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KADOKAWAのWEB商談、9割超が「次も参加したい」 地方の書店など積極的に活用

商談件数150件超に!10月にはWEB企画説明会も

KADOKAWAが6月17日から開催しているWEB商談の件数が8月末現在で150件に達し、参加した書店の9割以上が「次回も参加したい」との意向を示していることがわかった。

参加書店に行ったアンケートでは「直接お話を伺える機会が、なかなかないので、非常にありがたい」「今後も定期的に行いたい」など好意的な反応が多かったという。地方の書店を中心にWEB商談を積極的に活用したいと考える書店が増えてきているようだ。

こうした書店の声を受け、同社は10月初旬をめどに「WEB企画説明会&商談」も開催する予定。一昨年まで全国各地で実施していた企画説明会をオンライン上で実施。2部制に分けて、初めに企画説明会を実施し、その後に参加書店と個別のWEB商談を行うという。申し込みについては別途案内するとしている。

同社は6月17~19日の3日間の集中開催を皮切りに、毎週1~2日(平日)のペースでWEB商談日を設定し、実施している。

WEB商談案内文

書店が商談に参加するには、同社の書籍受注サイト「WebHotLine」(1万店以上の書店が登録)のWEB商談専用ページからの申し込みが必要。基本的には毎週設定した「商談日」の開始希望時間のほか、担当ジャンル、相談内容などを入力して予約する形。ただ、書店の希望を最優先して商談日以外の申し込みも受け付けている。

使用しているWEB会議システムはGoogle Meetだが、書店からの希望があれば、Zoomなどでも対応可能という。

リピーターの書店が増加 

開催当初は、地方の書店がほとんどだったが、徐々に首都圏の書店からの申し込みが増加した。全体では8月末までに北海道から沖縄まで、大型書店から町の書店までの130店超が参加し、すでに複数回にわたってWEB商談を利用する店舗も増えてきているという。

「継続的に告知していることでの認知の拡大と、書店同士の口コミも影響しているのではないか」。WEB商談を担当する”次世代書店営業プロジェクトチーム”のリーダー、KADOKAWAプロダクトマーケティング本部営業企画局書店営業部東日本1課の竹本慎吾係長は増加している背景を説明する。

商談には、店長から各売場の担当者までと幅広く参加。ジャンル別では、コミック、ライトノベル、文芸単行本、文庫の担当者が同率で最も多く、児童書担当者がそれに次ぐ。さらに、複数担当者での参加もあるという。

参加書店からは「棚の整備が追い付いていない」「平台に何を置けばいいのか教えて欲しい」「メディア化や重版情報を教えて欲しい」「WebHotLineの使い方を詳しく知りたい」といった相談が多いという。

参加者限定の優先出荷商品も

商談を終えた書店からは、「事前に相談したい内容を決められるのがよかった」「営業担当の方に、棚作り等について直接お伺いできる機会がなかなかないので、今回のようなWEBによる商談会は非常にありがたかった」「WebHotLineの使い方を丁寧に教えてもらいました。もっと活用したい」「丁寧に質問に答えて下さり大変分かりやすかった」「WEB商談自体に敷居の高さを感じる書店員も結構いると思うので、簡単にできる、という部分のレクチャーを強化すれば更に良いかと考える」といった感想・意見が寄せられた。

竹本氏は「参加者限定で優先出荷できる商品も用意している。企画説明会のようにかしこまったものではないので、営業担当とお店でやりとりする感覚で気軽に参加していただきたい」と書店に呼びかけている。

WEB商談のメリットは3つ

新型コロナウイルスの影響で、ほとんどの出版社は書店への訪問営業を制限・禁止している。WEB商談はその代替として活用され始めた「営業手段」であるが、そのメリットはどこにあるのか。

竹本氏は「書店さんのスケジュールに合わせて商談日を設定できる」「最新の売れ筋情報をタイムリーに共有できる」「売上や在庫などのデータをその場で共有できる」こと、と主張する。

「特に売れ筋情報の共有は書店さんから評価されている。地方の書店さんに最新の売れ筋情報をタイムリーに伝えて展開していただければ、売上につながるからだ。また、社内で在庫データをリアルに把握できるので、注文品への迅速な対応も可能だ」と補足する。

一方で、竹本氏はパソコンやネット回線などハード面の環境整備が追い付いてないと思われる書店が少なからずあり、「参加したくてもできない」という現状もあると指摘する。

今後、新型コロナウイルスの感染が収束の方向へ向かっていけば、訪問営業の制限も緩和されてくる可能性もある。その時には訪問営業とWEB商談をハイブリッドに活用する「ニューノーマルな書店営業」に変わっていくだろうと竹本氏は見通す。

「出張営業の際にアポイントが取れなかった書店さんと後日にWEB商談を行ったり、訪店しても伝えきれなかったことをWEB商談で補足したり、とWEB商談を併用することができるのではないだろうか」(竹本氏)。



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