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書店向けWeb商談会、書店員235人が参加!商談金額2043万円に

有志出版社24社からなる書店向けWeb商談会実行委員会は10月5日~16日の2週間、2回目となる書店向けのWeb商談会を開催した。出版社を中心に玩具メーカーなど前回の49社を大幅に上回る149社が出展し、書店員なども前回の104人の2倍以上となる235人が参加。全体の商談金額は2,043万2,238円(上代)となった。

第3回は2021年春に開催へ

同実行委員会の三芳寛要委員長(パイ インターナショナル代表)は、出展社と参加書店員数が増えたことに「一定の成果を収めたと捉えている」と評価。「オンライン時代に必要な営業ノウハウが見えてきた。次回以降はこれを共有することで、出展社にとっても参加者にとっても実りの多いものにしていきたい。東京の書店大商談会や大阪のBOOK EXPOといった各地のリアル商談会との連携など、書店様が参加しやすい環境づくりを模索していきたい」と総括。次回は規模の拡大よりも出展社・参加者ともに満足度を高めることを目指し、 2021年春にも第3回を開催する予定という。

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▲オンライン商談会の模様

第2回Web商談会では、著者や書店員によるオンラインセミナーを規模を拡大して開催するなど新たな試みを実施。その結果、 出展社の地域は北は宮城県仙台市(サンガ)から南は鹿児島県の屋久島(Kilty BOOKS)まで広がった。さらに書店員も北海道から沖縄まで全国から集まった上、 海外からは紀伊國屋書店クアラルンプール店の書店員が参加。「 距離の壁を超えるオンライン時代ならではの出会いの場」(三芳氏)となった。

商談回数トップは世界文化社(25回)

2週間にわたる商談会の集計結果では、出展社と参加者が1対1で行う商談が、全社合計で779回行われた。その中で、商談回数のトップは世界文化社(25回)。次いで、PHP研究所(23回)、亜紀書房(20回)、ニジノ絵本屋(20回)という順だった。 

また、一出版社に対して複数の書店が参加する商談は、 2社で計5回実施し、 合計33人が参加。複数出版社の共催で複数の書店を対象にした合同説明会は児童書ジャンル(27社合同)と芸術書ジャンル(15社合同)で各1回実施。 それぞれ36人、6人の書店員が参加した。

商談の結果、書店からの注文が最も多かったのは、パイ インターナショナルの児童書『おむつのなか、みせてみせて!』。2位が新星出版社『美しく正しい字が書ける ペン字練習帳』、3位が『ほらぴったり』(ブロンズ新社、1月新刊)だった。

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▲書店がWeb商談会で注文した上位10タイトル

書店員の参加には「書店経営者の理解が必要」

参加した書店員に対するアンケート結果(参加者235人中80人が回答)では、次回も「参加したい」が81%。「コロナ禍でも商談できる」「遠方でもたくさんの出版社さんの話が聞ける」「スタッフが参加しやすい」という理由が多かった。加えて、「事前収録した動画をいつでも見られるようなコンテンツを用意することも必要」といったアーカイブ配信へのニーズもあった。

一方、次回の参加は「わからない」が19%。「店舗は年中無休で営業しているため参加のハードルが高い」「事前に時間調整するのが現場感覚では困難」といった意見があった。

参加した書店員で最も多かった担当ジャンルは、児童書(69%)。文芸(51%)、文庫(48%)、実用(38%)と続く。

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三芳氏は「大多数の書店様は、『業務時間中に商談時間を確保するのが難しい』『上長の理解を得る必要がある』『パソコンなど必要な機器が無い』といった理由で参加が難しい状況にある。この解決には時間がかかる。今後、より多くの書店様が参加できる環境を整えていくためには、書店経営者や管理職の方々から理解を得るための地道な告知活動が必要」と指摘している。

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▲来場書店員の申込内容

商談回数0回が16社 集客施策の差が如実に

出展社に対するアンケート結果(出展社149社中140社回答)では、次回も「出展したい」とした社が105社(75%)。「コロナ禍で出張に行けていない中、会いたい書店さんに画面上ではあるが会えた」「はじめましての方、遠方でお会いできない方と顔を合わせてお話ができた」「新しい商談のプラットフォームを得たと思う」と満足度の高い意見が多かった。

ただ、商談数が0回となった出展社が1割超となる16社あった。その多くが「業務多忙のため積極的な集客施策を行なえなかった」ことが理由。さらに、出展社が参加者へ自社との商談予約をメールで促す「プッシュ型営業」についても、「出展社が多いため書店へ商談を促す営業メールが殺到するのではないか」と懸念し、 利用を敬遠した社もあった。

一方、参加書店からは、「商談予約のきっかけとなるためどんどんメールして欲しい」という声があり、「BCCで一斉送信してくるようなメールは無視したが、 店舗のことを調べた上で送られてくるメールには対応した」など、プッシュ型営業に肯定的な声が否定的な声の倍近くあったという。

商談増やすには「SNS上での活発な活動も必要」

また、商談数の多かった出展社ではプッシュ型営業を積極活用。 参加者へメールを送る際はBCCではなく、 参加者の担当する書籍ジャンルに合わせて、 一人ひとりへ丁寧なメールを送っていた。 また、「おすすめの書籍から好きな書籍をプレゼント」など、 参加者特典を用意する社もあった。 

加えて、商談回数4位となったニジノ絵本屋のように、普段からSNS上の施策を活発に行いインスタグラムなどSNSのフォロワー数の多い出展社の場合、 SNSを通じて商談会のことを知り、 商談予約が多くなったケースもあった。出版社の社歴や規模だけではなく、 オンライン上の知名度も商談数に影響する結果になったようだ。

そのほか、商談金額が多かった出展社に共通していたのは、 一度の商談でまとまった数量を注文し、 店頭の棚をまるごと作り上げられるような提案を参加者に対して行っていたケースが多かった。具体的にはクリスマス向けギフトフェアや 出版社を紹介するための全商品陳列フェアなどが挙げられる。

三芳氏は、商談会を通じて生まれた出版社や書店のオンライン上のコミュニティから副産物が生まれたことも評価。「出版社同士で日々、システム運用や集客、イベントについて情報交換していたが、商談会以外でも、『図書館員向け販売サービス』、『20社合同の児童書共同ダイレクトメール』といったサービスにも利用された。またLINE上で書店様から受ける提案や相談を、Slack上で出版社が議論するという流れも生まれ、その中から60社合同のWeb合同注文書『大人のクリスマスギフトフェア』という新しいサービスが生まれた。こうした誰しもが活発な議論と迅速な対応ができる自由なコミュニティは、これまでに業界内でもなかった。ノウハウ共有、アイデアの実験場、人材育成の場として、今後も活かせる財産」と話している。

イベント一覧と参加者数は以下の通り

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今回参加した主な書店は次の通り。
紀伊國屋書店クアラルンプール店(マレーシア)、 函館 蔦屋書店(北海道)、一誠堂(岩手)、Bibelot(宮城)、ワンダーコーポレーション WonderGOO本部(茨城)、うさぎや矢板店(栃木)、絵本日和の本棚@文光堂(千葉)、ことのは文庫(千葉)、空葉堂書店(東京)、山陽堂書店(東京)、日本出版販売株式会社(東京)、NENOi(東京)、書原(東京)、みどりのほんや(神奈川)、ハリ書房(新潟)、文苑堂書店(富山)、金沢ビーンズ明文堂(石川)、卓示書店西町本店(山梨)、柳正堂書店甲府昭和イトーヨーカ堂店(山梨)、長倉書店サントムーン店(静岡)、TSUTAYA静岡西脇(静岡)、えほんやさん(静岡)、千机書房(愛知)、白沢書店(愛知)、大垣書店商品部(京都)、ふたば書房(京都)、くろもじ絵本店(大阪)、未来屋書店四條畷店(大阪)、国語教室&小さな絵本屋さんHeyHo(大阪)、自由港書店(兵庫)、大利昭文堂(兵庫)、本となごみの空間 オクショウ(兵庫)、本の森セルバBRANCH岡山店(岡山)、広島 蔦屋書店(広島)、絵本とボードゲームのお店uLU(愛媛)、白石書店折尾駅前店(福岡)、元野木書店(福岡)、沖縄教販(沖縄)、リブロ リウボウBC店(沖縄)
出展社一覧(149社 50音順)
出版社(140社)】
明石書店、 あかね書房、 亜紀書房、 秋田書店、 朝日出版社、 アシェット・ジャポン、 梓書院、 あすなろ書房、 アリス館、 池田書店、 岩崎書店、 岩波書店、 インプレス、 WAVE出版、 潮出版社、 枻出版社、 英治出版、 英明企画編集、 絵本館、 エムディエヌコーポレーション、 おむすび舎、 偕成社、 化学同人、 笠間書院、 仮説社、 学研プラス、 かもがわ出版、 河出書房新社、 カンゼン、 きじとら出版、 きずな出版、 キネマ旬報社、 求龍堂、 京都大学学術出版会、 木楽舎、 Kilty BOOKS、 くもん出版、 グラフィック社、 クレヨンハウス、 K&M企画室、 慶應義塾大学出版会、 芸術新聞社、 玄光社、 現代書館、 現代書林、 好学社、 廣済堂あかつき、 合同出版、 合同フォレスト、 国書刊行会、 コトノハ、 子どもの未来社、 駒草出版、 小峰書店、 ころから、 彩流社、 朔北社、 左右社、 サンガ、 三修社、 303 BOOKS、 三和書籍、 G.B.、 JMA・アソシエイツ、 Jリサーチ出版、 視覚デザイン研究所、 自然食通信社、 実業之日本社、 信濃毎日新聞社、 ジャムハウス、 集英社インターナショナル、 出版ワークス、 春陽堂書店、 祥伝社、 書肆侃侃房、 新星出版社、 すみれ書房、 青弓社、 青幻舎、 西東社、 世界文化社、 センジュ出版、 創元社、 大創出版、 大日本絵画、 大日本図書、 食べもの通信社、 太郎次郎社エディタス、 淡交社、 小さい書房、 汐文社、 月とコンパス、 DU BOOKS、 トゥーヴァージンズ、 東京書籍、 東京書店、 東京創元社、 東京大学出版会、 東京美術、 童心社、 トーハン 洋書グループ、 名古屋外国語大学出版会、 ナナロク社、 西日本出版社、 ニジノ絵本屋、 西村書店、 日経BPマーケティング、 日本文芸社、 農文協、 のら書店、 白泉社、 パイ インターナショナル、 白水社、 万来舎、 PHP研究所、 ビーナイス、 ひかりのくに、 ひさかたチャイルド、 ひだまり舎、 Book&Design、 フレーベル館、 ブロンズ新社、 文溪堂、 ベレ出版、 便利堂、 北樹出版、 ポプラ社、 マール社、 まむかいブックスギャラリー、 ミシマ社、 みずき書林、 光村図書出版、 武蔵野美術大学出版局、 メイツユニバーサルコンテンツ、 山と溪谷社、 羊土社、 よはく舎、 雷鳥社、 ラボ教育センター、 ロクリン社
玩具メーカー(5社)】
コンセル(幼保向け玩具等)、 すごろくや(ボードゲーム等)、 ハナヤマ(パズル等)、 ぼりゅうむわんプロダクツ(マグネット玩具等)、 ワイズインテグレーション(小学生向けプログラミング教材)
サービスほか(4社)】
一冊!取引所(出版受発注システム)、 BookCellar(出版受発注システム)、 カーリル(図書館蔵書検索システム)、 ダイワハイテックス(コミックシュリンカー等)

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