地面に着くと、その羽を優雅な動作で畳んだ。
ハンナの耳には、いくつもの小さな声が聞こえ始める。
精霊たちの声だ。
「ちょっと、ルーク、何さぼってんのよ」
「あんた、しばく」
「給料減らす」
「ちょっと顔が良いからって、何でも許されると思うなよ」
「また、デート?」
「また相手が違うみたいよ」
「最低!」
「デートなら、他所でやってくれ」
「そんな暇ないわよ! さっさと働けってば!」
「いや、僕に言われてもねぇ。こいつが勝手に動くから……」
馬の背から飛び降り、ハンナを降ろすと、《経験者》は馬、いや、ペガサスの首元で光っていた赤い石にそっと触れた。
するとその石は、辺り一帯に閃光を放ち、周りを一瞬見えなくさせる。
凄まじい閃光が消えると、そこにはもう翼の生えた馬はいなくなっていて、《経験者》の格好によく似た人物がもうひとり立っていた。
「さっきから聞いてりゃ、勝手に、勝手にってさ、いきなり助けに行くように指示したのはルークの方じゃないか!」
「だって、あんな妙な光を見たら、気になるだろ」
「ちょっと! あんた達! 何くっちゃべってんのよ! いい加減にしてよね!! 今頑張らないと夏に寝転がる場所さえなくなるわよ。
さっさと片付けてよねっ!!!」
小さな精霊が、怒り心頭という感じの声をあげた。
「ほんと、パトラも、もう少し体力のあるベテランをよこしてほしいもんだわ。こんな若手じゃ、いちいち説明しないと動かないんだもの」
別の精霊が、同意する。
他にも「そうだ、そうだ」と、賛同する小さな声が幾つも聞こえる。
「ちょっと、君たち、ひどいな。これでも俺たち、村の祭りじゃ大人気だったんだぜ」
「ルークよりも、僕の方が、ファンレター多かったけどね」
「君はベイビーだから、可愛がられているだけさ」
「ちょっと! あんたたち! ほんとに、マジで、やる気あんの?
その石、潰すわよ!」
「いいぞ、トリクル。やっちゃえ!」
「やっちゃえ!」「やっちゃえ!」
「そうだ、そうだ!」
精霊たちの声は可愛らしく、怒っているのかどうかさえ疑わしい。
けれど、その顔を見ると、どうやら本気で怒っているようだ。
小さな羽音で飛び回る精霊は何度か目にしたことはあったが、その怒った顔をハンナは初めて見た。
呆然としながら、精霊に叱られているルークと呼ばれた《経験者》を見て、自分がママに叱られている時と変わらないな、と、ハンナは思った。
これ……、ほんとに《経験者》?
あのきれいなペガサスさんは、どこへ?
ハンナが心の中で呟いた時、《経験者》そっくりの格好をした人物の方が、小さく声をあげた。さっきまでペガサスだった、はずの人物だ。
「そうだよねぇ。こんな奴が《経験者》で、僕が《守り人》なんて、あり得なくない?」
ハンナは驚いて振り返った。
「あ、僕ね、《守り人》の通称ジャック。ほんとはジャッキー。あ、変身してもジャッキー。どうぞ宜しく」
ジャッキーと名乗ったその青年は、恭しく一礼した。
「お前、それじゃ意味不明だろ」
《経験者》ルークが笑いながら、目の前に広がる背の高い草を、持っていた光る長いナタのようなもので刈り始めた。
たった一太刀で、目の前の草は遥か遠くまで消え去っていく。
よく見ると、草の先端の穂先部分だけを、精霊たちが一生懸命運んでいる。
そして、それらを取りまとめて指示しているリーダー的な精霊がいた。
ルークとジャックにも、命令し、文句を言い、指示を出している。
「ジャック、さっさとジャッキーに戻って、まとめて運んでよ。またパトラにぶっ飛ばされるわよ」
「そうだ、ジャック。さっさと運べ」
「君に言われたかないね、ルーク」
「あの……すいません……」
ハンナが声を出すと、そこにいた全員がハンナを見つめた。
皆、一斉に無言になる。が、また慌ただしく、何事もなかったかのように、働き始めた。
「ああ、ごめん。ちょっと忙しくってね。待っててくれるかな? こいつ、勝手に動くから……」
《経験者》ルークがそう言いながら、ジャックの胸に揺れている赤い石に向かって自分の握りこぶしをふわりと向けた。その指には指輪が光っていて、指輪から発せられた虹色の光がルークの赤い石に吸い込まれていく。
と、さっきまで《経験者》そっくりの格好で立っていた《守り人》ジャックは美しい羽のペガサスの姿に再び戻った。
どうやら、なにか気に食わないらしく、ペガサスは何度も声をあげて嘶いている。
「わりぃ、俺、馬語、わかんねー」
馬の周りでは精霊たちが、クスクス笑いをしている。
「えっとね……『僕の許可なしに使うなって何度も言ってるだろう!
僕がいないと、ひとりじゃ何もできねぇくせに威張ってんじゃねぇぞ、このへなちょこ経験者、それに僕は馬じゃなくてペガサスだ!……』って……言ってる……」
ハンナが発したその言葉に、大きな羽を広げて嘶いていたペガサスは、その動きを止めた。
精霊たちも、精霊のリーダーも、《経験者》ルークも、ハンナの顔をじっと見つめている。
「……きみ、今、俺に向かって、何て?」
超が付く程の輝く端正な顔が、魅力的な低音ボイスで、ハンナにゆっくりと近づいて来る。長いまつ毛が、ハンナの鼻に触れそうなほどの近さだ。
ハンナは顔を真っ赤にして、たじろいだ。
「あの、えっと、だから……私じゃなくて、馬さん、じゃなくて、ペガサスさんが……あ、ジャッキーがそう言ってて。あの、私……解るので」
ハンナの言葉が終わる前に、ペガサスは羽を大きく広げた。
そして、精霊たちによって無理やりくくり付けられた荷を背に、天高く飛んで行った。
「こら! 待て、この野郎! 俺を乗せていけ! お前こそ、へなちょこ《守り人》だろーが! 戻ってきたらただじゃおかねぇ!」
ハンナは、憧れの《経験者》像が音を立てて壊れていく気がしていた。
その輝く姿は数年前に見た時と変わっていないのだが、中身とのギャップがあまりにも激しすぎた。
「ねぇ、あなた、私たちが見えていて、声が聞こえてるってことよね。
怖がらないってことは、精霊使いなのかしら?
どこかで会ったことあるような気がするんだけど。
前にここに来たことない?」
小さな精霊のリーダーが近寄ってきて、ハンナの鼻先で飛びながら止まった。
「精霊使い? 違います。……ここへは初めてきました」
ハンナは精霊にそう言うと、今度は、空に向かってまだ怒鳴っている《経験者》ルークに向かって、後ろからお礼を言った。
「助けてくれてありがとう。でも、あの、ここは……どこ?」
長い髪をポニーテールにしてなびかせながら振り返ったルークは、爽やかな、というより冷静な笑顔に戻っている。
そして顔の両脇に長く残した髪をかき上げポーズを作りながらこう言った。
「ああ、ここ? 何だ君、そんなことも知らないのか。ここはね、昔から《パンパスグラスの丘》って村では呼ばれてる。秋になると一面ピンクで、それはそれは美しいんだ」
まるで二重人格みたいだ。と、ハンナは思った。
「でもね、残念なお知らせがある。一度ここへ足を踏み入れた者は、同じ姿で元の世界へは戻れない」
ルークと呼ばれたその経験者の顔は、真顔だった。
ハンナは、その冷たい笑顔が恐ろしくなった。
《経験者》ルークが、森の方向を指さした。
「そこにね、埋まっているから……あまり近寄っちゃ駄目だよ。覚えておいて」
その方向には、背の高いパンパスグラスの株から顔を出し、薄汚れた布が風に揺らぐのが見えている。長い柄のようなものに結ばれているようだ。
その声を最後に、ハンナの視界は暗くなった。
目の前が再び明るくなると、風が吹きつける、あのストロベリーフィールドにハンナは立っていた。
え? 今のは、全部、幻?
小さな子は消えている。一体、どこからが現実で、どこからが幻なのか。
これも中に入らせないための、幻影なのか。
一向に止まない風に戦いを挑むことを諦めて、ハンナはスノーマウンテンに背を向けた。
再び来た道を戻り始めると、不思議なことに風は巻き上げるのをやめて、後ろからの追い風として優しく吹き付けるようになった。
そうして図書館の曲がり角の手前まで来ると、風はすっかり止んだ。
驚いたことに、曲がり角には、ハンナを心配そうに見つめて立ち尽くしている人物がいた。マルグリットだ。
ハンナを見て、マルグリットは幽霊でも見たような顔つきをしている。
「ハンナ……そこで、何をしていたの?」
無言で横を通り過ぎようとするハンナに、マルグリットは再び声をかけた。
「どうして、ストロベリーフィールドなんかに……?」
「よそ者を偵察?」
「そうじゃない。わたし、ハンナがそっちに走ってくのが見えたから心配で、後を……」
「安心して、フィールドには呪いをかけてあるから。幽霊もいたわよ」
「え?……」
凍り付いた表情のマルグリットは、それ以上何も言わず、ハンナからすっと離れて後ずさりした。
私たちの関係は偽物。この会話だって偽物だ。
ハンナは冷めたような気持ちで自宅の方向へと戻って行った。
(第二十二幕へ続く)
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