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マイクロノベル集

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140字以内で書いた短い短いお話です。
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2023年2月の記事一覧

【マイクロノベル】座敷鶏

【マイクロノベル】座敷鶏

 家の奥座敷に住みつき数年に一度純金の卵を産んでいく座敷鶏という精霊がいる。我が家も祭壇を作り穀物を捧げ座敷鶏が来るのを待った。ある日の朝四時、祭壇で鶏の声がした。それから毎朝四時になると雄叫びをし、穀物を食い散らかしていった。が、何年経っても金の卵は置いていかない。雄鶏だった。

(ショートショート部お題:鶏)

【マイクロノベル】通りゃんせ

【マイクロノベル】通りゃんせ

 お隣に住む松田さんちのおじいちゃんに、天神スーパーに行く近道を教えてもらった。この街に住み始めて三ヶ月、こんな道知らなかったな。いつも十五分かかるのに七分で着いた。これはいい!帰り道、路地から出ようとしら松田さんが現れた。「ここはうちの私道でね。通行料は百円だよ」と手を出した。

(ショートショート部 お題:有料道路)

【マイクロノベル】そうかな

【マイクロノベル】そうかな

 「鬼って本当にいるのかな?例えば、大昔、外国人なんて見たことがない人が、髪や目や皮膚の色が違う、しかも言葉が通じない大男を見て鬼だと騒いだのかもしれないよね?『百目鬼(どうめき)』という体に百個の目がついている鬼の話は知ってる?あれも、昔ホクロが多い男がいて、そのホクロが目みたいだからそう呼んだという説もあるらしいよ。酷い差別だよなあ」「そうだな」そして僕は、思わずシャツの袖口を少し引っ張った。

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