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一璃(にのまえあき)
2023年3月26日 07:55
小窓から見える闇の中に一点の明かりがあった。月ではなく星よりは大きく灯台ほど明るくない。それは時折瞬き私に話しかけてくるようだった。彼処に何があるのだろう。誰も海の向こうのことは知らなかった。今夜も切り取られた闇の中に明かりを見つける。いつか行くからと語りかけたとき光が瞬いた。(ショートショート部お題:灯台)
2023年3月6日 19:21
私は棒人間。ある日、作者がつまらない授業を聞いているときに教科書の端に生まれた。少しだけ違う私がページ毎に増殖する。しばらくして作者が本を持ち親指でページの角を弾いた瞬間、我々は一体になった。そして残像だけを残して別の余白を求め旅立った。今日もまた動き出す時をじっと待っている。(ショートショート部 お題:余白)